バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

【インタビュアー: 共産主義(の下で生きる)よりもむしろ死んだ方がマシだという言う人もいます。ラッセル卿、あなたはどう思いますか?】

ラッセル: 自分達が世界で唯一の人間だと思っているのか、彼らに尋ねたい。私自身、確かに、共産主義の専制政治の下で生きるよりは死んだ方がましだと考えます。いや、実際、他のいかなる専制政治の下で生きるよりもましだと思います。しかし、それを理由(根拠)にして、(例えば)インドの全住民は(も)死ぬべきだと言う権利があるとは考えません。私の信念のために、彼らは(も一緒に)死ぬべきだなどと言う権利は私にはありません。

Some say they would rather be dead than Red. How to respond. Lord Russell? I'd ask them if they think they're the only people in the world. I myself would certainly rather die than live under a communist tyranny ... or indeed any other tyranny, but I don't think that on that ground, I have a right to say that every inhabitant of (say) India should die. I have no right to say that they should die for my convictions.
Source: Canadian Broadcasting Corporation "Closeup" TV interview, 1959
More info.: Not available

<寸言>
 これは 1959年に放送された CBC (Canadian Broadcasting Corporation) のインタビュー番組でラッセルが、答えたものの一節です。
 今では、「共産主義の下で生きるよりも核戦争で死んだほうがましだ(Better Dead than Red)」と言う人はほとんどいませんが、米ソがはげしく対立している時にはそこそこいました。(日本は被爆国で、原爆の恐ろしさがわかっている国民が多いので、米ソ冷戦時代もそういうことを言う日本人はほとんどいませんでした。)
https://en.wikipedia.org/wiki/Better_red_than_dead
 以前(ラッセルの言葉 no.1656)でも紹介しましたが、1960年に行われた BBC の公開討論番組(Prospects of Mankind)で、ルーズヴェルト米国大統領夫人(当時)が同様の趣旨の発言をして、ラッセルは大きなショックを受けています。権力を持っていない人間が何を考え、何を言おうと影響はほとんどありませんが、大統領や総理大臣あるいはその関係者がそのような発言をすれば大きな影響力をもってしまいます。【思い出されるのは安倍総理(当時)の発言:「台湾有事は日本の有事=台湾が中国に侵略されたら日本も参戦するぞという趣旨」】。米ソが"他の国に影響を与えずに"核戦争をするだけなら「自業自得」ですが、核戦争はそんなわけにはいきません。それに、米ソの権力者がそのようなことで他国に人々を道連れにする「権利」もありません。

#バートランド・ラッセル #Bertrand_Russell