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「(週刊)バートランド・ラッセル(1872.5.18-1970.2.2)に関するメール・マガジン」
  no.0884_2024/05/25 (2006/12/21 創刊/毎週土曜 or 日曜日 発行)

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    ■ 目 次 ■
          
 1.ラッセルの著書及び発言等からの引用
 2.ラッセルに関する記述や発言等
  編集後記


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 1.ラッセルの著書や発言等から
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■「ラッセルの英語」n.2681~2685  を発行しました。
  (1)「ラッセル英単語熟語」は、2681-2685
  (2)「ラッセルの英文」は、n.2681-2, 2683-2, 2685-2
 
 1つずつ再掲します。

■■  ラッセルの英語 n2683:R英単語熟語  (revised)

★ but for [もしも(今)~がなければ;もしも(あの時)~がなかったならば]

* "but for"だけでは、仮定法過去なのか、仮定法過去完了か判断できない。
帰結部分が、"would + 原型動詞"ならば仮定法過去となり、"would have + 
過去分詞"の形であれば、仮定法過去完了と判断できる。
 なお、「しかし、~のために」という意味になることもあるので、注意。


1.ラッセルの用例

But for the pressure of the law, the impulse to murder would, I think,
 be commoner than most people realise.
[しかし,法による強制がなければ,殺人の衝動は多くの人が認識しているより
も,はるかに一般的になろう。]
 出典:ラッセル『アメリカン・エッセイ集』の中の「犯罪への興味」
     https://russell-j.com/CRIME-I.HTM

This practical toleration was a method of increasing the power of the
 clergy, since they alone could pronounce absolution, and but for 
absolution fornication would entail eternal damnation.
[この実際的な(実際上の)寛容さは、聖職者の権力を増大させる方法の一つと
なった。なぜなら、聖職者のみが赦免を申しわたすことができたし、赦免がな
ければ、姦通(私通)には(来世において)必然的に永遠の地獄の責め苦を伴
うから(課されることになるから)である。]
 出典:ラッセル『結婚論』第5章「キリスト教倫理」
     https://russell-j.com/beginner/MM05-090.HTM

But for children, there would be no need of any institution concerned 
with sex, but as soon as children enter in, the husband and wife, if
 they have any sense of responsibility or any affection for their 
offspring, are compelled to realize that their feelings towards each
 other are no longer what is of most importance.
[子供がいなければ(子どもが生まれることがなければ)、性に関する制度は
いっさい不要になるだろう。しかし、子供がからんでくるやいなや、夫と妻は
、いやしくも責任感があり、子供に対する愛情が少しでもあるのであれば、夫
婦相互の感情はもはや一番重要なものではない、ということを悟らざるをえな
いのである。]
 出典:ラッセル『結婚論』第6章「ロマンティックな恋愛」
     https://russell-j.com/beginner/MM06-120.HTM

But for the former, the Gospels would not have been written in Greek, 
and Christianity could not have been preached throughout the Roman 
Empire. But for the latter, the French would not speak a language 
derived from Latin, and the Catholic Church could scarcely have 
existed.
[もし前者(アレクサンダー大王)が存在しなかったとしたら,福音書もギリ
シア語で書かれることはなかったであろうし,キリスト教もローマ帝国全域で
説かれることもなかったであろう。またもし,後者(シーザー)が存在してい
なかったならば,フランス人も,ラテン語に由来する言語(注:フランス語)
をしゃべることはなかったであろうし,カトリック教会もほとんど存在しなか
ったであろう。]
 出典:ラッセル『権力』第3章「権力の形態」
     https://russell-j.com/beginner/POWER03_070.HTM


2.参考例

But for his assistance, I would have failed.
[彼の助けがなければ,私は失敗していたでしょう。]
 出典:『英単語ターゲット1900』p.49

But for the heat of the sun, what would become of the living things on
 earth?
[太陽の熱がなかったら、地上の生物はどうなっただろう。]
 出典:鈴木長+伊藤和夫(共編)『新・基本英文700選』p.72

But for your advice, I should have failed.
[君の助言がなかったなら、私は失敗していたでしょう。]
 出典:風見寛『解体英語構文 改訂版』p.202

But for your assistance, I could not have done it.
[君の援助がなかったら、私にはそれはできなかったであろう。]
 出典:佐々木高政『英文構成法』p.248

But for (= Without) your help, I'd be stranded.
 出典:Longman Dictionary of Contemporary English, new ed.


■■  ラッセルの英語 n2685-2 ラッセルの英文

 ラッセル『ヒューマン・ソサエティ-倫理学から政治学へ』
  (Human Society in Ethics and Politics, 1954)

 第3章:手段としての道徳 n.5

 私達は皆、ある種の倫理規範は他の倫理規範よりもより良い(優れている)
という考えを抱くが、まさにそれと同じように、私達は - 良心も人によって
異なることがわからないほど無知だということでなければ - ある種の良心は
他の良心よりもより良いと考えざるを得ない(must hold)。 それゆえ、良心以
外に、どのような行為を望ましいと考えるべきかを決めるある種の規準
(criterion)がなければならない(ことになる)。しかもこの規準は「殺すな
かれ」「盗むなかれ」というような行為の規範から導き出すことはできない。
というのは、すでに見たように、そのような規則については、全般的な一致は
ないからである。

 私達の時代や国の枠(制限)を飛び越えることなしに、一般に受け入れられて
いる規則に対する例外が、熟考によって、一般に認められるだろうことを示す
のは容易である。まず殺人の禁止をとりあげてみよう。もし「殺人(murder)」
が「正当化できない殺人(homicide)」と定義されるなら、殺人(murder)は、
同語反復的に(tautologically)、間違っているということになる。しかしこれ
は、殺人がどんな時に正当化されるかという問題に論点を移しただけである。
多くの人は、戦時や法の正当な手続きによる断罪の結果の殺人は正当化される
と考える。自分の命を守る方法が他にない場合には自衛のために人を殺す権利
がある、というのはごく一般的な考え方である。そこから、自分の妻や子供を
守るために人を殺す権利も持っていに違いないという結論がでてくるように思
われる。しかし、自分の妻を死よりも悪い運命から救うことについてではどう
であろうか?(注:安楽死など) また、他人の子供が危険に瀕している場合
、その子供についてはどうであろう(注:その子供を救うために危害を加えよ
うとしている者を殺害するなど)。あるいは、 偶然、あなたがガイ・フォー
クスが重大な危機にある列車(fatal train)に火をつけようとしているとこ
ろに遭遇したとして、彼を阻止する惟一の方法が即座に彼を銃殺するしかなか
ったとしたどうだろうか? 大部分の人は、あなたが彼を撃つことは正当化さ
れると考えるであろう。しかし、もし、彼が火をつけかかっている時に、彼が
王や上院議員・下院議員たちをぶっ飛ばそうとしていたのか、それともただ煙
草を一服吸おう としていたに過ぎなかったのか、いずれともはっきりしなか
ったとしたら、あなたが彼の意図を悪い方に解釈することは正当化されるであ
ろうか。
* 訳注:一六〇五年十一月五日、英国の議事堂を爆破してジェームズ一世と議
員たちを殺害しようと企てた 旧教徒の陰謀(その張本人がガイ・フォークス)
があった。
Just as we all hold that some ethical codes are better than others, 
so we must hold that some consciences are better than others, unless 
we are so ignorant as not to be aware that consciences differ. There
 must therefore be some criterion other than conscience by which to 
decide what is to be considered desirable conduct, and this criterion
 cannot be derived from rules of conduct such as "do not kill" or "do
 not steal", because, as we have seen, there is no general agreement
 as to such rules.

Without going outside the limits of our own age and nation it is easy
 to show that exceptions to received rules would be generally admitted
 on reflection. Take, first, the prohibition of murder. If "murder" is
 defined as "unjustifiable homicide" it follows tautologically that 
murder is wrong. But this merely transfers the argument to the inquiry
 as to when homicide is unjustifiable. Most people think that homicide
 is justified in war and as a result of condemnation by due process of
 law. It is very generally held that you have a right to kill a man in
 self-defence if there is no other way of preserving your life. 
It would seem to follow that you must have a right to kill a man in 
defence of your wife or your children. But how about saving your wife
 from a fate worse than death? And how about other people's children 
when they are in danger? Or suppose you had come upon Guy Fawkes just
 about to fire the fatal train, and the only way of stopping him had
 been to shoot him on the spot? Most people would consider you 
justified in shooting him. But suppose, when you saw him making a
 light, you were uncertain whether he meant to blow up King, Lords 
and Commons or only to smoke a pipe, would you be justified in taking
 the blacker view of his intentions?
 Source: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, 1954,
 chapter 3:  n.2
  More info.: https://russell-j.com/cool/47T-0305.htm


■「ラッセルの言葉366_画像版」
   日本語 version : n.2756j-2763j を投稿
   英 語 version : n.2756e-2763e を投稿

 1つだけ再録します n.2757j (May 19, 2024)

 「生成AIロボット出現の予言」

 こう言ったと仮定しよう。即ち、「最大の悪は罪(the greatest evil is
 Sin)であり、私は、性器を持たずそれゆえ罪を犯すことができないロボット
を製造することができる。私はこのロボットに通常賞賛されるあらゆることを
させることができる。聖書を読ませることも、雄弁な説教をさせることもでき
る。そうして、ロボットの説教者の感動的な説教を聞いて感動して泣いたり胸
をたたいたりするロボットの信者集団さえ作ることもできる」と。これらは全
てまだ夢物語だが、今後100年以内に可能になるだろう。

Suppose you said, "the greatest evil is Sin, and I can manufacture 
robots which shall have no sexual parts and shall therefore be 
incapable of sin. I can make these robots do all the things that are
 usually praised. I can make them read the Bible. I can make them 
preach eloquent sermons. And I can make robot congregations that will
 weep and beat their breasts as they hear the robot preachers’ moving
sermons.” All this is as yet a beautiful dream, but I daresay it will
 become possible within the next hundred years.
Source: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, (1954)
, chapter 10:Is there ethical knowledge ?
More info.: https://russell-j.com/cool/47T-1006.htm

<寸言>
 この本が出版されたのは1954年ですので、100年後というのは2054年になり
ます。ラッセルの予言(生成AIロボットの製造)は2050年には十分実現できて
いると思われます。
 なお、「最大の悪は罪であり(the greatest evil is Sin)」というのは、
「Sin」が大文字であることから、「原罪」(神の教えに背いてアダムとイブ
が甘い果実を食べたこと(神の禁制を破ったこと)を言っていることと思われ
ます。具体的には性的な犯罪でしょうか?
 試しに、 Google gemini と対話してみました。

<私>「robots which shall have no sexual parts」は性器を持たないロボ
ットという意味でしょうか?

<Google gemini> はい、その通りです。「robots which shall have no 
sexual parts」は、性器を持たないロボットという意味になります。

ラッセルは、ロボットが性器を持たないことで、人間と同じように罪を犯すこ
とができないと主張しています。彼は、ロボットに聖書を読ませたり、説教を
させたり、信者の真似をさせたりすることは可能だと考えていますが、性的な
欲望や誘惑に駆られることなく、真の信仰や倫理的な行動はできないと考えて
います。

この文章は、人工知能やロボット倫理に関する議論において、重要な問題提起
となっています。ロボットが人間と同じように倫理的な判断を下せるのか、
それとも人間とは異なる倫理観を持つ必要があるのか、といった議論を促進す
るものです。

なお、「shall」は古い英語の助動詞で、現代英語では「will」や「should」
に置き換えられることが多いです。この文章の場合、「robots which will 
have no sexual parts」や「robots which should have no sexual parts」と
表現しても意味は変わりません。

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(2) ラッセルに関する記述や発言等 
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 今回もお休み

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 編集後記 権力にしがみつきたい小池都知事?
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 「小池百合子都知事が無所属で3選出馬へ…都議会で表明向け調整」
  (『読売新聞』2024年5月25日付)

 2024年5月25日付の『読売新聞』は、小池都知事が「6月20日告示、7月
7日投開票の都知事選に3選を目指して無所属で立候補する方針を固めた」と
報じています。また、「都議会自民党は23日の会合で、小池氏が出馬する場
合、応援する方向性を確認した」とも報じています。

 小池氏については、学歴訴訟「疑惑」問題があり、東京都の元側近の小島敏
郎氏(元環境省の次官級のポストを経験)は、もしも「カイロ大学」卒を経歴
にして立候補した場合は「告訴」すると主張しています。
https://www.youtube.com/watch?v=ylx1Vjwnnxo&t=6s&pp=ygUM5bCP5bO25pWP6YOO

 小池氏が「卒業」したという当時のカイロ大学は軍事政権の強い影響下にあ
り、現在の学長(総長)も当時の学長の子弟筋とのことです。小池氏がカイロ
大学を卒業したことは確かだという「カイロ大学声明」も出されていますが
これも学歴詐称批判で困っていた小池氏に相談され、小島氏が「カイロ大学か
ら声明を出してもらえばよいのではないか」と提案し、それを受けたものだと
のことです(← この声明は小島氏の知り合いのA氏が執筆し、エジプトの日
本駐在大使館に働きかけ、駐在大使館の facebookに掲載されました。
 ↑ 小島氏の主張)。

 小池氏は機転が利くので、都知事戦に今度立候補する時には、「学歴など私
にとって重要ではない、ワイワイ外野がうるさいので、今回は経歴には書かな
いでおいた」としれっと言って、批判をかわしそうな気がします。

 小池氏で問題なのは、学歴詐称よりも、この問題でエジプト政府に大きな借
りつくったと思われることです。エジプト政府に不当な利便を供与しているの
ではないかとの指摘があり、それが本当だとしたらうなづけます。(政府に働
きかけてのエジプトへの各種財政支援その他)

 真偽のほとはよくわかりませんが、いずれにしても、小池都知事の権力への
執着はとても強いようです。(松下)


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■編集・発行:(松下彰良/まつした・あきよし)
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