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「(週刊)バートランド・ラッセル(1872.5.18-1970.2.2)に関するメール・マガジン」
no.0835_2023/05/27 (2006/12/21 創刊/毎週土曜 or 日曜日 発行)
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■ 目 次 ■
1.ラッセルの著書及び発言等からの引用
2.ラッセルに関する記述や発言等
編集後記
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1.ラッセルの著書や発言等から
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■「ラッセルの英語」n.2434~2438 を発行しました。
(1)「ラッセル英単語」は、n.2434,2436,2438
(2)「ラッセルの英文」は、n.2435, 2437
それぞれ1つづつ再掲します。
■ ラッセルの英語 (1) n2438 R英単語/英熟語
★ in view of【~から考えて、~を考慮して;・・・の見えるところに】
[比較] in the view of : ~の意見によれば
1.ラッセルの著作から
The fact that an opinion has been widely held is no evidence whatever
that it is not utterly absurd; indeed, in view of the silliness of the
majority of mankind, a widespread belief is more likely to be foolish
than sensible.
[ある意見が広く支持されているという事実は,その意見がまったく馬鹿げたも
のではないという証拠にはならない。実際,大多数の人間が愚かであることか
ら考えると,広く支持されている'信念'は賢明であるよりも愚かである確率の
方が大きい。]
出典:ラッセル『結婚論』第5章「キリスト教倫理」
https://russell-j.com/beginner/MM05-100.HTM
But there were plenty of contrary instances that he could have adduced,
in view of which a definite decision was impossible.
[しかし、彼が引用することの出来た反例も沢山あった。それを考慮すると決
定的な結論を下すことは不可能だった。」]
出典:ラッセル『自伝』第3巻第3章「トラファルガー広場」
https://russell-j.com/beginner/AB33-120.HTM
All the high-flown thoughts that I had had about the abstract world of
ideas seemed to me thin and rather trivial in view of the vast
suffering that surrounded me. .
[観念の抽象的な世界について私の持っていたあらゆる大げさな考えは、私を
とり囲む巨大な苦悩から見れば、薄っぺらかつつまらないものに思えた。]
出典:ラッセル『私の哲学の発展』第17章「ピタゴラスからの後退」
https://russell-j.com/beginner/BR_MPD_17-050.HTM
<比較>
To have intercourse with another man's wife remained, of course, an
offence against that man, but to have any intercourse outside marriage
was an offence against God, and this, in the view of the Church, was a
far graver matter.
[もちろん,他の男の妻と性交することは、相変らずその男(夫)に対する罪
であったが、婚外の性交をすることは、神に対する罪であり、教会の視点から
見れば、これは、はるかに重大な問題(事柄)であった。]
出典:ラッセル『結婚論』第十章「結婚 」
https://russell-j.com/beginner/MM10-040.HTM
2.参考
In view of his efforts, I'm sure he will pass the exam.
[彼の努力から考えると、きっと試験に合格すると思う。]
出典:『解体英熟語-改訂第2版』p.338
In view of its high quality, this brand of clothing is, naturally,
expensive.
[質の良さを考慮すれば、このブランドの服が高いのはもっともだ。]
出典:『新版 完全征服データベース5500 合格 英単語・熟語』p.339
In view of his youth, the police have decided not to press charges.
出典:Longman Dictionary of Contemporary English, new ed.
In view of the fact that Hobson was not a trained economist his
achievements were remarkable.
出典:Collins COBUILD English Dictionary for Advanced Learners, new
ed.
■ ラッセルの英語(2) n2437 ラッセルの英文
( Unpopular Essays, 1950 から)
「知的戯言の概要」(1943年発表)」n.39
大雑把に言えば、罰(を与えること)は正気で行われる犯罪を防ぐことはで
きそうであるが、何らかの心理的異常から生じる犯罪を防ぐことはできそうに
ない。このことは現在では部分的には認識されている。 (即ち)我々は、合
理的な私利私益(自己利益)と言ってよいものから生じる単純な窃盗と、何ら
かの気が変なことの印である窃盗症とを区別する。また殺人狂(homicidal
maniacs)は通常の殺人のように扱うことはできない。 しかし 性的逸脱
(sexual aberrations)は非常に多くの嫌悪感をかきたてるために、懲罰的に扱
うよりも医学的に扱うことは、いまだ(依然として)、不可能である。(侮辱
・不当な扱い・不正などに対する)憤慨(indignation)は、概して、有用な
社会的な力(の一つ)であるが、医療技術のみが治すことができる病気
(maladies)の犠牲者に対してそれがむけられる場合には有害なものとなる。
同様なことは全ての国民に起こる。先の戦争中(第一次世界大戦中)、自然
なことであるが、人々(国民)の報復的な感情がドイツ人に対してかきたてら
れ、ドイツ人は敗戦後、厳しく処罰された。(しかし)現在(注:このエッセ
イは1943年発表なので、第二次大戦中)、ヴェルサイユ条約は馬鹿らしいほど
(ドイツに対して)優しく(穏健)であった、なぜなら、ヴェルサイユ条約は
ドイツに対して教訓を与えなかったからだ、と多くの人が論じている。 こん
どは(注:第二次大戦後に)は真の厳しさがなければならない、と我々は言わ
れている。私の考えでは(To my mind)、もし 我々がナチスの兵卒(the rank
and file 一般兵士)を、ただ単純に犯罪者とみなすよりも、心神喪失者
(lunatics 精神錯乱者)と見なせば、ドイツの侵略の再発をもっとよく防ぐ
ことができそうである。心神喪失者(精神錯乱者)は、もちろん、拘束されな
ければならない。(即ち)彼らに銃器の所持を認めてはならない。同様に、ド
イツ国民は武装解除されなければならないだろう(訳注:理想社刊の日本語訳
は、このあたりの誤訳はひどいものです。)しかし、心神喪失者(精神錯乱者)
は分別から(分別を持って)拘束されるのであって、刑罰として拘束されるの
ではない。そうして、分別が許す限り我々は彼らを幸福にするように務める。
殺人狂は、彼がより悲惨なものにされるときはじめて、いっそう殺人的になる
ものであることは、全ての人の認めるところである。 もちろん、ナチス党員
のなかにも単純な犯罪人だった人も多いが、多かれ少なかれ、気が狂っている
人も多いに違いない。( [訳注] この後の原文が、1943年初出のものと、1950
年に Unpopular Essays に収録されたものとでは以下のように異なっています!
「There are ...」「who are ...」であったとでは以下のように異なっています!
「There are ...」「who are ...」であったものが、第二次世界大戦終了後
の1950年は「There were ...」「who are ...」に変えられているだけでなく、
少し表現が変えられています。(Unpopular Essays には、そのことについて
注はつけられていません。)
(1950年版)
もちろん、ナチスの中には単なる犯罪者も多かったが、多かれ少なかれ狂気じ
みた者も多かったにちがいない。ドイツを西ヨーロッパにうまく組み入れるに
は、特別な罪悪感を植え付けようとするあらゆる試みを完全に排除しなければ
ならない。罰せられる側の人間は、罰する側の人間に対して親切な気持ちを持
つようになることはめったにない。そうして、ドイツ人が他の人類を憎んでい
る限り、平和は不安定なものになるであろう。
(1943年版)
戦争指導者のことはさておき(私はドイツの戦争指導者に対して寛容を要求し
ない)、ドイツ国民の大部分は、 諸国民から追放者とみなされるよりも、親
切だがしっかりした治療を施されたほうが、世界の他の国々との協力をずっと
学ぶ可能性が高そうである。処罰された人々は、自分たちを処罰した人々に対
して、優しい感情を抱くことを学ぶというようなことはめったにない。そうし
て、ドイツ人達が自分達以外の人類を憎む限り平和は不安定なものになるであ
ろう。
Outline of Intellectual Rubbish (1943), n.39
Broadly speaking, punishment is likely to prevent crimes that are sane
in origin, but not those that spring from some psychological
abnormality. This is now partially recognized; we distinguish between
plain theft, which springs from what may be called rational
self-interest, and kleptomania, which is a mark of something queer.
And homicidal maniacs are not treated like ordinary murderers. But
sexual aberrations rouse so much disgust that it is still impossible
to have them treated medically rather than punitively. Indignation,
though on the whole a useful social force, becomes harmful when it is
directed against the victims of maladies that only medical skill can
cure.
The same sort of thing happens as regards whole nations. During the
last war, very naturally, people's vindictive feelings were aroused
against the Germans, who were severely punished after their defeat.
Now many people are arguing that the Versailles Treaty was
ridiculously mild, since it failed to teach a lesson; this time, we
are told, there must be real severity. To my mind, we shall be more
likely to prevent a repetition of German aggression if we regard the
rank and file of the Nazis as we regard lunatics than if we think of
them as merely and simply criminals. Lunatics, of course, have to be
restrained; we do not allow them to carry firearms. Similarly the
German nation will have to be disarmed. But lunatics are restrained
from prudence, not as a punishment, and so far as prudence permits we
try to make them happy. Everybody recognizes that a homicidal maniac
will only become more homicidal if he is made miserable.
<1950年に Unpopular Essays に収録された原文>
There were, of course, many men among the Nazis who were plain
criminals, but there must also have been many who were more or less
mad. If Germany is to be successfully incorporated in Western Europe,
there must be a complete abandonmennt of all attempt to instil a
feeling of special guilt. Those who are being punished seldom learn
to feel kindly toward the men who punish them. And so long as the
Germans hate the rest of mankind peace will be precarious.
<1943年の初出時の原文>
In Germany at the present day, there are, of course, many men among
the Nazis who are plain criminals, but there must also be many who are
more or less mad. Leaving the leaders out of account (I do not urge
leniency toward them), the bulk of the German nation is much more
likely to learn cooperation with the rest of the world if it is
subjected to a kind but firm curative treatment than if it is regarded
as an out cast among the nations. Those who are being punished seldom
learn to feel kindly toward the men who punish them. And so long as
the Germans hate the rest of mankind peace will be precarious.
Source: Bertrand Russell : An Outline of Intellectual Rubbish, 1943
Reprinted in: Unpopular Essays, 1950, chapter 7:
More info.: http://www.ditext.com/russell/rubbish.html
https://russell-j.com/cool/UE_07-390.HTM
■「ラッセルの言葉366_画像版」
日本語 version : n.2392j-2398j を投稿
英 語 version : n.2392e-2398e を投稿
1つだけ再録します。 n.2399j ( May 27, 2023)
「理想主義と現実主義」
理想主義のように見えるものの多くは、憎悪や権力への愛が偽装されたもの
です。崇高な動機に見えるものに振り回される大勢の人々を見るとき、その表
面的な部分だけでなく、その動機を効果的にしているものは何かと自問してみ
るのもよいでしょう。高貴さを装うことは容易であるからこそ、私が試みてき
たような心理学的な探求は価値があるのです。結論から言うと、もし私の言っ
たことが正しければ、世界を幸せにするために必要なものは、主に知性です。
これは楽観主義的な結論です。なぜなら、知性は既知の教育方法によって育む
ことができるからです。
Much that passes as idealism is disguised hatred or disguised love of
power. When you see large masses of men swayed by what appear to be
noble motives, it is as well to look below the surface and ask
yourself what it is that makes these motives effective. It is partly
because it is so easy to be taken in by a facade of nobility that a
psychological inquiry, such as I have been attempting, is worth making.
I would say, in conclusion, that if what I have said is right, the
main thing needed to make the world happy is intelligence. And this,
after all, is an optimistic conclusion, because intelligence is a thing
that can be fostered by known methods of education.
Source: What Desires Are Politically Important? - Nobel Lecture,
Stockholm, 11 December 1950.
More info.: https://russell-j.com/beginner/0944WDPI-140.HTM
<寸言>
理想主義も現実主義も「主義」になると、思考停止に陥ってしまいます。よ
く考えた上で、不都合な点があれば途中で修正をするという前提で政策を実施
するのであれば大きな問題は起こらないでしょう。しかし、そのように対応す
ることは少なく、往々にして行き過ぎてしまいます(go too far)。
善いことを行うためにも権力や権限は必要です。従って、政治家はより大き
な権力や権限を求め、既成の権力に取り入ったり攻撃したりして、権力奪取に
努めます。権力や権限をいったん手に入れると、その権力や権限にしがみつき
ます。そうして、権力保持期間が長くなると腐敗していきます。たとえば、
「桜を見る会」などの公的な行事に自分の支持者を招待したり、自分の身近な
者を政府や官庁の役職につけたりするようなことを頻繁に行うようになります。
岸田総理が自分の長男を総理秘書官に付けたり、長男が総理公邸に親戚を多
数呼んで忘年会をやっても「叱責」するだけで「更迭(首切り)」しようとし
ないことなどにも、権力者の奢りや甘さが現れています。
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(2) ラッセルに関する記述や発言等
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今回もお休み
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編集後記 総理の長男(岸田翔太郎)のお粗末さ
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岸田総理が自分の長男(32歳)を総理公設秘書官にした時、将来長男が国会
議員に立候補する時にプラスになるような「箔付け」が主な目的だろうと思い
ました。しかし、これほど常識が疑われる問題(総理公邸で親戚を集めて忘年
会)を起こすほど軽率な人間だとは予想していませんでした。
岸田翔太郎氏は、総理秘書官になる前(給料が高いことで有名な)三井物産
勤務とのことなので、首相秘書官になった後の方が給料が下がったと思われま
す。従って、「総理大臣の秘書官の仕事をまともにできそうもない若者に1,200
万円もの給料(=税金)は払いすぎだ」という世論に対しては、「三井物産時
代以上の給料をもらってもおかしくないはずだ」と反発していたのではないか
と想像されます。
総理公邸での醜態を示す多数の写真が週刊誌(『週刊文春』)に掲載された
以上、岸田総理は長男を更迭するのではないかと思いましたが、国会では、厳
しく叱責はしたが更迭はしないと答弁しています。
二度あることは三度あるということで、また週刊誌の餌食になりそうです。
その場合には、三度目の正直?ということで首を切らざる得なくなるはずです。
この予想は当たるでしょうか? (松下彰良)
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■編集・発行:(松下彰良/まつした・あきよし)
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