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「(週刊)バートランド・ラッセル(1872.5.18-1970.2.2)に関するメール・マガジン」
no.0821_2023/02/11 (2006/12/21 創刊/毎週土曜 or 日曜日 発行)
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■ 目 次 ■
1.ラッセルの著書及び発言等からの引用
2.ラッセルに関する記述や発言等
編集後記
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1.ラッセルの著書や発言等から
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■「ラッセルの英語」n.2363~2367 を発行しました。
(1)「ラッセル英単語」は、n.2363,2365,2367
(2)「ラッセルの英文」は、n.2364, 2366
それぞれ1つづつ再掲します。
■ ラッセルの英語 (1) n2367 R英単語/英熟語
★ find fault with【~に文句を言う、~を非難する】
1.ラッセルにおける用例
We can hardly find fault with Tolstoy on this account, since to him it
might well be a matter of indifference whether he won military
decorations or not, but ...
[私達は,このこと(注:チェスに夢中になって勲章の授与式を欠席したこと)
を理由にトルストイの過ちを見つけることはほとんどできない。なぜなら,彼
にとっては,勲章をもらってももらわなくてもどうでもよかったからである。
しかし、・・・]
出典:ラッセル『幸福論』第11章「熱意」
https://russell-j.com/beginner/HA22-050.HTM
Next day I learned that I had been elected a Fellow, and Whitehead
informed me with a smile that he had thought it was the last chance
anyone would get of finding serious fault with my work.
[翌日,フェロー(大学特別研究員)に選ばれたことを知った。そうして,ホワ
イトヘッドが微笑をうかべながら私に,この論文が,私の研究論文のなかに重大
な間違いを誰かが発見できる最後の機会となるだろうと思った,と言った。]
出典:ラッセル『自伝』第1巻第5章「初婚」
https://russell-j.com/beginner/AB15-040.HTM
2.参考例
They always find fault with others.
[彼らはいつも他人に文句ばっかり言っている。]
出典:『解体英熟語-改訂第2版』p.36
She's always finding fault with the way I do things.
出典:Longman Dictionary of Contemporary English, new ed.
If you find fault with something or someone, you look for mistakes and
complain about them.
出典:COLLINS COBUILD English Dictionary for Advanced Learners, new
ed
■ ラッセルの英語(2) n2366 ラッセルの英文
( Unpopular Essays, 1950 から)
「知的戯言の概要}n.11
(カトリック)協会が、医学研究の関係で、死体の解剖を認可(是認)した
のは、非常にゆっくりかつ不承不承にであった。解剖の先駆者はヴェサリウス
[Andreas Vesalius, 1514-1564, 近代解剖学の祖/当時神聖ローマ帝国の支配
下にあったブリュッセルの医者の家に生まれた。]であり、彼は皇帝チャール
ス五世〔ドイツ皇帝;在位1516-1556〕の宮廷医だった。彼は医者としての技
能は優れていたので、皇帝は彼を保護した。しかし、皇帝の死後、彼はトラブ
ルに巻き込まれた。彼が解剖していた死体はナイフ(手術用メス)の下でまだ
生きている徴候を示したとのことで、彼は殺人のかどで告発された。その 査
問は国王フィリップ二世[スペイン国王:在位1556-1598」によって、寛大に取
り扱われ、ヴェサリウスにはただ聖地(パレスチナ)への巡礼にでるようとの判
決がくだされただけであった。母国への帰路、彼が乗った船が難破し、彼は過
労死した。この時以後、数世紀の間、ローマ教皇庁大学(the Papal
University in Rome 単数形であることに注意)の医学生は、ただ、人体模型
(訳注:lay figure フィギア;マネキン)を使って手術することを許された
だけであり、(しかも)その人体模型からは生殖器の部分はとりのぞかれてい
た。(注:理想社刊の訳書では、"lay figure は「素人の書いた図形」と誤訳
されている。)
死体は神聖なものであるということは、広く行き渡っている信仰である。
この信仰は, エジ プト人によってさらに推し進められ、彼らの間では、それ
は死体をミイラにするという慣行へと導いた。この信仰は中国ではいぜんとし
てその威力をふるっている(It still exists in full force in China. )。西
洋医学を教えるために中国人に雇われたあるフランス人外科医は、彼の解剖用
の死体の要望は(中国人に)恐怖の念をもって受け取られたが、そのかわり生
きた罪人なら無制限に入手できると確約された、と語っている。彼がこの代替
手段に反対したことは、彼を雇った中国人達には全く理解することができなか
った。
Outline of Intellectual Rubbish (1943), n.11
It was only very slowly and reluctantly that the Church sanctioned the
dissection of corpses in connection with the study of medicine. The
pioneer in dissection was Vesalius, who was Court physician to the
Emperor Charles V. His medical skill led the emperor to protect him,
but after the emperor was dead he got into trouble. A corpse which he
was dissecting was said to have shown signs of life under the knife,
and he was accused of murder. The Inquisition was induced by King
Phillip II to take a lenient view, and only sentenced him to a
pilgrimage to the Holy Land. On the way home he was shipwrecked and
died of exhaustion. For centuries after this time, medical students
at the Papal University in Rome were only allowed to operate on lay
figures, from which the sexual parts were omitted.
The sacredness of corpses is a widespread belief. It was carried
furthest by the Egyptians, among whom it led to the practice of
mummification. It still exists in full force in China. A French
surgeon, who was employed by the Chinese to teach Western medicine,
relates that his demand for corpses to dissect was received with
horror, but he was assured that he could have instead an unlimited
supply of live criminals. His objection to this alternative was
totally unintelligible to his Chinese employers.
Source: Bertrand Russell : An Outline of Intellectual Rubbish, 1943
Reprinted in: Unpopular Essays, 1950, chapter 7:
More info.: http://www.ditext.com/russell/rubbish.html
■「ラッセルの言葉366_画像版」
日本語 version : n.2288-2294j を投稿
英 語 version : n.2288-2294e を投稿
1つだけ再録します。 n.2293j ( Feb. 10, 2023)
「民主主義が機能するための条件」
民主主義が正しく機能するかどうかについては、2つの見解がありうる。
ひとつは、あらゆる分野で多数派の意見が絶対的に優勢であるべきだという見
解である。もう一つの見解によれば、共通の決定が必要でない場合には、異な
る意見を可能な限りその頻度に比例して代表させるべきである(ということに
なる)。
There are two possible views as to the proper functioning of democracy.
According to one view, the opinions of the majority should prevail
absolutely in all fields. According to the other view, wherever
a common decision is not necessary, different opinions should be
represented, as nearly as possible, in proportion to their numerical
frequency.
Source: Freedom and the College, 1940, p.27,
More info.: Not available
<寸言>
国論を2分してはいけない問題と、国民の多様性を重視し、それぞれの意見
を支持する人間の数に比例した便益や権限をそれぞれに与えればよい問題があ
るということです。後者においては、多様性が重要であり、自分が好まないか
らと言って、他人の好みに干渉してはいけないということになります。
古い家族制度にノスタルジーを感じる人々は、多様性を尊重することの重要
性をあまり理解しない人がけっこういます。
(総理の考え(「それを認めたら社会がかわってしまう」との発言)をフォロ
ー&援護射撃しようとして(したつもりだったのに)失敗し、更迭された荒木
総理秘書官。岸田総理は安倍派の支持を得るためにリップ・サービスのつもり
だったかもしれないですが・・・。)
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(2) ラッセルに関する記述や発言等
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今回もお休み
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編集後記 悲惨なトルコの大地震
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トルコの耐震基準は日本と同水準とのことですが、日本の古いマンション同
様、耐震基準に満たない建物が多いため、被害が甚大となっています。トルコ
とシリアをあわせて、2万人以上の人達がなくなり、今後その数は増えていき
そうです。
トルコの原発が地震で大変だというデマがSNSで流れているそうですが、ト
ルコはまだ建設中のものしかなく、被害がでることはありえません。しかし、
日本の企業もトルコにおける原発建設に加わっているとのことで、完成して稼
働後に地震で大きな被害が出た場合はその補償は莫大なものになりそうです。
地震を起こしそうな断層は地面(表面)に現れているとは限らず、日本で
判明している約6,000の断層だけでなく、隠れている断層は数万あると言われ
ています。震度が大きくても揺れる速度が比較的遅い場合はよいですが、今回
のトルコ南部の大地震の場合は振動が急速で激しかったために、「パンケーキ
・クラッシュ」が起こり被害が甚大になったとのことです。日本も無関係では
ありません。
原発は、テロや戦争や自然災害(大地震、大津波、火山の噴火、その他)な
どによって大きな損傷を受ける可能性があります。岸田内閣は、「原発を最大
限に活用する」との方針を閣議決定しましたが、彼ら(また多くの国民)は、
原発が起こっても直接的な被害を受けることないところに住んでおり、責任も
とらずに「思い切った措置」をとることができます。原発企業としても、国策
に協力するのですから、企業の対策が甘かったとしても「罪一等」を減じても
らえます。KY(ケーワイな)内閣の面目躍如です。 (松下彰良)
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■編集・発行:(松下彰良/まつした・あきよし)
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