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「(週刊)バートランド・ラッセル(1872.5.18-1970.2.2)に関するメール・マガジン」
no.0886_2024/06/01 (2006/12/21 創刊/毎週土曜 or 日曜日 発行)
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■ 目 次 ■
1.ラッセルの著書及び発言等からの引用
2.ラッセルに関する記述や発言等
編集後記
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1.ラッセルの著書や発言等から
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■「ラッセルの英語」n.2686~2690 を発行しました。
(1)「ラッセル英単語熟語」は、2686-2690
(2)「ラッセルの英文」は、n.2686-2, 2688-2, 2690-2
1つずつ再掲します。
■■ ラッセルの英語 n2690:R英単語熟語 canon (revised)
★ canon (n) [(教会の)戒律,法規;規範,基準;(聖書外典に対する)正典;
真作品;(大文字の"Canon"で)聖堂参事会会員]
* canonical (adj.):正典の;教会法に基づく;基準的な,権威のある;
(コンピュータのカノニカル)ページ内容が類似もしくは重複しているURLが
複数存在する場合に,検索エンジンからのページ評価が分散されないよう,正
規のURLがどれなのかを検索エンジンに示すために用いる記述のこと
* カノン砲(大砲)のスペルは"cannon"なので混同しないこと。
1. ラッセルの用例
But very soon he (= Aristotle) became the canon of orthodoxy, and no
advance could be made except by showing the falsehood of what he had
said. .
[しかしあっという間に,彼は'正統主義'の規範(基準)となり,彼の言った
ことの誤りの立証なしには(学問の)進歩は不可能となった。]
出典:ラッセル『アメリカン・エッセイ集』の中の「畏敬の念について 」
https://russell-j.com/REVERENS.HTM
Scientific scripture, in its most canonical form, is embodied in physics
(including physiology).
[科学の聖典は -その最も規準的なものとして(最も正典として)認められた形
で- 物理学(生理学を含む)の中に具体的に表現されている。]
出典:ラッセル『意味と真偽性-言語哲学的研究』序論
https://russell-j.com/cool/37T-INTRO02.HTM
The Church contributed learning, philosophy, the canon law, the
conception of the unity of Christendom--all of them results of the
tradition handed down from Mediterranean antiquity.
[キリスト教会は,学問,哲学,教会法,キリスト教世界(キリスト教国)の
一体性という理念に貢献したが,これらはいずれも,古代地中海文明(注:ギ
リシア・ローマ文明)から受け継いだ伝統の所産である。]
出典:ラッセル『結婚論(結婚と性道徳)』 第6章「ロマンティックな恋
愛」
https://russell-j.com/beginner/MM06-030.HTM
A meeting of the sponsors of the National Council for the Abolition of
Nuclear Weapons Tests was held at the house of Canon John Collins in
Amen Court and the CND was formally started early in January, 1958. .
[1958年1月初め,核実験廃止全国会議の発起人の会合が(ロンドンの)エイメ
ン・コートにあるキャノン・ジョン・コリンズ(1905-1982:英国国教会の聖
職者で聖堂参事会会員)の家で開かれ,CNDが正式に発足した。]
出典:ラッセル『自伝』第3巻第3章「トラファルガー広場」
https://russell-j.com/beginner/AB33-030.HTM
2.参考例
a canonical source of information
[権威ある情報源]
出典:『京大学術語彙データベース 基本英単語1110』, p.69
This peom is now accepted as belonging to the Shakespearian canon.
出典:Longman Dictionary of Contemporary English, new ed.
"Wuthering Heights" is a central book in the canon of English
literature.
出典:Oxford Advanced Learner's Dictionary, 8th ed.
If something has canonical status, it is accepted as having all the
qualities that a thing of its kind should have.
出典:Collins COBUILD English Dictionary for Advanced Learners, 1982
ed.
■■ ラッセルの英語 n2688-2 ラッセルの英文
ラッセル『ヒューマン・ソサエティ-倫理学から政治学へ』
(Human Society in Ethics and Politics, 1954)
第3章:手段としての道徳 n.7
倫理が(神による)啓示によって知られる道徳的規則に従うことにあると考
えられている場合でさえ、功利主義的議論(論拠)によってこれらの規則を弁
護するのがいまだに慣例になっている。 道徳の唯一の基礎(土台)が神の命
令であるとすれば、神の命令は現にあるものの正反対であったとしても全く
(just as well )よいということになるかも知れない(可能性がある)
(注:正反対のことを命令されても従わなければならないことになる)。
(つまり)気まぐれ以外の、いかなる理由も、モーセの十誡から全ての「なか
れ(~をしてはいけない)」を取り去るのを防ぐことはできなかったのである。
この見解(道徳の唯一の根拠が神の命令)は、適切にも、神学者たちによって
正しくも非難されてきた。神が殺人を命じたというのよりも、神が殺人を禁じ
た、という方が、ずっと信じやすい。(たとえば)殺人を宗教的義務とみなす
(インドの)タグ(Thugs)のような宗派は、 依然として、ごくわずかである。
こういう感情の真の理由は、(多くの場合、意識されてはいないが)すぐに殺人
に訴える共同体は、居心地が悪く、私達の多くが善(良い)と考えるいろいろ
な目的を実現することができないということである。神学者たちは、常に、神
の命令(神意)は良いもの(善)であり、そういうことを言うことは単なる同
語反復ではない、と説いてきた。従って当然、良いもの(善)は論理的には神
の命令とは無関係であるということにもなる。神は殺人を命じることはできな
かったであろう。なぜなら、そのような命令は忌わしい結果を招いたであろう
からである。
Even when ethics is conceived as consisting in obedience to moral
rules known by revelation, it is still customary to defend these rules
by utilitarian arguments. If the only basis of morality is God's
decrees, it follows that they might just as well have been the
opposite of what they are; no reason except caprice could have
prevented the omission of all the "nots" from the Decalogue. This view
has been rightly condemned by the theologians. It is much easier to
believe that God has prohibited murder than that He has enjoined it;
sects like the Thugs, which consider murder a religious duty, remain
very small. The real (though often unconscious) reason for this
feeling is that a community addicted to murder is uncomfortable, and
cannot realize various ends that most of us think good. Theologians
have always taught that God's decrees are good, and that this is not
a mere tautology; it follows that goodness is logically independent
of God's decrees. God could not have enjoined murder, since such a
decree would have had evil consequences.
Source: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, 1954,
chapter 3: morality as a means, n.6
More info.: https://russell-j.com/cool/47T-0307.htm
■「ラッセルの言葉366_画像版」
日本語 version : n.2764j-2769j を投稿
英 語 version : n.2764e-2769e を投稿
1つだけ再録します n.2766j (May 28, 2024)
「共同体の利益と個人の利益との関係」
政府、法律、道徳など、様々な力を通して、共同体の利益が個人に押し付け
られる。例えば、誰も盗んではならないというのは、共同体の利益になる。
しかし、上記の諸力を別にすれば(自己利益だけを考えれば)、自分は盗むが
他の人は盗まないということは、私にとって利益であろう。このような例外的
な立場を維持できるのは独裁者だけであり、独裁者は権力を失えば支持を失う
ことになる。独裁者が存在するという事実にもかかわらず、迷信的なものでな
い限り、道徳規範の目的は、共同体の利益を個人に押しつけ、そうでなければ
存在しないであろう個人の利益と(自分が属する)集団の利益との一致
(identity 同一性)を生み出すことであると言ってよいだろうと思う。
Through these various forces - government, law, morals - the interest
of the community is brought to bear upon the individual. It is to the
interest of the community, for example, that no one should steal. But,
apart from the above forces, it would be to my interest that I should
steal, but no one else. Only tyrants can maintain themselves in this
exceptional position, and tyrants are not approved when they no
longer have power. I think we may say, in spite of the fact that
tyrants occur, that the purpose of a moral code, in so far as it is
not superstitious, is to bring the interest of the community to bear
upon the individual, and to produce an identity between his interest
and that of his herd which would not otherwise exist.
Source: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics,
(1954), chapter 10:Is there ethical knowledge ?
More info.: https://russell-j.com/cool/47T-1008.htm
<寸言>
政府(統治組織)や法律や慣習という外部圧力がまったくなければ、安心・
安全な社会はなりたちません。しかし、往々にして、組織が巨大になり、社会
が複雑化すると、共同体が個人に押し付ける規範が個人の自由を圧迫しがちに
なります。
個人の自由を重んじるラッセルとしては、個人対社会(国家その他の様々な
組織体と個人)の問題は永遠の課題であり、注意しないと、いつの間にか、個
人の自由が侵害される状況になる、と考えます。
それは社会主義の国だけではなく、民主主義国にとっても大きな問題であり
、権力者(総理大臣から小規模な組織の長まで)が不当な権力を行使しがちで
す。(国営放送ではなく、公共放送である) NHKの会長に権力(当時の安倍総理)
に従順な者(籾井勝人氏)をあてたり、30歳たらずの息子を自分(岸田総理大
臣)の公設秘書官にしたりしてしまいます。
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(2) ラッセルに関する記述や発言等
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今回もお休み
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編集後記 トランプ支持者のキリスト教右派は何を信じているのか?
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アメリカは国土が広く人口も日本の人口の2倍以上(約3億4千万?)もあり、
都市部(ニューヨークやロサンゼルス)と地方とでは人々の考え方が異なるの
で、アメリカ人の「平均的な」物の考え方を知ることは困難というか、あまり
意味がないことかも知れません。
理解が困難なものの一つは、アメリカ人のキリスト教信仰と政治家に対する
態度との関係です。たとえば、トランプはキリスト教右派層によって支持され
ているという報道がよくされますが、キリスト教右派はトランプの何を支持し
ているのでしょうか? 米国民の半数以上が聖書を信じているとのことで、特
に地方にキリスト教の熱心な信者がいることは理解できます。トランプは嘘つ
きで不倫や脱税その他様々な不正をしているという非難に対し、それはデマだ
と主張する熱心なトランプ信奉者は別として、トランプの不正がいろいろ報道
され続けてもあいかわらずトランプを支持している人(キリスト教「信者」)
が国民の4割近くもいるのはなぜでしょうか?
本日(米国時間では5月30日)、ニューヨーク州の裁判所の陪審員は「不倫の
口止め料をめぐって帳簿などの業務記録を改ざんした罪に問われている裁判」
で、(12人の陪審員全員一致で)トランプに有罪の評決を下しました。しかし、
米国憲法においては「前科がある者は大統領選挙に立候補できない」という規
定はなく、裁判で有罪になってもトランプ支持は3%くらい減るだけだろうと
報道されています。(なお、ここではバイデンが大統領候補としてふさわしい
かどうかは別問題としています。) よく理解できません。
ニューヨーク以外の、たとえば米国中部の地方都市での裁判であれば、違っ
た結果がでた可能性がありますが、ニューヨークやロサンゼルスなどの大都市
(民主党が強い地域)であれば、控訴によって、判決がひっくりかえることは
なさそうです。(松下)
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■編集・発行:(松下彰良/まつした・あきよし)
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