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「(週刊)バートランド・ラッセル(1872.5.18-1970.2.2)に関するメール・マガジン」
  no.0903_2024/09/28 (2006/12/21 創刊/毎週土曜 or 日曜日 発行)
 
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    ■ 目 次 ■
          
 1.ラッセルの著書及び発言等からの引用
 2.ラッセルに関する記述や発言等
  編集後記


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 1.ラッセルの著書や発言等から
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■「ラッセルの英語」n.2769~2772 を発行しました。
 (1)「ラッセル英単語熟語」は、2769-2772
 (2)「ラッセルの英文」は、n.2770-2, 2772

 1つずつ再掲します。

★ confidence (n) [信頼;自信、確信;秘密]

* 語源:ラテン語の「con-(強意)」+ 「fido(信頼する)」
* confide (v):(秘密などを)打ち明ける;~を信頼する
* confident (adj): 自身に溢れた;(~を)確信している
* confidential (adj): 内密の;腹心の


1. ラッセルの用例

I do not think that Sidney's abilities would have been nearly as
fruitful as they were if they had not been backed by Beatrice's
self-confidence. I asked her once whether in her youth she had ever
had any feeling of shyness. 'O no.' she said, 'if I ever felt
inclined to be timid as I was going into a room full of people,
I would say to myself, 'You're the cleverest member of one of the
cleverest families in the cleverest class of the cleverest nation in
the world, why should you be frightened'.
[(しかし)シドニーの能力は、もしベアトリスの自信に支えられていなかった
ならば、夫婦で成果をあげたような、あのように実り多いものになったとは思
えない。私は、かつて彼女に、若い頃少しでも気後れする感情を抱いたことが
あったかどうか尋ねたことがある。彼女は、次のように応えた。「いいえ、
まったくありません。人がいっぱいいる部屋に入るような時、もし気後れしそ
うになったら、私はいつも自分にこう言いきかせました。『あなたは、世界中
で最も賢い国の、最も賢い階級の、最も賢い家庭の、最も賢い一員です、そん
なあなたがどうして恐がる必要がありましょう!』」]。
 出典:ラッセル『自伝』第一部第4章「婚約期間」
     https://russell-j.com/beginner/AB14-050.HTM

Although I did not have the opportunity to see this book before it
went to press, I am confident that Professor lwamatsu's diligence and
care in searching out and compiling my various writings is reflected
in it.
[私は、印刷に付される前に本書を見る機会を持つことができませんでした。
しかし、岩松助教授(注:実際は、教授になる前)は、かねがね私が書いたい
ろいろな著作を倦むことなく、そして注意ぶかく探し出し、まとめてくれてい
ます。その勤勉さと注意ぶかさとが本書にも十分反映されているものと私は確
信して疑いません。]
 出典:岩松繁俊『20世紀の良心-バートランド・ラッセルの思想と行動』へ
のラッセルの序文
     https://russell-j.com/cool/RPREF-20.HTM

The general public cannot tell which among scientists is to be trusted
and will therefore be wise to be very sceptical whenever they hear a
man of science giving a confident opinion about a matter on which he
has strong prejudices. Men of science are not supermen and are as
liable to error as the rest of us.
[一般大衆は科学者の誰を信用してよいか分らない。従って,科学者が個人的に
強い偏見を持っていることがらについて確信ある意見を述べるのを聞いたなら
ば,まず疑がってかかった方が賢明である。科学者は超人ではなく,われわれ同
様に過ちを犯しやすい。]
 出典: ラッセル『アメリカン・エッセイ集』の中の「科学者は科学的か?」
     https://russell-j.com/KAGAKSHA.HTM

The opinions they ( = parents) express, however, are so dogmatic that
the young seldom confide in them, and usually go their own way in
secret.
[けれども,彼ら(親)の述べる意見はひどく独断的なので,若者はめったに
胸のうちを親には明かさないで,通例,秘密裏に自分の好きなとおりにする。]
 出典:ラッセル『結婚論』第13章「今日の家族」
     https://russell-j.com/beginner/MM13-110.HTM


2.参考例

He confided to me that he had spent five years in prison.
[彼は5年間刑務所にいたと私に打ちあけた。]
 出典:『新版完全征服 データベース5500 合格 英単語熟語』p.311

I was very confident that my life was going well.
[私は自分の人生はうまくいくと確信していた。]
 出典:宮川幸久(編著)『英単語ターゲット1900(4訂版)』p.253

Lucy is sure that she can pass her driving test; she is confident
about everything she does.
[ルーシは運転免許試験に合格できると確信している。彼女は自分がやること
すべてに自信を持っている。]
 出典:『九大英単』, p.49

The girls exchanged confidences about their boyfriends.
[お互い内緒にしようね、と。]
 出典:Longman Dictionary of Contemporary English, new ed.

She accused them of leaking confidential infromation about her private
life.
 出典:Collins COBUILD English Dictionary for Advanced Learners, 3rd
ed.)


■■ ラッセルの英語 n2772-2 ラッセルの英文(2)

  ラッセル『ヒューマン・ソサエティ-倫理学から政治学へ』
  (Human Society in Ethics and Politics, 1954)

  第6章:道徳的義務 n.5

 承認という観点から"ought(べき)"を定義することにも同様の反論がある。
私たちは賛否の感情を抱くが、それはしばしば非常に強いものであり、不賛成
の場合は「彼はそうすべきではなかった」と言う。もしすべての人が、何を承
認し、何を不承認とすべきかについて同意しているならば、道徳的義務を定義
するために、これらの感情を使うことができるかもしれない。
 では、道徳的義務を定義する際に承認(という言葉)が用いられるとすれ
ば、誰の承認なのかを決めなければならない。三つの答えが考えられる。
 第一に、公的な権威の承認
 第二に、私の良心の承認
 第三に、行為者の良心の承認

  公的な権威はだめである。間違ったことを命令する可能性があるからであ
る。私の良心はだめである。私自身が道徳的独裁者であると宣言する権利がな
いことは明らかだからである。人がなすべきことはその人自身(行為者自身)
の良心が認めることである、という第三の見解を検討することが残る。

There are similar objections to defining "ought" in terms of approval.
We feel emotions of approval or disapproval, which are often very
strong, and when we disapprove we say “he ought not to have done
that”. If all men agreed as to what should be approved and what
disapproved, we might possibly use these sentiments to define moral
obligation. But, as we have seen, different ages and different regions
differ profoundly as to what they approve or disapprove, and even in
one country at one time there are disagreements, for instance between
vivisectors and anti-vivisectors, and between conscientious objectors
and the rest of the population. If, then, approval is to be used in
defining moral obligation, we shall have to decide whose approval.
Three possible answers suggest themselves: first, that of constituted
authority; second, that of my conscience; third, that of the agent's
conscience. Constituted authority will not do, since it is possible
for it to command what is wrong, and my conscience will not do, since
I have clearly no right to declare myself a moral dictator.
It remains to examine the third view, that what a man ought to do is
what his own conscience approves.
Source: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, 1954,
chapter 6: Moral obligation, n.5
More info.: https://russell-j.com/cool/47T-0605.htm


■「ラッセルの言葉366_画像版」
   日本語 version : n.2883j-2889j を投稿
   英 語 version : n.2883e-2889e を投稿

n.2883j (Sept. 22, 2024)

  「政治的に重要な欲望」

 私は政治理論の議論をこのテーマ(政治的に重要な欲)から始める。なぜなら、
現在の政治や政治理論について議論のほとんどが心理学を十分に考慮していな
いと考えるからである。・・・。
 政治が科学的なものになり出来事が常に驚きに満ちたものにならないために
は、政治的思考が人間の行動の源泉により深く入り込むことが不可欠である。
飢餓がスローガンに与える影響とは何か。スローガンの有効性は、食事のカロ
リー数によってどのように変化するのか。ある人が民主主義を提案し、別の人
が一袋の穀物を差し出したとしたら、飢餓のどの段階で穀物の方を選ぶだろう
か。このような疑問は、あまりにも考慮されていない。
I will begin the discussion of political theory with this subject
because I think that most current discussions of politics and political
theory take insufficient account of psychology. ...
If politics is to become scientific, and if the event is not to be
constantly surprising, it is imperative that our political thinking
should penetrate more deeply into the springs of human action. What is
the influence of hunger upon slogans.'’ How does their effectiveness
fluctuate with the number of calorics in your diet? If one man offers
you democracy and another offers you a bag of grain, at what stage of
starvation will you prefer the grain to the vote? Such questions are
far too little considered.
Source: Human Society in Ethics and Politics, 1954, part II: The
Conflict of Passions, chapter 2: Politically important desires, n.1
More info.: https://russell-j.com/cool/47T-2_0201.htm
<寸言>
 政府やマスコミによっていろいろなアンケートが行われますが、ほとんどが
「どう考えるか?」に関する質問であり、「どう感じるか?」に関するものは
わずかです。実際は「どう感じるから、どう考える」という順序です。そうし
て、「どう考える」という質問から得られる「意見」は、重要な「感情」とい
う要素がほとんど取り除かれてしまっています。
 つまり、 ラッセルに言わせれば、「現在の政治や政治理論について議論の
ほとんどが心理学を十分に考慮していない」ということになります。たとえば
、安倍総理(当時)が統一教会と関係があったという、自民党にとっては非常
に都合の悪い報道に対し、自民党は「寝ていた子を起こさないように」、NHK
などのマスコミに「中立的、客観的な報道をするように」圧力をかけます。
「感情的な」要素は排除して、客観的な放送をすべきだという圧力によって、
重要な「感情的要素」がそぎ落とされてしまっています。

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(2) ラッセルに関する記述や発言等
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 今回もお休み

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編集後記 「石破総理大臣」の誕生へ
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 石破茂氏が自民党の総裁に選ばれました。よほどのことがない限り、来週、
国会で総理大臣に選ばれるはずです。
 石破氏はこれまでの自民党総裁や総理大臣とはかなり性格が異なっています。
これまでの総理大臣は国会その他で野党から質問されても議論をさけたり、国
民に対してもあいまいな説明を頻繁に行ってきました。
 これに対し、石破氏は議論をさけることなく、質問に対してできるだけ論理
的に説明しようと努力しています。
 石破氏は、裏金議員などルールを破る政治家に対しては厳しい言葉を投げか
けています。これまでうやむやにされてきたことがだいぶ解消されるのではな
いかと期待されます。アジア版NATO構想など心配な面はありますが、それ以外
には期待できる面が多くありそうです。(松下) 

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■編集・発行:(松下彰良/まつした・あきよし)
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