第2章 コペルニクス的革命(コペルニクス的転回)n.18 - 神の意志と自然法則まず法則の支配(から取上げてみよう)。例えば,日の出や季節の交替(移り変わり)のように規則正しく起るものもある一方,未来の出来事を知らせるかあるいは人々に自分たちの罪を悔いるよう命ずるところの兆候や前兆(signs and portents) であるものがある,と(昔は)考えられた。ガリレオの時代以降,科学者たちは自然の法則を変化の法則と考えてきた。自然法則は,物体が一定の状況においてどのように動くであろうかを語り(tell 告げ),また,(今後)起るだろうことを我々が計算することを可能にするが,しかし,(過去に)起ったことは(将来も)起るだろうとは単純には言わない。我々は,太陽は長い間昇り続けるであろうが(注:地球は長い間自転し続けるであろうが),最終的には,潮汐作用の摩擦のために,今それ(地球の自転により太陽が昇るように見えること)を生じさせているまさにその同じ(自然)法則の働きを通して,太陽は昇らなくなってしまうかも知れない(可能性がある)ことを知っている(注:月の影響による潮汐作用による摩擦のために地球の自転が止まり、太陽が昇らなくなってしまうこと)。継続的な再発が主張される時にのみ自然法則を理解することができた中世の人々にとっては,こういった概念(conception 考え;着想)は複雑過ぎたのである(理解困難であった)。異常なことや再現性のないこと(もの)は,ただちに(directly),神の意志によるものだとされ(assigned to ~が原因だとされ/帰され),何らかの自然法則によるものとは見なされなかった。天界においては,ほとんど全てのものが規則的なものであった(規則的だとされた)。日食は,一時期,例外であると考えられ,迷信的な恐怖を引き起こしたが,バビロニアの聖職者たち(カトリックの司祭たち)によって(神の定めた)法則によるものだとされた。太陽と月,惑星と恒星は,予期されている通りに,毎年,運行し続けた。新しいもの(天体)は何も発見されず,おなじみの天体がいずれも古くなることはなかった。(荒地出版社刊行の訳書で,津田氏は「新しいことは何も見出されず,周知のことが決して古くなることはなかった」と曖昧な訳をしているが、「no new ones were observed, and the familiar ones never grew old」の「ones (複数形!)」は太陽その他の天体(bodies)と解釈すべきであろう。)従って,地球の大気の上にあるもの(天体その他)は全て,創造主(神)によって意図された通りの完全さをもって一度だけ(once for all)創造されたと考えられるようになった。(即ち)成長と衰退は我々の地球に限られ,それ(成長と衰退=変化があること)は我々の祖先(アダムとイブ)の罪(=原罪)に対する処罰の一部であった。従って,流星と彗星は,一時的なものであり(永遠のものではなく),地球の大気中の,月下のものでなければならない(ということになる)。流星に関してはこの見解は正しかったが,彗星に関しては正しくなかった。 |
Chapter 2: The Copernican Revolution, n.18
In the heavens, almost everything was regular. Eclipses had at one time seemed to be an exception, and had roused superstitious terrors, but had been reduced to law by Babylonian priests. The sun and moon, the planets and the fixed stars, went on year after year doing what was expected of them ; no new ones were observed, and the familiar ones never grew old. Accordingly it came to be held that everything above the earth's atmosphere had been created once for all, with the perfection intended by the Creator ; growth and decay were confined to our earth, and were part of the punishment for the sin of our first parents. Meteors and comets, therefore, which are transitory, must be in the earth's atmosphere, below the moon, "sublunary.” As regards meteors, this view was right ; as regards comets, it was wrong. |