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「(週刊)バートランド・ラッセル(1872.5.18-1970.2.2)に関するメール・マガジン」
no.0912_2024/12/01 (2006/12/21 創刊/毎週土曜 or 日曜日 発行)
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■ 目 次 ■
1.ラッセルの著書及び発言等からの引用
2.ラッセルに関する記述や発言等
編集後記
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1.ラッセルの著書や発言等から
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■「ラッセルの英語」n.2810~2814 を発行しました。
(1)「ラッセル英単語熟語」は、2810-2814
(2)「ラッセルの英文」は、n.2810-2, 2812-2, 2814-2
1つずつ再掲します。
■■ ラッセルの英語1 n2810 R英単語熟語
★ corruption (n) [汚職、買収:堕落、腐敗;(言語の)なまり]
* 語源:森一郎『試験に出る英単語』p.145の説明:cor < com = completely,
rupt = break → 「完全にこわれた → 腐敗した」(注:cor < com は
「ともに」と解釈をしている人もいます)
* corrupt (adj.):堕落した;汚職の || (v) 堕落させる;賄賂で買収する
Wealth sometimes corrupts a person.(富は時に人を堕落させる。)
1.ラッセルの用例
conomic power within a State, although ultimately derived from law and
public opinion, easily acquires a certain independence. It can
influence law by corruption and public opinion by propaganda.
[一つの国家内における経済的権力は,究極的には,法と世論(の支持)に由
来するが,それは容易に一定の自立性を獲得する。国家内の経済的権力(例:
個々の大企業など)は,贈収賄(汚職)によって法に影響を及ぼすことができ
るし,宜伝によって世論に影響を及ぼすこともできる。]
出典:ラッセル『権力』第8章「経済的権力」]
https://russell-j.com/beginner/POWER08_070.HTM
The power of the great magnates, through political corruption, through
threats of causing a panic, through influence on large sections of
the press, is such that, while they may be defeated in a pitched battle
at a time of political excitement, they cannot be kept in their place
at ordinary times unless, as a result of a pitched battle, they have
been shorn of most of their means of influencing opinion.
[政治汚職(買収)、パニックを引き起こすという脅かし、新聞の広範な部分へ
の影響力を通して、大実業家の権力は絶大であるため、たとえ彼らが政治的興
奮の一時期に激戦で敗れることがあったとしても、我々はこの種の激戦の勝利
により、世論操作の武器を残らず彼らから奪い取らない限り、平時に彼らをじ
っとさせておくことはできない。
出典:ラッセル『アメリカン・エッセイ』の中の「公益と私益」]
https://russell-j.com/PUB-PRIV.HTM
The professions in which a man is allowed to behave in a natural manner
are, of course, on the whole less lucrative than those in which a high
standard of humbug is required. The corporation lawyer, the corrupt
politician, and the popular psychiatrist are expected to utter moral
sentiments with profound earnestness and great frequency, but in return
for this hard work, they are allowed a suitable remuneration.
[自分の思うままに自然に振る舞える職業は,概して,かなりの欺瞞を必要とす
る職業に比べて,金銭的利益が少なくなるのは当然の(自然な)ことである。企
業の顧問弁護士,腐敗した政治家や人気のある精神科医は,ごく真面目に道徳的
な感想(や意見)を頻繁に述べなければならないが,こういった困難な仕事の
見返りに,彼らはそれ相応の報酬が与えられる。
出典:ラッセル『アメリカン・エッセイ』の中の「教化・善導について」]
https://russell-j.com/EDIFY.HTM
2.参考例
The extent of government corruption became apparent after the ruling
party was removed from power.
「政府の腐敗の深刻さが明らかになったのは,与党が政権を追われてからのこ
とだった。」
出典:『東大英単』p.83
The new military rulers said that the previous government had been
riddled with (= full of ) corruption.
出典:Longman Dictionary of Contemporary English, new ed.
She blamed him for corrupting her daughter.
「娘を堕落させたことで、彼女は彼を責めた。」
出典:『英単語ターゲット1900 4訂版』p.379
■■ ラッセルの英語2: R英文
バートランド・ラッセルの英語 n2814-2 R英文(2)
ラッセル『ヒューマン・ソサエティ-倫理学から政治学へ』
(Human Society in Ethics and Politics, 1954)
第6章:道徳的義務 n.30
今や、以上のやや散漫な議論によって示唆される結論を要約する時である。
「主観的正しさ」については明確な概念がある。当該行為者 (the agent)が
ある行為に対して承認の感情を抱けば「主観的に正しい」となり、不承認の感
情を抱けば「主観的に間違っている」となる。しかし、「人は、自分にとって
主観的に正しいと思うことをすべきである」と言えば、耐え難いパラドックス
に陥っていることに気づく。こうして私達は、全ての人にとって妥当であり、
普遍的な道徳的ルールを導き出すことのできる「客観的な正しさ」の概念を求
めることに追いやられる。そのような概念があり、それは定義不可能であり、
私達は倫理的直観の能力を持っていて、そのような種類の行為は客観的に正し
く、反対の種類の行為は客観的に間違っていると言うことができる、と言える
かもしれない。そう言えば反論されることはないが、しかし倫理的直観を否定
したり、私達とは異なる直観を持つ人と議論しなければならない場合、私達が
正しいことを証明することはできない。倫理的直観(ethical intuitions)と
言われるものの原因をよく吟味してみると、それは主に社会的環境の中で感じ
る賞賛や非難の感情にあることに気づくが、部分的には愛や憎しみ、支配や服
従といった私達自身の感情にもあることがわかる。道徳的規則(moral rules)
に関する相違は、事実(例えば、魔術の可能性に関する事実)に関する相違に
起因する部分もあるが、異なる個人や共同体間の感情的相違に起因する部分も
ある。従って、「道徳的直観」(moral intuition)などというものを想定す
る理由はなく、私がある行為が「客観的に正しい」と言うとき、文法的には主
張をしているように見えるが、実際には、私は(自分の)感情を表現している
のである、と思われる。
It is now time to sum up the conclusions suggested by the above
somewhat discursive discussions.
There is a concept of "subjective rightness" which is clear and
definite: an act is “subjectively right” if the agent has towards
it an emotion of approval, and “subjectively wrong” if he has an
emotion of disapproval. But if we say "a man ought to do what, for him,
is subjectively right", we find ourselves committed to intolerable
paradoxes. We are thus driven to seek a concept of "objective
rightness", which shall be valid for all men, and shall enable us to
arrive at universal moral rules. We may say that there is such a
concept, that it is indefinable, and that we have a faculty of ethical
intuition enabling us to say that acts of such-and-such kinds are
objectively right, while acts of opposite kinds are objectively wrong.
If we say this, we cannot be refuted, but we cannot prove that we are
right if we have to argue with a man who denies ethical intuition or
has intuitions differing from ours. When we examine the causes of what
are said to be ethical intuitions, we find that they are to be found
mainly in the emotions of praise or blame felt in our social
environment, but partly also in our own emotions of love or hate,
dominance or submission, and so on. Differences as to moral rules have
their source partly in differences as to matters of fact (for
instance, as to the possibility of witchcraft), but partly also in
emotional differences between different individuals or communities.
It seems therefore, that there is no reason to assume such a thing as
“moral intuition”, and that when I say that an act is “objectively
right” I am really expressing an emotion, though grammatically I seem
to be making an assertion.
Source: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, 1954,
chapter 6: Moral obligation, n.30
More info.: https://russell-j.com/cool/47T-0630.htm
■「ラッセルの言葉366_画像版」
日本語 version : n.2946j-2953j を投稿
英 語 version : n.2946e-2953e を投稿
n.2952j (Nov. 30, 2024)
「熊と蜜蜂、そして人間と酒」
熊は蜂蜜が大好きだが、自然の状態では蜂蜜を簡単に手に入れることはでき
ない。そのため、熊は原則として、熊にとって有益な量の蜂蜜しか手に入れる
ことができない。しかし、もし彼らが突然蜜蜂を飼う技術を身につけ、好きな
だけ蜂蜜を手に入れられるようになったとしたら、恐らく彼らはみな大病を患
い、もしかすると種全体が絶滅してしまうかも知れない。唯一の希望は、蜂蜜
の快楽は罪深いものだと教える禁欲的な道徳を発展させることだろう。これは
、アルコールの場合に人間に起こったこととまったく同じである。
Bears love honey, and in a state of nature they cannot easily get it.
As a rule, therefore, they get only as much honey as is good for them.
But, if they suddenly learnt the art of keeping bees and became able
to get as much honey as they wanted, they would presumably all become
very ill and perhaps the whole species would die out. Its only hope
would lie in the development of an ascetic morality teaching that the
pleasure in honey is sinful. This is exactly what has happened with
human beings in the case of alcohol.
Source: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, 1954,
part II: The Conflict of Passions, chapter 3: Forethought and Skill,
n.16
More info.: https://russell-j.com/cool/47T-2_0316.htm
<寸言>
水道水と同じくらい大量かつ安価にアルコールが提供されるようになったら
大変なことになりますす。現代の技術をもってすればそういったものを製造す
ることは可能でしょうが、幸いなことに、人類は過度に快楽を追わない方がよ
いという「禁欲的な道徳」を発明したために、人類は滅亡の道をたどらず、繁
栄しています。もちろん、人類の一部は、過度の快楽を追求しています。
It would be a disaster if alcohol became available as cheaply and in
as large a quantity as tap water. With modern technology it would be
possible to produce such a thing, but fortunately humanity has not
gone down the road to extinction and is thriving because we have
invented an ‘ascetic morality’ that says it is better not to pursue
pleasure to excess. Of course, some parts of humanity do pursue
excessive pleasure.
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(2) ラッセルに関する記述や発言等
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今回もお休み
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編集後記 人間万事塞翁が馬
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猪口邦子参議院議員の自宅マンションの部屋が全焼し、夫の猪口孝氏(東大
名誉教授)と長女の2人が死亡したとの衝撃的なニュースが飛び込んできまし
た。火事で焼死する事故や事件はめずらしくないですが、猪口夫妻はおしどり
夫婦として世間に知られており、二人とも元有名な大学教授だったということ
から大きくとりあげられています。
マンションは耐火性がすぐれており、火事になっても多くの場合逃げること
ができます。就寝中であったとしても複数在室していれば通常はどちらかが火
事に気付くことができますので、二人とも焼死というのはとてもめずらしいこ
とです。悠々自適の生活を送っていたと思われますが、やはり「人間万事塞翁
が馬」という諺があてはまる事故でした。自分は大丈夫だと思わない方がよそ
そうです。 (松下)
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■編集・発行:(松下彰良/まつした・あきよし)
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