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「(週刊)バートランド・ラッセル(1872.5.18-1970.2.2)に関するメール・マガジン」
  no.0814_2022/12/17 (2006/12/21 創刊/毎週土曜 or 日曜日 発行)

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    ■ 目 次 ■
          
 1.ラッセルの著書及び発言等からの引用
 2.ラッセルに関する記述や発言等
  編集後記

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 1.ラッセルの著書や発言等から
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■「ラッセルの英語」n.2328~2332  を発行しました。
  (1)「ラッセル英単語」は、n.2328,2330, 2332
  (2)「ラッセルの英文」は、n.2329, 2331
 
 それぞれ1つづつ再掲します。

■ ラッセルの英語 (1) n2328 R英単語 

★ due【(adj.) ~する予定である;期限が来て、当然払うべき;正当な、
(尊敬が)当然与えられるべきもの | (n) 当然支払われるべきもの;会費、
手数料、税】

* due to :~が原因で、~に起因して、~のせいで;~することになってい
る;~に支払うべき
* in due course :当然の成り行きで,事が順調に運べば,やがてそのうちに,
適当な時に

1.ラッセルの著作から

My acknowledgments are due to my wife for constant help, both by 
criticism and by collection of material.
[ 妻には,批判と資料集めの両方での不断の助けに対して,感謝したい。]
 出典:ラッセル『ドイツ社会主義』まえがき
     https://russell-j.com/cool/01T-PREF.HTM

To give due place to passionate love should be therefore a matter 
which concerns the sociologist, since, if they miss this experience, 
men and women cannot attain their full stature, and cannot feel towards
the rest of the world that kind of generous warmth without which their
 social activities are pretty sure to be harmful. .
[情熱的な恋愛に正当な位置を与えることは,社会学者に関わる問題であるはず
である。なぜなら,男性も女性も,もしもこの経験(恋愛)の機会を逃すとすれ
ば,完全な精神的成長をとげることはできず,世界の他の人びとに対して,寛容
で温かい気持ちを抱くこともできないからである。]
 出典:ラッセル『結婚論』第9章「人生における恋愛の地位」
     https://russell-j.com/cool/27T-0901.HTM

Among those who are rich enough to choose their way of life, the 
particular brand of unendurable boredom from which they suffer is due,
 paradoxical as this may seem, to their fear of boredom.
[自分の生活方法(暮らし方)を自由に選択出来るほど裕福な人々の間では,彼
等が悩んでいる堪えがたい一種特殊な退屈は,逆説のように聞えるかも知れない
が,実は退屈を怖れる心から来ている(のである)。]
 出典:ラッセル『幸福論』第章「退屈と興奮」
     https://russell-j.com/beginner/SEL-P18.HTM

Habit and memory are both due to effects on the body, especially the 
brain.
[習慣と記憶は,両方とも,肉体,特に脳に及ぼされた影響に起因している
(due to 起因する,~のせい)。 ]
 出典:ラッセル『自伝』第1巻第5章「青年期」
     https://russell-j.com/beginner/RS1935_05-250.HTM

The pessimism of our age is generally explained as being due to the 
bad state of the world, but I believe it is quite as much due to the 
boredom which we all endured in youth through the optimism of the 
Victorians.
[今の時代の悲観主義は,一般に,世界の悪い状態(注:1929年の世界大恐慌)
から生じていると説明されている。しかし,その原因としては,我々が若い頃ヴ
ィクトリア朝時代の楽観主義を通して(の中で)耐えた(のと同様の)'倦怠
感'のせいでもあると,私は思う。]
 出典:ラッセル『宗教と科学』第5章「魂と肉体」
     https://russell-j.com/beginner/RS1935_05-250.HTM
 

2.参考例

All credit is due to Mr. Yamada.
[全ての功績は、当然、山田氏にある。]
 出典:『知識と文脈で深める上級英単語 LOGOPHILIAロゴフィリア』p.95

The homework is due on Monday.
[宿題は月曜が提出期限です。]
 出典:『鉄緑会 東大英単語熟語 鉄壁』p.145

Our grateful thanks are due to the police department for their help in
 the making of this film.
 出典:Longman Dictionary of Contemporary English, new ed

The country's economic problems are largely due to the weakness of the
 recovery.
 出典:Collins COBUILD English Dictionary for Advanced Learners, new
 ed


■ ラッセルの英語(2) ラッセルの英文

 アラン・ウッド「バートランド・ラッセルの哲学 II 留意事項03

 アラン・ウッド「バートランド・ラッセルの哲学 II 留意事項03

 ラッセルの仕事の仕方についてある程度知ることは、彼の著作を理解するた
めに不可欠である*。 激しい思考の(猛烈に考える)時期が続き(successive
periods of intense thinking)、それぞれの時期に考えたものは、最終的に、
それぞれ、急いで執筆された、一冊の本に結実した(culminated in)。ラッ
セルは自分が(過去に)書いたものを後に改訂(修正)することはほとんどせ
ず、 また、出版後、読みかえすこともほとんどなかった。(それを示す十分な
証拠が小さな誤植の数々の中にあり、彼の著書は何度版を重ねても(edition
 after edition )、それらの誤植は残り続けている)。彼は自ら思索(思考)
におい 新たな前進を始める時にはいつも(過去にしばられない)新鮮な精神
(気持ち)で開始した。彼は、自分の新しいアイデア(考え)と前回いったこ
とろの関係を関心を気にすることはめったになかった。 たとえば、ヴィット
ゲンシュタインは『哲学的探究』(Philosophical Investigations)を執筆して
いる時に常に『論理哲学論考』(Tractatus)を念頭においていたように(ラ
ッセルは気にすることはなかった)。
 * Portraits from Memory, pp.195-6.

 その結果、(ラッセルの思想が)初期と後期との(思想の)間に実際にある
不一致よりももっと大きな不一致が存在しているかのような印象を与えること
となった。一見すると矛盾が存在しているように見えるのは、ラッセルがひと
つの問題を全く新たな見地から論じているから、あるいは、異なる論敵に対し
て議論しているからである。外見上の矛盾を示すことはある。(しかし)反対
の方向からの攻撃に対して(自分の)同じ立場(ground 根拠、立場)を弁護
するとき、異なったやり方(方法)で対峙することに(facing 直面すること
に)矛盾(inconsistency 不一致)はまったく存在していない。ラッセルの著
作のこのような論争的な側面(this polemic aspect )は極めて重要であり、
そうして、彼の論敵が何を言っているかを知らずにラッセルの主張を理解する
ことは不可能である場合が多い、と私は信じている。

Cautionary notes, n.03
Some knowledge of Russell's method of working is essential to 
understanding his writings.* There were successive periods of intense
 thinking, each of which culminated in a book which, in the end, was 
written rapidly. Russell hardly ever revised anything he had written,
and almost never re-read a book after it had been published. (There is
 sufficient evidence for this in the number of small misprints which 
survived edition after edition of his work.) When he began each new 
advance in his thinking he did so with a fresh mind. He rarely 
concerned himself with the relation between his new ideas and what he
 had said the last time; in the way that Wittgenstein, for instance, 
always had the Tractatus in mind when writing his Philosophical 
Investigations.
* Portraits from Memory, pp.195-6.

The result is to give an impression of greater inconsistency than 
really existed between earlier and later years. There are apparent 
contradictions because he is discussing a problem from a completely 
different point of view, or arguing against a different opponent. 
There was no inconsistency in Russell facing in different ways when
 defending the same ground against attacks from opposite directions.
 I believe this polemic aspect of many of Russell's writings is of 
great importance, and that it is often impossible to understand his
 position without knowing what his opponents were saying.
 Source: My Philosophical Development, 1959, by Bertrand Russell.
 More info.:  https://russell-j.com/beginner/wood_br_cautionary-notes_03.html

 
■「ラッセルの言葉366_画像版」
 日本語 version : n.2232-2238j を投稿
 英 語 version : n.2232-2238e を投稿

1つだけ再録します。 n.2234j ( Dec. 13, 2022)

 「国家対個人」

 私は、人間の問題で最も知られる価値があり、称賛される価値があるものは
、共同体(社会)に関係あるものよりもむしろ個人に関係があるものであると
考える。私は、人間の集合体が、そのいくつかの生命(人命)に含まれる価値
以上に、独立した価値を持つとは信じてはおらず、国家、国民、教会あるいは
、その他の集合体を称賛するために、歴史が個人の価値を無視するのは危険だ
と考えている。

I think that what is most worthy to be known and admired in human
 affairs has to do with individuals rather than with communities. I do
 not believe in the independent value of a collection of human beings
over and above the value contained in their several lives, and I think
 it is dangerous if history neglects individual value in order to
glorify a State, a Nation, a Church, or any other such collective
entity. But I will not pursue this theme further for fear of being
led into politics.
Source: Bertrand Russell: Portraits from Memory and Other Essays, p.189
More info.: Not available.

<寸言>
 愛国心を強調する人については、その動機を疑ってみる必要があります(兵
器産業から支援を受けている族議員の場合はわかりやすい動機を持っています)。
 一般論として個人よりも国家を重視する人も、自分についてだけは国家より
も自分を重視していることが判明することもめずらしくはありません(徴兵制
がある国における兵役逃れ)。愛国心を叫ぶ人は少し恐ろしげにみえたりしま
すが、「正体見たり枯れ尾花」で、実際は臆病であることがわかることもよく
あります(瀬戸際政策を支持していても、実際に戦争が始まると責任を転嫁し
たり、遁走したりする人がいます)。
 なお、patrotism(愛国心)と nationalism(国家主義、ナショナリズム)
との意味の違いについて、数学者の藤原正彦氏は「ナショナリズムとは通常、
他国を押しのけてでも自国の国益を追求する姿勢である。私はこれを、国益主
義と表現する。パトリアティズムの方は、祖国の文化、伝統、歴史、自然など
に誇りを持ち、またそれらをこよなく愛する精神である。私はこれを祖国愛と
表現する。家族愛、郷土愛の延長にあるものである.」としています。
 その人がその言葉(ここでは愛国心や patriotism)にどういった意味合い
を持たせているかよく考えないと誤解の種となります。patriotism =「祖国
愛」と思い込むと、ラッセルの次の発言はおかしなことになります。

【 Patriotism of the nationalistic type, so far from being taught in
 schools, ought to be mentioned as a form of mass-hysteria to which
 men are unfortunately liable, and against with ...
[国家主義的な型の愛国心は,学校教育で教えられなければならない型の愛国心
とはかけ離れたものであり,人々が不幸にして陥りやすい集団ヒステリーの一
形態だと言わなければならない。また,そのような愛国心(教育)に対し,知的に
も道徳的に防備を固めなければならない。国家主義は疑いもなく現代の最も恐
ろしい害悪である。
 出典: ラッセル『教育と社会体制』第10章「教育における愛国心」]

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(2) ラッセルに関する記述や発言等 
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 今回もお休み

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 編集後記 軍備増強に前のめりな岸田総理
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 ハト派あるいは平和主義的と言われてきた自民党宏池会出身の岸田総理は、
日本の自衛隊の軍備拡張に「前のめり」となっています。国会でほとんど議論
することなく、多くの重要政策を閣議決定しています。こういうやり方は安倍
政権の悪い遺産です。

 「GDPの2%以上を防衛予算にあてる」(防衛費を毎年増やしていき、平成27
年度には今の2倍の約11兆円にする)と閣議決定し、その予算確保をどうする
かという議論を始めたかと思ったら、"不足する"1兆円余りを確保するために
3つの財源(法人税+所得税(震災復興税の一部を含む)+タバコ税)を、党
の税調を利用して、決めてしまいました。(元自民党幹事長で元宏池会代表の
古賀誠氏は、この閣議決定を、日本の国是だった「専守防衛主義を完全に逸脱
している」と批判しています。)

 来年度から5年間の防衛予算を43兆円とし、「不足する1兆円余り」を増税
によって確保したいと言っています。しかし、あたかも社会福祉(年金や医療
その他)などの重要な予算には影響を与えずに、年1兆円を増税するだけで43
兆円の予算を確保できるかのような説明をしています。また、自民党の安部派
は増税に反対し、建設国債の発行あるいは国債(の負債)の償還を減らすこと
(先延ばしすること)によって予算を確保すべきといっていますが、これは将
来につけを回すだけであり、「誤魔化し」にすぎません。

 国民に対する(NHKなどの)アンケートでは、向こう5年間の防衛予算を43兆円
確保することに対して、50%くらいの国民が賛成と、言っていますが、「増税
が年1兆円だけですみ、社会保障や他の重要な政策に関する予算は削減されな
い」という前提での話です。そんなことはありえないことはわかりそうなもの
ですが、「嘘だとわかったらその時は批判しよう」ということでこのまま突き
進んでいってしまうのでしょうか?  (松下彰良)

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■編集・発行:(松下彰良/まつした・あきよし)
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