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バートランド・ラッセルのポータルサイト

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「(週刊)バートランド・ラッセル(1872.5.18-1970.2.2)に関するメール・マガジン」
  no.0860_2023/11/18 (2006/12/21 創刊/毎週土曜 or 日曜日 発行)

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    ■ 目 次 ■
          
 1.ラッセルの著書及び発言等からの引用
 2.ラッセルに関する記述や発言等
  編集後記

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 1.ラッセルの著書や発言等から
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■「ラッセルの英語」n.2554~2559  を発行しました。
  (1)「ラッセル英単語」は、n.2556, 2558
  (2)「ラッセルの英文」は、n.2554, 2555, 2557
 
 それぞれ1つだけ再掲します。


■■ バートランド・ラッセルの英語 n.2558  ラッセル英単語熟語

★ provide for【 ~を養う;~に備える】

* provide ~ with : 「~に~を供給する」と混同しない。
* provision (n):用意、準備、設備;(複数形で)食料;貯蔵品


1.ラッセルの用例

I had to provide for their further education at a moment's notice.
[(そこで)すぐさま私(ラッセル)は,彼ら(ラッセルの子供)のそれ以後の
教育の手配をしなければならなかった。]
 出典:ラッセル 『自伝』第2巻第6章 「アメリカ(生活)
    https://russell-j.com/beginner/AB26-020.HTM

She went to the War Minister and demanded that he should pay her bill
 out of the funds provided for the war.
[彼女(皇帝ナポレオンの妻ジョセフィーヌ)は,国防大臣のところへ行き,戦
争に備えるための資金からこの請求書の支払いをするように要求した。]
 出典:ラッセル 『幸福論』第11章 「熱意」
     https://russell-j.com/beginner/HA22-050.HTM

Such things are health, the general possession of one's faculties, a 
sufficient income to provide for necessaries, and the most essential 
social duties, such as those towards wife and children.
[そういう事物には,健康,(世間並みの)能力を全般的に持っていること,必需
品を備える(買える)だけの収入及び,'妻子への義務'といった最も基本的な
社会的な義務,などがある。]
 出典:ラッセル『幸福論』第11章「熱意」
     https://russell-j.com/beginner/HA22-050.HTM

She sinks to a much lower level of comfort than that to which she has 
been accustomed, since her husband's income is very likely no larger 
than that which she was previously earning, and has to provide for a 
family instead of only a single woman.
[彼女(注:専門職の未婚の女性)は、(結婚すると)それまで慣れてきたよ
りもずっと低いレベルの安楽さに落ち込む。なぜなら、夫の収入は、多分、彼
女が以前稼いでいた収入よりも多くはないという可能性が大きく、また、ただ
一人の女性ではなく、家族全体を扶養しなければならないからである。]
 出典:ラッセル『幸福論』第13章「家族」
    https://russell-j.com/beginner/HA24-020.HTM


2.参考例

Young as he is, he has a large family to provide for. / 
We must provide for the future.
[彼は若いが、養わなければいけない大家族がある。/我々は将来に備えなけ
ればならない。]
 出典:『解体英熟語 - 改訂第2版』p.122

We should provide for the education of our children.]
[我々は子供の教育のために備えをしておかなければならない。]
 出典:森一郎『試験にでる英熟語』p.123

He has five children to provide for / The plans provide for road 
traffic increasing to twice its present volume.
 出典:Longman Dictionary of Contemporary English, new ed.


■■  ラッセルの英語(2) n2557 ラッセルの英文
 ( Unpopular Essays, 1950 から)

 「哲学と政治」n.13

 プラトンがパルメニデスから受け継ぎ、自らのイデア論に具体化した静的完
全という理想(注:理想国の状態を維持し続けること)は、現在では一般に人
事(人間に関わる事柄)にはあてはめることのできないものと認識(理解)さ
れている。人間は、休むことをしない動物であり、一ヶ月に一度十分食べあと
は寝ているという南米の大蛇(the boa constrictor)のように、満足すること
はない。 人間は自分の幸福のためにあれこれのものを手にいれる必要がある
ばかりでなく、希望と冒険と変化とを必要とする。ホップスが言うように「至
福(felicity)」は成功し続けることにあるのであって、成功したことにある
のではない」(注:"felicity consisteth in prospering, not in having 
prospered.”)。(注:ただし、トマス・ホッブスの「万人の万人に対する闘
争」での記述は、「For war consisteth not in battle only, or the act of
 fighting, but in a tract of time, wherein the will to contend by 
battle is sufficiently known」= すなわち、戦争とは、闘いつまり戦闘行
為だけではない。闘いによって争おうとする意志が十分に示されていさえすれ
ば、そのあいだは戦争である。) 近代の哲学者の間では、終わりなき、そし
て変わらざる祝福(bliss has )という理想は、進化の観念によってとって代
わられた。 そこには、決して完全に到達されることのないゴール、あるいは
とにかく今これを書いている時までには到達されなかったゴール、に向かって
の正しい進歩があると考えられている。この物の見方に関する変化はガリレに
始まったところの、静力学にかえるに動力学をもってしたことのなせるわざで
あり、そしてその変化はまた科学的、政治的のいずれをとわず近代の全ての考
えかたに次第に強く影響をあたえるようになった。	

Philosophy and Politics, (1947), n.13

The ideal of static perfection, which Plato derived from Parmenides 
and embodied in his theory of ideas, is one which is now generally 
recognized as inapplicable to human affairs. Man is a restless animal,
 not content, like the boa constrictor, to have a good meal once a 
month and sleep the rest of the time. Man needs, for his happiness, 
not only the enjoyment of this or that, but hope and enterprise and
 change. As Hobbes says, "felicity consisteth in prospering, not in
 having prospered.” Among modern philosophers, the ideal of unending
 and unchanging bliss has been replaced by that of evolution, in which
 there is supposed to be an orderly progress towards a goal which is
 never quite attained or at any rate has not been attained at the time
 of writing. The change of outlook is part of the substitution of 
dynamics for statics which began with Galileo, and which has 
increasingly affected all modern thinking, whether scientific or 
political.
  Source: https://russell-j.com/cool/UE_01_philosophy_and_politics-130.HTM
 
 
■「ラッセルの言葉366_画像版」
 日本語 version : n.2569j-2574j を投稿
 英 語 version : n.2569e-2574e を投稿

 1つだけ再録します。n.2565j (Nov. 9, 2023)

 「山上の垂訓(キリストの教え)をクリスチャンは守らず」

 キリストは、人は一般的な善を追求すべきであると教えた。これは、「汝、
隣人を己のごとく愛せよ」という戒律の趣旨であり、善きサマリア人のたとえ
話とともに、通常は敵意をもって見なされている集団の一員であっても隣人と
見なされることを示している。同じ見解が仏教徒やストア派によっても採られ
ている。・・・。
 ナショナリズムが台頭して以来、高潔な人間の努力の目的として、自国の善
を全人類の善に置き換えることが一般的になった。

Christ taught that a man should pursue the general good. This is the 
purport of the precept "thou shalt love thy neighbour as thyself", 
together with the explanatory parable of the Good Samaritan, showing
 that a member of a group usually regarded with hostility is to be 
considered a neighbour. The same view was taken by the Buddhists, and
 by the Stoics ... .
Since the rise of nationalism, it has been common to substitute the
 good of one’s own nation for that of all mankind as the proper aim 
of a virtuous man’s endeavours.
 Source: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, 
(1954), chapter 5
More info.:https://russell-j.com/cool/47T-0502.htm

<寸言>
 これは、キリスト教徒の国においても、イスラム教徒の国においても、仏教
徒の国においても、また、特定の宗教を信じている人が多くない国においても
、同様の状況です。ナショナリズム(国家主義的な考え方)の病にかかってい
ない国や国民は残念ながら少数です。
 「高潔な」人というのは、もちろん皮肉です。

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(2) ラッセルに関する記述や発言等 
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 今回もお休み

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 編集後記 アメリカの次世代原子炉、開発中止
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 先日、アメリカで開発中だった次世代原発(原子炉)はコストがかかりすぎ
るために開発中止となったとのニュースが流れました。
 URL: https://www.asahi.com/articles/ASRCB446ZRC9UHBI03G.html#:~:text=%E6%AC%A1%E4%B8%96%E4%BB%A3%E5%9E%8B%E5%8E%9F%E7%99%BA%E3%81%AE,%E3%81%8C%E8%A6%8B%E8%BE%BC%E3%82%81%E3%81%AA%E3%81%8F%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E3%80%82

【記事からの引用:(朝日)・・・。 計画では、1基あたり7・7万キロワット
の発電能力があるSMRを6基並べ、計46.2万キロワットを発電する予定だった。
1基あたりの発電能力は従来型の原発の1割以下にあたる。・・・
(日経)日本企業は小型原発に期待していただけに、「米国初」案件の頓挫は
失望につながりそうだ。IHIや日揮ホールディングスはニュースケールに出資
しており、原発の建造や部品製造に協力する方針だった。】

 次世代原子炉は安全性が高く、コストも大幅に安価との触れ込みでした。資
材費や人件費が上がったとはいえ、「次世代原子炉は格安」と言われていたの
が、「コストが高くなりすぎたので導入中止」という説明に変わったのは、少
し違和感があります。もともと「格安」ではなかったのではないかとの疑問が
湧いてきます。

 次世代原子炉1基の出力は1/10以下ということですので、現在の原子炉の10
倍以上導入しないと、同等の出力を確保できないことになります。
 安全性は格段にあがるとのことでしたが、これもまた、本当にどれだけ安全
性が高まるのかはっきりしません。安全性が10倍向上したとしても、仮に同じ
出力を得るには10倍の台数が必要だとすれば、掛け算をすれば、統計的には安
全性は同じで変わらないことになります(従来型原子炉の安全性=(新型原子
炉の安全性=事故の起こる確率)1/10(1台あたり)?10(台)=1。
 大型原子炉だったら事故が起こった場合は大きな批判が起こりますが、小型
原子炉なら所有企業の責任だけにすることができて都合がよいといった思惑も
あるのでしょうか?  (松下彰良)

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■編集・発行:(松下彰良/まつした・あきよし)
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