バートランド・ラッセル - 生涯、思想、著作、エピソード、その他
1 概要紹介
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バートランド・ラッセル(Bertrand Arthur William Russell, 1872.5.18-1970.2.2)は、英国の著名な哲学者(分析哲学の創始者の一人)、論理学者(画期的な著作である『プリンキピア・マテマティカ』の著者)、数学者、思想家、社会・文明批評家、平和運動家(核兵器撤廃運動やラッセル=アインシュタイン宣言で有名)、著作家(歴史上最も多作の著作家の一人)、ノーベル文学賞受賞者(1950年度)であり、1931年に兄(フランク・ラッセル)が死んだ後、第3代ラッセル伯爵(初代は英国の首相を2度務めたジョン・ラッセル)となりました。
ラッセルの業績は多分野に渡っており、ラッセル来日時(1921年7月)及び日本バートランド・ラッセル協会(1965年創立)が活動していた頃はラッセル・ブームが起きており、1960年代から1970年代初期においては、ラッセルの英文はモームとともに、大学の英語の入試問題で最も頻繁に出題されていました。しかし、現在では、『幸福論』や「ラッセルのパラドクス」ばかりがとりあげられるだけの状態になっています。
他方、英米やカナダ、特に米国においてはラッセル研究はいまだに盛んであり、世界のラッセル研究者やラッセル・ファンが入会しているバートランド・ラッセル協会(Bertrand Russell Society)があるとともに、カナダのマクマスター大学にはラッセル関係のあらゆる資料(10万点以上の書簡も含む)を収集するラッセル文書館(Bertrand Russell Arcives)が設けられています。
いずれまた脚光を浴びる時代もくるのではないかと期待されます。
関連ページ:碧海純一「ラッセルー思想家の生い立ち」(NHKラジオ放送:1時間もの)
関連ページ:バートランド・ラッセルのポータルサイト
関連ページ:検索語としての「バートランド・ラッセル」
関連ページ:バートランド・ラッセルの言葉366_画像版(本日の言葉)
関連ページ:バートランド・ラッセルに関するQ&A
関連ページ:バートランド・ラッセル関係写真・画像一覧
2 生涯
バートランド・ラッセルは両親を早く亡くし、兄とともに、3歳の時に祖父母に引き取られ、ロンドン郊外のリッチモンド・パーク(日比谷公園の数倍の広さ)内にあるペンブロークーロッジ(Pembroke Lodge : ヴィクトリア女王から英国首相を2度務めた祖父ジョン・ラッセルに貸与された邸宅=右写真)で、18歳の時にケンブリッジ大学トリニティ・コレッジの寮に入るまで、暮らしました。
ラッセルは生涯に4度結婚していますが、ドンファン的なところはまったくありませんでした。ラッセルは自由恋愛論者(結婚していても恋愛を禁止すべきではないという考え方)であり、ラッセルが結婚した相手も全て自由恋愛論者であったと言ってよいと思われます。
ラッセルの長い生涯の主なトピックは、バートランド・ラッセル年譜(詳細版)を参照していただくこととし、以下、少しだけ抜粋しておきます。
工事中!(今後適宜修正していきます。)
・3歳までに両親及び姉がジフテリアにかかり死亡し、兄とともに祖父母に引き取られる。 ・その後18歳でケンブリッジ大学に入学するまでペンブローク・ロッジで暮らす。
・幼稚園には通ったが、大学入学まで学校に通わず(ただし、受験予備校には受験直前に在籍)、多くの家庭教師によって学んだ。
1916年 - 平和運動、婦人解放運動に熱中したため、ケンブリッジ大学を追放される。
1918年 - 6か月の間、投獄される。
1931年 - 祖父の後を継いだ兄フランシスが死去、ラッセル伯爵の称号を継承。
1938年 - 3度目の夫人と共にアメリカ合衆国へ講演旅行(第二次世界大戦が勃発したために、米国に約6年間住むことになる)。
1944年 - イギリスに帰国。
1955年 - 7月9日核廃絶に対する共通の想いから親交のあったアルベルト・アインシュタインと「ラッセル=アインシュタイン宣言」を発表した。この宣言がパグウォッシュ会議の開催へと発展した。
1961年 - (核兵器撤廃のための)百人委員会を結成。2度目の入獄をする。
1970年 - 97歳で死去。
関連ページ:バートランド・ラッセル年譜(詳細版)
日本訪問時(1921.7.17-7.30)の動静
関連ページ:バートランド・ラッセルー3つの情熱
関連ページ:エディスに捧ぐ(詩)
3 思想(理論哲学、論理思想、社会思想、その他)
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『私の哲学の発展』全訳/対訳
また、ラッセルの社会思想の発展・変遷については、ラッセルの『倫理と政治における人間社会』(Human Society in Ethics and Politics, 1954)を参照してください。
両書でラッセルの思想全般を掴んだ上で、ラッセルのいろいろな思想について、個別に理解するようにすると、最も能率的かつ理解しやすいのではないかと思われます。
関連ページ:石本新+山元一郎「ラッセルの思想と生涯」
関連ページ:竹尾治一郎「あとがき 1997_ バートランド・ラッセルの哲学的主張の変遷」
関連ページ:碧海純一「哲学史上におけるバートランド・ラッセルの位置づけ」
関連ページ:ラッセル思想辞典
(1) ラッセルの論理思想、ラッセルのパラドクス、記述理論等について
これについては、三浦俊彦『ラッセルのパラドクス』(岩波新書)がお勧めです。
書名は「バラドクス」となっていますが、ラッセルの哲学及び論理学を全般的に理解することができます。
関連ページ:加藤尚武「全数学の論理学化(B.ラッセル)」
(2) ラッセルの認識論・知識論
ラッセルの認識論・知識論は、石本新氏の言葉を借りれば、「ラッセルの認識論は,実在論から経験論的な存在論へ,さらに中性一元論を経て,より純粋な経験論へと移行して」おり、「静的」にとらえると誤解する危険があります。そのため、以下の、石本氏や一柳氏による概観が参考になります。
関連ページ:一柳富夫「ラッセルの認識論と現代」
関連ページ:石本新「バートランド・ラッセルの認識論」
(3) 言語哲学
関連ページ:品川嘉也「バートランド・ラッセルと言語哲学と弁証法」
今後作業します。
関連ページ:碧海純一「バートランド・ラッセルの社会思想
https://russell-j.com/
(5)ラッセルにおける宗教、神、宇宙
ラッセルは、理論上は不可知論(神の存在も不存在も論理的に証明不可能という立場)をとっているが、実際上は、無神論者であると公言している。ラッセルにおける宗教、神に関連する著作は膨大にあるが、2,3熟読すれば理解は容易であると思われる。ただし、その際は、「自由人の信仰」(A Free Man’s Worship)は無視したほうがよいかも知れない。「自由人の信仰」は名文として有名であるが、歳をとってからは「どうしてこんな馬鹿なことを書いたのだろう」と、あまり評価しておらず、自分が選ぶエッセイ集には含めていない。
関連ページ:『宗教と科学』(Religion and Science, 1935)の全訳/対訳
関連ページ:「なぜ私はキリスト教徒ではないか?」冒頭
関連ページ:松下正寿「バートランド・ラッセルの宗教観
関連ページ:ラッセル「自由人の十戒」
4 著作
ラッセル関係電子書籍 (Kindle 本)一覧 < click me! > |
ラッセルの著作をまだあまり読んだことのない人には、次のページにある、ラッセル著書解題が参考になると思われます。
ラッセル著書解題一覧
また、ラッセルの著作を網羅的に閲覧したい場合は、早稲田大学教育学部教員図書室所蔵のラッセル文庫(松下寄贈のもの)が役立つはずです。
R1-WORKS.HTM 関連ページ:ラッセル著作年表
関連ページ:ラッセルの著作の電子テキスト
* 多くの著作のフル・テキスト(全文)をこのページからダウンロードできる。
関連ページ:小野修「バートランド・ラッセルと執筆作業」
『幸福論』の全訳(対訳)
『自伝』本文の全訳(対訳)
『教育論』の全訳(対訳)
『結婚論』の全訳(対訳
『権力論』の全訳(対訳)
『宗教と科学』の全訳(対訳)
『アメリカン・エッセイ集』の全訳(対訳)
5 平和運動・反核闘争
今後作業していきます。
関連ページ:松下正寿「自由を識る巨人-核実験反対運動で捕らえられた自由人ラッセル卿の真骨頂
関連ページ:ラッセル、最後のメッセージ(死亡2日前執筆)
関連ページ:ラッセル=アインシュタイン宣言
6 ラッセルに対する誤解
今後作業していきます。
7 エピソード
今後ご作業していきますが、以下にいろいろ掲載してあります。
ラッセル落穂拾い 初級篇 / 中級篇
8 Web上の誤ったラッセル関係情報
ラッセルが実際は言ってはいないのに、ラッセルの発言として紹介されているものがたくさんあります。今後適宜追加していきますが、とりあえず2つだけご紹介しておきます。
- War does not determine who is right ? only who is left.(戦争は誰が正しいかは決めない、誰が生き残るか決めるだけだ。)
これはバーナード・ショーの発言です。ラッセルの発言だと紹介しているのが無数にあります。
(参考: https://isl.com.mt/insights/war-does-not-decide-who-is-right-but-who-is-left-george-bernard-shaw/)
- The time you enjoy wasting is not wasted time.(浪費するのを 楽しんだ時間は 浪費された時間ではない)
これもラッセルの言葉ではありません。ラッセルの原稿や(世界中で出された)著作を収集している Bertrand Russell Arcives(カナダのマクマスター大学にあり)もラッセルの発言ではないと名言しています。ただし、誰の発言かはまだわかっていません。
9 関連情報リンク集
今後作業していきます。
A.ラッセルのポータルサイト内関連ページ:ラッセル協会出版物
関連ページ:ラッセル英単語・熟語
関連ページ:ラッセルの言葉366(画像版)https://russell-j.com/
B.外部サイト
今後作業していきます。