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バートランド・ラッセル自伝 第1巻第2章(松下彰良 訳)- he Autobiography of Bertrand Russell, v.1,n.2

前ページ 次ページ  第1巻 第2章(青年期)累積版  総目次
* 大竹勝「文学者としてのバートランド・ラッセル」
* ラッセル「Tanyrallt のシェリーについて」
* シェリーの妻にして,『フランケンシュタイン』の作者メアリーについて」


詩人シェリーを知る


あるいは
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 私は,「イン・メモリアム(追憶-テニスンの詩)」というような(若者にとっては)非常に不適切だとされている詩から始まって,幅広く詩を読んだ。16歳から17歳にかけて私が読んだ詩は,思い出せるかぎりあげてみると,ミルトンの詩全部,バイロンのものほとんど,シェークスピアのもの多数,テニスン(Alfred Tennyson, 1809-1892/右上写真)のもの大部分,そして最後がシェリー(Percy Bysshe Shelley,1792-1827:怪奇小説『フランケンシュタイン』を書くメアリーと結婚。イタリアで,ヨット帆走中に雷雨に遭い溺死/右下写真)である。
 私は偶然シェリーに出会った。ある日私は,ドーヴァー・ストリートにあるモードおばさんの家の居間で,彼女を待っていた。そこにあるシェリーの詩の本をとって開いたら,「アラスター-または孤独の霊-」のところだった。それは,私がかつて読んだもののなかで,最も美しい詩だと思われた。もちろん,その詩(アラスター)の非現実性は,私がアラスターを賛美する最大の要素であった。おばさんが家に着いた時,ほぼ半分ほど読んでしまっていたが,私はその本を書棚にもどさなければならなかった。私は,大人たちに,シェリーを偉大な詩人と考えられないか尋ねたが,彼らはシェリーをよく思っていないことがわかった。けれども私は,このことで動ぜず,私は暇な時はいつもシェリーを読んだり,暗記したりして過ごした。私は,自分が考えたり感じたことを話すことができる相手は誰もいなかったので,私はしばしば,シェリーを知るということが何と素晴らしいことだろうかと,また,現在生きている人でこんなに共感できる人とはたしてめぐり逢えるものだろうかと,内省した。


I read poetry widely, beginning with very bad poetry such as In Memoriam. While I was sixteen and seventeen, I read, as far as I can remember, the whole of Milton's poetry, most of Byron, a great deal of Shakespeare, large parts of Tennyson, and finally Shelley.
I came upon Shelley by accident. One day I was waiting for my Aunt Maude in her sitting-room at Dover Street. I opened it at Alastor, which seemed to me the most beautiful poem I had ever read. Its unreality was, of course, the great element in my admiration for it. I had got about half-way through when my Aunt arrived, and I had to put the volume back in the shelf. I asked the grown-ups whether Shelley was not considered a great poet, but found that they thought ill of him. This, however, did not deter me, and I spent all my spare time reading him, and learning him by heart. Knowing no one to whom I could speak of what I thought or felt, I used to reflect how wonderful it would have been to know Shelley, and to wonder whether I should ever meet any live human being with whom I should feel so much in sympathy.
#バートランド・ラッセル #Bertrand_Russell