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「(週刊)バートランド・ラッセル(1872.5.18-1970.2.2)に関するメール・マガジン」
  no.0820_2023/02/04 (2006/12/21 創刊/毎週土曜 or 日曜日 発行)

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    ■ 目 次 ■
          
 1.ラッセルの著書及び発言等からの引用
 2.ラッセルに関する記述や発言等
  編集後記

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 1.ラッセルの著書や発言等から
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■「ラッセルの英語」n.2358~2362  を発行しました。
  (1)「ラッセル英単語」は、n.2358,2360,2362
  (2)「ラッセルの英文」は、n.2359, 2361
 
 それぞれ1つづつ再掲します。

■ ラッセルの英語 (1) n2358 R英単語/英熟語  

★ make fun of [~をからかう]

* make a fool of :~を笑い者にする


1.ラッセルの著書から

When Philip first became engaged to Ottoline, Logan was filled with 
jealous rage, and made unkind fun of her.
[フィリップ・モレルが初めてオットリンと婚約した時,ローガンは嫉妬で怒り
狂い,彼女を冷酷に嘲弄した。]
 出典:ラッセル『自伝』第1巻第7章「再びケンブリッジ大学へ」
     https://russell-j.com/beginner/AB17-020.HTM

I got an indignant letter from a Zoroastrian saying how dare I make
 fun of Zoroaster.
[私は,あるゾロアスター教徒から,私があえてゾロアスターをからかっている
と非難する怒りの手紙を受け取った。]
 出典:ラッセル『自伝』第3巻第1章 「英国への帰国」
     https://russell-j.com/beginner/AB31-280.HTM

For instance, I spent some time making fun of Aristotle for saying 
that the bite of the shrewmouse is dangerous to a horse, especially if
 the shrewrmouse is pregnant.
[とえば,私は,(講義のなかで、科学に疎い)アリストテレスをからかうことで
しばらく時間を費やし,「馬がトガリネズミに噛みつかれるのは危険なことだ。
特に,トガリネズミが妊娠しているときはなおさらそうである」と言った。]
 出典:ラッセル『自伝』第3巻第1章 「英国への帰国」
     https://russell-j.com/beginner/AB31-220.HTM

Heine made fun of it in a chapter consisting of the following words :
 "The German Censors ................... idiots." .
[ハイネは、このことを、次のような言葉から成るある章の中でからかってい
る。
「ドイツの検閲官は・・・・・・・・・・・・・ 愚か者」。]
 出典:ラッセル『権力』第14章「競争」
     https://russell-j.com/beginner/POWER14_020.HTM

 
2.参考

They always make fun of Rose because her hair is green.
[ローズの髪の毛は緑色だから、彼らはいつも彼女をからかう。]
 出典:『解体英熟語 改訂第2版』p.20

Everyone in the class made fun of the girl's hairstyle, but she didn't
 seem to care.
[クラスの皆が少女の髪型をからかったが彼女は気にしていないようだった。]
 出典:『鉄緑会 東大英単語熟語 鉄壁』p.329

People make fun of her because she wears such strange hats.
 出典:Longman Dictionary of Contemporary English, new ed.

If you make fun of someone or something or poke fun at them, you laugh
 at them, tease them, or make jokes about them in a way that causes 
them to seem ridiculous..
 出典:Collins COBUILD English Dictionary for Advanced Learners, new
 ed.


■ ラッセルの英語(2) n2351 ラッセルの英文

 ( Unpopular Essays, 1950 から)
 「知的戯言の概要}n.9

 カトリック教会の公認の哲学者の聖トマス・アクィナス(Thomas Aquinas, 
1225年頃-1274年:イタリアの神学者・哲学者)はある一つの非常に重大な問題
を長々と真面目に論じたが、(I fear 残念ながら)その問題を現代の神学者
達は不当に軽視しているのではないかと、私には思われる。アクィナスは、人
肉以外何も食べたことがなく、その父母も(before 彼が生まれる前に)同様
の傾向を持っていた(=ほとんど人肉しか食べていなかった)、一人の人喰い
(a cannibal)を想像している(訳注:赤ん坊の時は母乳ではなく、人肉スー
プを飲んいるということになりそうです)。(人肉しか食べたことがないわけ
なので)彼の肉体のあらゆる微粒子(細胞など)は当然のこと、他人のものに
属している(ことになる)。 人喰いによって食べられた人々の微粒子は永遠
に(through all eternity)欠けるとは想定できない。しかし、もし(食べら
れてしまった人々の肉体が復活して)人喰いの肉体の微粒子が欠けるようなこ
とになったら、その人喰いに何が残るだろうか? もし、彼の肉体(の諸部分)
が全てそのもとの所有者(食べられた人々)に(肉体の復活によって)戻るな
らば、どのようにして彼(人喰い)は地獄できちんと焼かれることができるの
だろうか? これは聖トマスが正しくも認識したように、人を当惑させる問題
である。(訳注:あくまで神学及び哲学上の問題です。)

Outline of Intellectual Rubbish (1943), n.9

St. Thomas Aquinas, the official philosopher of the Catholic Church, 
discussed lengthily and seriously a very grave problem, which, I fear,
 modern theologians unduly neglect. He imagines a cannibal who has 
never eaten anything but human flesh, and whose father and mother 
before him had like propensities. Every particle of his body belongs
 rightfully to someone else. We cannot suppose that those who have 
been eaten by cannibals are to go short through all eternity. But, if
 not, what is left for the cannibal? How is he to be properly roasted
 in hell, if all his body is restored to its original owners? This is
 a puzzling question, as the Saint rightly perceives.
 Source: Bertrand Russell : An Outline of Intellectual Rubbish, 1943
    Reprinted in: Unpopular Essays, 1950, chapter 7:
   More info.: http://www.ditext.com/russell/rubbish.html


■「ラッセルの言葉366_画像版」
 日本語 version : n.2281-2287j を投稿
 英 語 version : n.2281-2287e を投稿

 1つだけ再録します。 n.2283j ( Jan. 31, 2023)
         
 「英語ではなく、米語と言って欲しい!」

 ジャック・アレキサンダー氏は、最近のサタデー・イブニング・ポストの記
事で、米国人は言語に対して(スラングなどで?)重罪を犯していると発言し、
「英国人は心の中で、このことで我々(米国人)を許しているとは本当に思えな
い。(英語は)彼らの言語であり、我々は間違ったことをしたのだ」。この発言
には考慮すべき点がある。しかし、私自身は、私を悩ますのは米国流にアレン
ジされた英語ではない。米国人の話し方は聞いていてとても楽しいし、スラン
グも爽やかで表現力の豊かなものが多い。しかし、それを英語(English or 
American English)ではなく、率直に米語(名詞としての American)と呼ん
でほしい。私は米語の話し方が下手だと言われても気にしない。

Mr Jack Alexander, in a recent article in the Saturday Evening Post, 
remarked that the Americans commit felonious assault on the language,
 and said: 'I really don't think that the British, in their hearts, 
forgive us for this, and I don't know why they should. It is their 
language and we have done it wrong.' There is something in this, but,
 for my own part, it is not the American modifications of the English
 language which annoy me. I find much American speech very pleasant 
to listen to, and much of the slang refreshingly expressive. But I 
wish they would frankly call it American, and not English. I should 
not mind being told that I do not talk American very well.
 Source: Bertrand Russell: Americans are ... :
Rprrinted in : Can Americans and Britons be friends? In: Saturday 
Evening Post, 3 June 1944.
Reprinted in: Bertrand Russell's America; His transatlantic travels 
and writings, v.1:1896-1945, a documented account by B. Feinberg and 
R. Kasrils. London; G. Allen & Unwin, 1973, pp.328-337
More info.: Not available

<寸言>
 英語(English)には英語の、米語(American)には米語の、優れたところと劣
るところがあり、自分(ラッセル)は英語をおろそかにして米語を上手に話せ
るようになりたいとは思わない(ただし、「米国人の話し方は聞いていてとて
も楽しいし、スラングも爽やかで表現力の豊かなものが多い」)とのラッセル
の発言)。
 引用したエッセイは、Saturday Evening Postの1944年6月3日号(当時は週
1回発行/現在は年6回発行)に掲載されたものということなので、米国を離
れて帰国する直前に書かれたものと思われます。(英国にラッセルが Queen 
Mary 号で帰国したのは1944年6月9日頃)。

 なお、ラッセルは、スラング(俗語)の役割を認めており、「諺について」
というエッセイの中で次のように言っています。
 https://russell-j.com/PROVERB.HTM
 「現代における諺の類似物は、通常、俗語(スラング)という形式をとって
いる。俗語もまた、その起源は作者不明であり、また、ニーズを満足させるた
めに広く口伝えで流布する。俗語は、諺と異なり、文学的伝統の重みを支える
必要を感じないゆえに、現代の事物についても物を言うことができるし、最新
の発明品からもその隠喩を引き出すことができる。幸いなことに、俗語の多く
は、徐々に公認の慣用表現に組み入れられる。もしもこのような俗語の受容が
なければ、文学的言語は死んでしまい、現代世界を名文家が許容する言葉で語
ることが間もなく不可能となるであろう。

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(2) ラッセルに関する記述や発言等 
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 今回もお休み

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 編集後記 「少子化対策としての"N分N乗方式"」?
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 海外で定着している(評判のよい)やり方でも、国情(国状)の違いによっ
て、日本に導入しても必ずしもうまくいくとは限りません。

 少子化対策として自民党が最近急に言いだしたのは、-それから自民と事前
に示し合わせていると思われる国民民主党も言い出したのはー 少子化対策と
しての(フランス版)「N分N乗方式」の導入です。

 「N分N乗方式」というのは、「フランスで採用されている制度で、子どもな
ど扶養家族が多いほど世帯の所得税の負担が軽減される」方式(現行の所得税
の個人に対する課税ではなく、世帯単位で課税する方式)とのことです。

 この方式の「欠点」は累進課税方式をとっている国では、累進課税が機能し
にくくなり、所得の高い人が有利になることから、自民党にとっては支持基盤
の富裕層や保守層にもよいし、「産めよ増やせよ」政策を推進するにも都合が
よいということで、「一粒で二度美味しい!」と思い始めたようです。

 近年においては、様々な事柄が家庭単位ではなく、個人単位になっていく傾
向にありますが、自民党の支持層は、(圧力をかけて)「こども庁」を「家庭
こども庁」に名称を変更させるなど、旧来の家族制度を守りたいと考える人が
少なくなく、要注意です。子供が多い橋下徹氏(子供7人の9人家族!)が提
案したとのことで、我田引水の感があります。(笑)    (松下彰良)


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■編集・発行:(松下彰良/まつした・あきよし)
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