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バートランド・ラッセルのポータルサイト

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「(週刊)バートランド・ラッセル(1872.5.18-1970.2.2)に関するメール・マガジン」
  no.0899_2024/09/01 (2006/12/21 創刊/毎週土曜 or 日曜日 発行)
 
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    ■ 目 次 ■
          
 1.ラッセルの著書及び発言等からの引用
 2.ラッセルに関する記述や発言等
  編集後記


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 1.ラッセルの著書や発言等から
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■「ラッセルの英語」n.2749~2753  を発行しました。
  (1)「ラッセル英単語熟語」は、2749-2753
  (2)「ラッセルの英文」は、n.2749-2, 2751-2, 2753-2
 
 1つずつ再掲します。

■■  ラッセルの英語 n2753:R英単語熟語  (revised)

★ compliment [(n) お世辞;賛辞,褒め言葉;敬意;(複数形で)あいさつ 
            || (v) お世辞を言う;敬意を表する,褒める]

* 由来:「com-(強意)」+「pli(満ちた)」+「ment(名詞化するための
接尾語)」。つまり、「完全に満たすこと」→「義務や礼節を満たすこと」→
賛辞、褒める
* complimentary (adj.):敬意を表する,賞賛の;(米国)招待の,無料の
* a complimentary copy 献本 / a complimentary ticket 優待券


1. ラッセルの用例

But for these various compliments on the part of the Government, I 
should have thrown up pacifist work, as I had become persuaded that it
 was entirely futile.
[政府側からのこういった種々のご挨拶(=仕打ち)がなければ -私の平和主
義者としての活動は,まったく無益だと思いはじめていたので- 多分,平和活
動は投げ出していただろう。]
 出典:ラッセル『自伝』第2巻第1章「第一次世界大戦」
     https://russell-j.com/beginner/AB21-260.HTM

We should not think of studying an ants' nest to find out which of the
 ants performed their formicular duty, and we should certainly not 
think of picking out those individual ants who were remiss and putting
 them into a bonfire. If God does this for us, it is a compliment to 
our importance; and it is even a pleasanter compliment if he awards to
 the good among us everlasting happiness in heaven.
[我々人間は(人間だったら),どの蟻が,蟻としての義務(formicular 
duty)を果たしたか発見するために,蟻の巣を調査しようとしないであろうし
,また,職務怠慢な蟻をとりあげて,地獄の焚火の中に投げ込もうと考えたり
しないであろう。神がこのような事を(実際に)我々(人間)になさるとする
ならば,それは我々人間の重要性に対するお世辞である。(また)神が我々の
うちの善良な者に,天国における永遠の幸福を(褒美として)与えるというで
あれば,それはもっと愉快なお世辞とさえ言うべきである。]
 出典:ラッセル「宗教は文明に有益な貢献をしたか?(1930)」
     https://russell-j.com/beginner/0466HRMUC-160.HTM


2.参考例

I have found Americans very graceful at giving and accepting 
compliments .
[私はアメリカ人が賛辞を述べたり受け入れたりするのがとてもうまいことに
気づいた。]
 出典:『英単語ターゲット1900 4訂版』p.359

The worker complimented his boss' tie because he was trying to get 
raise.
[労働者は昇給を得ようとして上司のネクタイを褒めた。]
 出典:『鉄緑会 東大英単語熟語 鉄壁』p.326

The hotel offered complimentary coupons for breakfast.
[そのホテルは無料の朝食クーポンを出していた。]
 出典:『キクタン super 12000』p.313

He was showered with compliments on his excellent performance.
 出典:Longman Dictionary of Contemporary English, new ed.


■■  ラッセルの英語 n2753-2 ラッセルの英文

 ラッセル『ヒューマン・ソサエティ-倫理学から政治学へ』
  (Human Society in Ethics and Politics, 1954)

  第5章:部分的善と一般的善 n.16

 この考え方(注:人間には下等動物に対する義務がなく生殺与奪の権を持つ)
を,人間に関することであれば、宗教、特にキリスト教は全面的に否認する。
キリスト教の理論では、人間は自分が所有する奴隷の一人を殺す権利も、女奴
隷を強要して妾にするる権利も奴隷達の結婚を解消する権利も持っていない。
宗教上の問題においては、人は全て平等である。しかし、これは公式の教義で
はあるが、ほとんどのキリスト教国では、ほとんどの時代において、その(実
際の)慣行からはほど遠いものであった。奴隷制が一般的であったところでは
どこでも、奴隷の上記の理論的権利は、個人によっても法廷によっても認めら
れてこなかった。北米のほとんどの白人は、以前は黒人を有用な存在、インデ
ィアンを厄介な存在と見なしていたが、どちらの場合も、インディアンや黒人
の善が白人のなすべきことに関係するとは考えていなかった。このような態度
は、過去100年の間に非常に和らいだが、一般に認められている以上にまだ残
っている。	
Where human beings are concerned, religion, more especially the 
Christian religion, wholly repudiates this view. In Christian theory,
 a man has no right to murder one of his slaves, or to force a female
 slave into concubinage, or to dissolve the marriages of slaves; in 
religious matters, all men are equal. But although this is the official
 doctrine, it has been very far from being the practice in most 
Christian countries at most times. Wherever slavery has prevailed, the
 above theoretical rights of slave's have not been acknowledged either
 by individuals or by the law courts. Most white men in North America
 formerly regarded Negroes as useful, Indians as a nuisance, but in 
neither case did they consider the good of the Indian or the Negro as
 having any bearing on what the white man should do. This attitude has
 been very greatly softened during the last hundred years, but more of
 it still lingers than is generally admitted.
Source: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, 1954,
 chapter 5: Partial and General Goods, n.16
  More info.: https://russell-j.com/cool/47T-0516.htm


■「ラッセルの言葉366_画像版」
   日本語 version : n.2855j-2862j を投稿
   英 語 version : n.2855e-2862e を投稿

    n.2862j (Sept. 1, 2024)
 
  「個人対社会;個人対国家」

 大雑把に言えば、モラリスト(道徳家)や政治家の目標は、個人の満足と一
般の満足(注:全体の満足)を可能な限り一致させるべきであり、従って、個
人が自分の満足を追求するために行う行為が、他の人々にも満足をもたらす行
為となるようにすべきである、といってよいでしょう。

Broadly speaking, one may say that the object of the moralist and of 
the politician should be to produce the greatest possible conformity 
of individual and general satisfaction, so that as far as may be the
 acts to which a man is prompted by pursuit of his own satisfaction 
are those which bring satisfaction to others.


 出典: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, 
(1954), chapter 13: Ethical Sanctions, n.6
 詳細情報.: https://russell-j.com/cool/47T-1306.htm
<寸言>
 なぜこんな平凡な主張をわざわざ引用したのかと、疑問に思う人も少なくな
いかも知れません。しかし、 ラッセルは、個人と社会、あるいは個人と国家
との関係を常に注意深く検討します。「全体の幸福」とか「国民全体の幸福」
とか「公共の福祉」とかいう言葉が、特に政治家によって、しばしば使われま
す。しかし、要注意です。それは、社会主義国や全体主義国だけでなく、資本
主義国においても同様に注意すべき問題です。ラッセルにとって、「国民全体
の幸福」あるいは「社会全体の幸福」と「個人の満足」の両方を満たすことは
、政治において最重要なことです。ですから、ラッセルは「国民全体の幸福」
という言葉を安易に使うことはほとんどありません。
(参考)稲田朋美氏の過去の問題発言(YouTube):「国民の生活が大事だなん
て政治は間違っています!」1

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(2) ラッセルに関する記述や発言等 
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 今回もお休み

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 編集後記 NHK100分de名著「Arthur Waley版『源氏物語』」の放送予定
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 NHK100分de名著『源氏物語』は、2012年4月にも放送されています。
https://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/11_genji/index.html

 明日(9月2日)から4回にわけて、世界的に有名な Arthur Waley版『源
氏物語』がNHK-ETVでとりあげられます。アーサー・ウェイリー(英: Arthur
 D. Waley、1889?1966:ケンブリッジ大学キングス・コレッジに1907年に入学
したが病気のため1910に中退)は東洋学者として有名ですが、バートランド・
ラッセル(1872-1970)とも親交がありました(因みに、ラッセルはケンブリ
ッジ大学トリニティ・コレッジ卒)。
 ウェイリーはロンドンのブルームズベリーに住んでおり、「ブルームズベリ
ー・グループには、学生時代からの友人が多くいた」とのことです。ラッセル
もブルームズベリー・グループのメンバーの多くと親交があったので、ウェイ
リーともブルームズベリー・グループを介して親しくなったと思われます。
  Arthur Waley版『源氏物語』は、1925年から1933年にかけて6巻に分けて出
版され、出版されるとたちまちベストセラーとなったそうです。
https://ja.wikipedia.org/.../%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%82%B5...
 ドナルド・キーンが日本研究を始めたのも Arthur Waley版『源氏物語』が
きっかけだったというのをご存じの方は多いと思われます。

 第1回めの放送「ウェイリー版“源氏物語” (1)翻訳という魔法」について
、NHKの番組紹介ページに次のように書かれていますので、転載しておきます。

「今からおよそ千年前に紫式部によって書かれた「源氏物語」。その900年
後、イギリス人のアーサー・ウェイリーが英語に翻訳した。その優れた訳は大
きな反響を巻き起こす。
ウェイリーによる「源氏物語」英訳では、「帝」はエンペラーに、「宮廷」は
パレスに、「物の怪」はエイリアンに…と巧みに翻訳された。物語はまるで異
国のおとぎ話のように生まれ変わり、世界に「源氏物語」が知れわたる大きな
きっかけとなる。そこにはウェイリーによるどんな技術や技が駆使されていた
のか? 第一回は、翻訳という魔法によって、いかにして「源氏物語」が世界
的な評価を受けるようになったかを探っていく。」

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■編集・発行:(松下彰良/まつした・あきよし)
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