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バートランド・ラッセルのポータルサイト

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「(週刊)バートランド・ラッセル(1872.5.18-1970.2.2)に関するメール・マガジン」
  no.0825_2023/03/11 (2006/12/21 創刊/毎週土曜 or 日曜日 発行)

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    ■ 目 次 ■
          
 1.ラッセルの著書及び発言等からの引用
 2.ラッセルに関する記述や発言等
  編集後記

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 1.ラッセルの著書や発言等から
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■「ラッセルの英語」n.2382~2386  を発行しました。
  (1)「ラッセル英単語」は、n.2382,2384,2386
  (2)「ラッセルの英文」は、n.2383, 2385
 
 それぞれ1つづつ再掲します。

■ ラッセルの英語 (1) n2384 R英単語/英熟語  

★ settle down to 【(後ろに動詞がきて)落ち着いて~を始める;(後ろに
名詞がきて)落ち着いて~に向かう】


1.ラッセルの用例

At the conclusion of this fracas I went to live at Friday's Hill with
 Alys's people, and there I settled down to work at a Fellowship 
dissertation, taking non-Euclidean Geometry as my subject.
[この騒動も一段落したので,アリスの家族と一緒に暮らすためにフライディズ
・ヒルに行き,そこでフェローシップ(特別研究員の資格)取得のための --
非ユークリッド幾何学を主題とした-- 学位論文に落ち着いて取り組み始め
た(work at)。]
 出典:ラッセル『自伝』第1巻 第4章「婚約期間
     https://russell-j.com/beginner/AB14-180.HTM

When The Principles of Mathematics was finished, I settled down to a 
resolute attempt to find a solution of the paradoxes.
[数学の諸原理』(1903年出版)を終えると、私は、これらのパラドクス(ラッ
セルのパラドクス)の解決策を見つけ出す断固とした試みに腰を落ち着けて取
り組み始めた。]
 出典:ラッセル『私の哲学の発展自伝』3巻第2章「国の内外で
     https://russell-j.com/beginner/AB32-100.HTM

I suppose the trend will remain until the world settles down to some 
form of progress less helter-skelter than the present race toward the
 abyss. .
[このような傾向は,世界が奈落の底に向かう現在の競争よりもあわてふため
いているのがなくなってきて、世界がある種の進歩の形態に落ち着くまで,続
くと思っています。]
 出典:ラッセル「芸術としての歴史(書)
     https://russell-j.com/beginner/1057_HasA-180.HTM


2.参考例

It takes some time to settle down to work again after a day of rest
 and enjoyment.
[1日休養して遊んだ後で、再び落ち着いて仕事を始めるには多少時間がかか
る。]
 出典:『解体英熟語 改訂第2版』p.64

Something was worrying me, and I couldn't settle down to my work.
 出典: Longman Dictionary of Contemporary English, new ed.

They finally settled down to a discussion of the main issues.
 出典: Oxford Advanced Learner's Dictionary, 8th ed.

If you settle down to do something or to something, you prepare to do
 it and concentrate on it.
 出典: Collins COBUILD English Dictionary for Advanced Learner's, new
 ed


■ ラッセルの英語(2) n2383 ラッセルの英文

 ( Unpopular Essays, 1950 から)
 「知的戯言の概要}n.17

 人々の抱く信念には様々な原因がある。その一つ(の信念)は、当該信念を
抱くための(裏付ける)何らかの証拠があるものである。我々は、これを「誰
それの電話番号は何番か」とか「(何かのスポーツの)ワールド・シリーズに誰
が勝利したか?」といったような事実に関する事柄(事実問題)に適用する。
しかし、問題がもっと議論の余地があるものになるいなや、その信念を引き起
こす原因は擁護できないものになる。我々は、まずまっさきに、自分達はいい
やつだと感じさせるものを信じる。人間様(Mr. Homo)は、いの消化がよく
(体調が良く)、十分な収入があれば、自分は、気まぐれな女房と結婚しいつ
も無駄遣いをしている隣人の誰それよりも何と分別があることか、と考える。
彼(彼女)は、自分の(住んでいる)市(都市)は、五十マイル離れていると
ころにある他の市よりもなんとすぐれていることか、と考える。即ち、わが市
には、(その都市よりも)より大きい商工会議所(Chamber of Commerce 商業
会議所)があり、より進取的なロータリー・クラブがある。 そして市長は一
度も刑務所に入ったことはない、と。彼(彼女)は、 自国はいかに計り知れ
ないほど他のあらゆる国々よりも勝っていることか、と考える。もし、彼(彼
女)が英国人であれば、その気性に応じて、シェイクスピアやミルトン、ある
いはニュートンやダーウィン、あるいは(海軍の)ネルソ提督や(陸軍の)ウェリ
ントン元帥のことを考える(思い浮かべる)。もし、彼(彼女)がフランス人
であれば、フランスは数世紀に渡って、文化、ファッション及び料理において
世界の先頭にたってきたと得意がる(congratulate himself 自分を褒める)。
もし、彼(彼女)がロシア人であれば、彼(彼女)は自分が真に国際的な唯一
の国家に属していることを自覚する。 もし、彼(彼女)がユーゴスラヴィア
人であれば、自国の豚を自慢する。もし、彼(彼女)がモナコ王国の生まれあ
れモナコがばギャンブルの件(he matter of gambling)で世界をリードして
いることを自慢する。

Outline of Intellectual Rubbish (1943), n.17

People's beliefs have various causes. One is that there is some 
evidence for the belief in question. We apply this to matters of fact,
 such as "what is so-and-so's telephone number?" or "who won the World
 Series?" But as soon as it comes to anything more debatable, the
 causes of belief become less defensible. We believe, first and 
foremost, what makes us feel that we are fine fellows. Mr. Homo, if he
 has a good digestion and a sound income, thinks to himself how much 
more sensible he is than his neighbor so-and-so, who married a flighty
wife and is always losing money. He thinks how superior his city is to
 the one 50 miles away: it has a bigger Chamber of Commerce and a more
 enterprising Rotary Club, and its mayor has never been in prison. He
 thinks how immeasurably his country surpasses all others. If he is an
 Englishman, he thinks of Shakespeare and Milton, or of Newton and 
Darwin, or of Nelson and Wellington, according to his temperament. 
If he is a Frenchman, he congratulates himself on the fact that for 
centuries France has led the world in culture, fashions, and cookery.
 If he is a Russian, he reflects that he belongs to the only nation 
which is truly international. If he is a Yugoslav, he boasts of his 
nation's pigs; if a native of the Principality of Monaco, he boasts 
of leading the world in the matter of gambling.
 Source: Bertrand Russell : An Outline of Intellectual Rubbish, 1943
    Reprinted in: Unpopular Essays, 1950, chapter 7:
   More info.: http://www.ditext.com/russell/rubbish.html


■「ラッセルの言葉366_画像版」
 日本語 version : n.2316-2322j を投稿
 英 語 version : n.2316-2322e を投稿

 1つだけ再録します。  n.2317j ( Mar. 6, 2023)
         
 「学問の自由と公職追放」

  学問の自由の問題は、それ自体、第一に重要な(最重要な)問題ではない
ことを私も認める。しかし、学問の自由は同じ戦いの本質的[不可欠]な部分
(part and parcel)である。最大の問題においても、また小さく見える問題
においても、危機に瀕しているのは、-それが多くの人によって,あるいは,少
数の人によって共有されているか、それとも誰によっても共有されていないか
、にかかわらず- 人類に対する信念と希望を表現する個々人の精神の自由で
あることを忘れないようにしよう(肝に銘じておこう)。新しい希望、新しい
信念、新しい考えは、常に人類に必要なものであり、それらが生じると期待で
きるのは、死んだ画一性(均一性)からではない。

I admit, the issue of academic freedom is not in itself of the first 
magnitude. But it is part and parcel of the same battle. Let it be 
remembered that what is at stake, in the greatest issues as well as in
those that seem smaller, is the freedom of the individual human spirit
 to express its beliefs and hopes for mankind, whether they be shared 
by many or by few or none. New hopes, new beliefs, and new thoughts 
are at all times necessary to mankind, and it is not out of a dead 
uniformity that they can be expected to arise.
Source: Freedom and the College, 1940.
In: American Mercury, v.50: May 1940, p.24-33. * Original title: 
Problems of academic freedom.
* This article was originally pub. in May 1940, very shortly after 
Judge McGeehan's finding that Russell was "unfit" to be a professor 
at City College, New York.
* Repr. in: (51)Why I am not a Christian, and ..., 1957.
* Repr. in: (66)B. Russell's America, v.1, 1973.
More info.: https://russell-j.com/cool/FC_1940.pdf

<寸言>
 ラッセルはカリフォルニア大学ロサンゼルス校の客員教授をやめた後、ニュ
ーヨーク市立大学の客員教授となって論理学を教えることになっていました。
しかし、ニューヨークのキリスト教徒の一市民が、(ラッセルの『結婚論』を
読めばわかるように)ラッセルは「不道徳な」人間であり、そういった人間を
ニューヨーク市民の"税金でなりたっている"大学で雇うべきではないと、(ラ
ッセル相手ではなく)雇用主であるニューヨーク市高等教育局を訴えました。

 (キリスト教徒である)マクギーハン裁判長は(悪態の言葉を並べた上で)
有罪の判決を下しました。これに対し、ジョン・デューイやアインシュタイン
を始め、多くの大学人が立ち上がり抗議しましたが判決は覆りませんでした。
ラッセルも裁判で証言させてほしいと訴えましたが、被告はニューヨーク市高
等局であり、ラッセルは裁判に関係なしとして、つんぼさじきに置かれてしま
いました。ラッセルは、「危険な」社会思想を教えるのではなく、論理学を教
えることになっていたのに、弁論の機会も与えられませんでした。

 菅総理(当時)が、学術会議から推薦された6名の任命を拒否しましたが、
学術会議の会員として任命しなかっただけであり、「学問の自由」を侵害して
いるわけではないと門前払いにしました。税金(国税)が投じられている事柄
に対しては政府(実際は時の少数の権力者)が口を挟む権利があるとの考えで
す。「バートランド・ラッセル事件」の場合は、一市民の訴えではありました
が、"税金でまかなっている大学”については・・・ということで、似たとこ
ろがあります。

 1941年に, John Dewey と Horace M. Kallen は共著で、The Bertrand 
Russell Case を出版しています。英語のウィキペディアにも詳細な記述があ
りますが、バートランド・ラッセルのポータルサイトにも以下のページに上野
正道氏による紹介をのせています。
 https://russell-j.com/cool/Bertrand_Russell-Case.html

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(2) ラッセルに関する記述や発言等 
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 今回はお休み

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 編集後記 ChatGPTなどのAIツールの活用は今後必須になりそうです
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 最近のAIの発達には目を瞠るものがあります。たとえば、DeepL翻訳、Google
翻訳、みんなの自動翻訳(国立研究開発法人情報通信研究機構)などの多言語
翻訳ソフトの格段の性能向上は昨年後半から話題になっていました。

 最近になって急に脚光を浴びているのは、ChatGPT(使用しているパラメータ
数は1750億!)などの文章生成AIの驚異的な能力向上です。

 AI(+ロボット)が多くの人間の仕事を奪っていくだろうという予想が現実
味を帯びてきました。
 翻訳ソフトで言えば、そのうち、ネットにつながったウェアラブル端末によ
って、外国語で話された言葉が瞬時に日本語に音声翻訳され、日本語で返事を
すれば瞬時に英語などの外国語に音声翻訳される世界がすぐにやってきそうで
す。そうなれば、上級の通訳者を除いて、通訳者の仕事が奪われていくことが
予想されます。
 英語をネイティブ「以上に」あやつれる日本人は数百万人は必要ですが、そ
れ以外の人達が膨大な時間を英語学習に費やしているのは無駄だ!ということ
にならないでしょうか?

 AIは全面的にまだ信用して使えないにしても、使わないうちに、気が付いた
時には時代遅れの人間になってしまいそうです。

 もちろん、今話題の ChatGPTにも、最新の情報が得られないなど、いくつか
欠点があります。即ち、2023年3月現在、ChatGPTは、2021年12月末までの、
ネット上の公開データ(大規模データ)をもとに、いろいろな質問に答えてい
るとのことです。従って、現在の日本の総理大臣は誰かと聞けば、岸田総理で
はなく、菅総理大臣と答えてしまいます。また、公開されていない公文書につ
いて質問してもデータを持っていないと答えるはずです。

 しかし、興味深い影響がすぐに起こってきそうです。
 実例を2つだけあげてみます。

 例1:大学の人文系の講義に対する影響

 大学の講義を聴講している学生が、教師がしゃべっていることを、本当にそ
うだろうかと疑問に思ったことを ネットにつながったノートPCで ChatGPT
 などで質疑応答し、教師が言っていることが不適切だと気づいた時に、教師
に質問し、やりこめる学生がでてきそうです。
 ごく専門的なことであれば、ChatGPTは怖くないでしょうが、少し自分の専門
から外れていることについては、ChatGPTのほうがより適切な回答を返してくる
可能性があります。
 ChatGPTレベル以下の内容の講義しかできない教師は学生から無視されるよう
になるので、教師は自分が講義でしゃべる内容について、事前に ChatGPTなど
で調べてから講義をする習慣がつくかも知れません。


 例2:検索(Google 検索など)に及ぼす影響

 「ゼロ・クリック・サーチ」が増えていくと予想されます。
 即ち、これまで検索結果は、適切だと思われる該当ページが一覧になって順
序付けられてリストアップされています。しかし、検索エンジンにAIが組み込
まれると、最初にAIが推奨する回答例(文章やデータ)がまず示され、その後に
従来の検索結果一覧がリストアップされるようになります。そうしてAIの提示
する回答だけ読んで満足する人が増えてきそうです。その場合は、その他の検
索結果を表示してブラウジングしなくなる(クリックしなくなる)ことが増えて
いくはずです。これを「ゼロ・クリック・サーチ」と言っており、従来の検索
結果を表示してクリックされることによって広告収入(アフィリエイト収入)
を得ていた人々に甚大な影響を与えそうです。

 Microsoft は ChatGPTを提供しているOpenAI社に多額の資本参加をしており
、検索エンジンの Bing にAIを組み込んで試行サービス中です。Google も数
週間以内に Bard を組み込む予定とのことで目が離せません。(松下彰良)

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■編集・発行:(松下彰良/まつした・あきよし)
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