ラッセル英単語・熟語1500 |
保護主義を最初に(1841年に)理論的に擁護したのは、ドイツの経済学者リストであった。これは有名な「幼稚産業」(保護)論であった。例えば、鉄鋼を例にとってみよう。ある国が本来大きな鉄鋼産業を発展させるのに適していても、外国との競争により、政府の援助がない限り、初期費用が法外になる(prohibitive 高すぎる)ことがある。このような状況は、リストが執筆した当時も、その後しばらくの間、ドイツにも存在した。しかし、一度与えられた保護は、幼子(弱小企業/弱小産業)が巨人(大企業/巨大産業)に成長しても、撤回することはできないことが、経験によって示されている。
It was the German economist List who first (in 1841) provided a theoretical defence of protectionism. This was the famous "infant industries" argument. Take, say, steel. It may be that a country is well suited by nature to the development of a great steel industry, but that, owing to foreign competition, the initial expenses are prohibitive, unless government assistance is obtainable. This situation existed in Germany when List wrote and for some time after that. But experience has shown that protection, once granted, cannot be withdrawn even when the infant has grown into a giant.
Source: Freedom and Organization, 1934, cjhapter 14, p.165
More info.: https://russell-j.com/cool/FO_1934.pdf
<寸言>
巨大企業も財政状態が悪化し、経営が傾くと、「このような大規模な企業が倒産したら多くの者が失職し、日本経済に大きな影響を与えてしまう」ということで、政府等により、救援の手が差し伸べられます。
これに対し、中小企業の場合は、非効率で非生産的な企業を救済するようでは日本経済は発展しない(淘汰されるべき)という理由で救済されないことが少なくなく、対照的です。
大企業は官僚などのよい天下り先でもあり、両者はウィンウィンの関係にありますので、「青年は荒野をめざす」ことはあまりなく、「若者は倒産の危険のない大企業をめざす」ということになります、
#バートランド・ラッセル #Bertrand_Russell