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「(週刊)バートランド・ラッセル(1872.5.18-1970.2.2)に関するメール・マガジン」
no.0808_2022/11/05 (2006/12/21 創刊/毎週土曜 or 日曜日 発行)
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■ 目 次 ■
1.ラッセルの著書及び発言等からの引用
2.ラッセルに関する記述や発言等
編集後記
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1.ラッセルの著書や発言等から
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■「ラッセルの英語」n.2299~2302 を発行しました。
(1)「ラッセル英単語」は、n.2299,2301, 2302
(2)「ラッセルの英文」は、n.2300
それぞれ1つづつ再掲します。
■ ラッセルの英語 (1) n2302 R英単語
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今後は、
『<知識と文脈で深める>上級英単語 LOGOPHILIA ロゴフィリア』(アスク)
から英単語を採取していくことにします。
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★ autonomous【(adj.) 自治の、自治権のある;自律的な】
* 語源: auto- [自己]+ nomous [nomos 法律]
auto- は英語の"self"に対応するギリシア語の"autos"に由来
* autonomy (n):自治(権)、自主性
1.ラッセルの用例
Some modern philosophers have gone so far as to say that words should
never be confronted with facts but should live in a pure, autonomous
world where they are compared only with other words.
[代の哲学者のなかには,言葉は決して事実とつきあわせてはならず,純粋な
(言葉以外のものとまざらない)自律的な世界に生きるべきであり,他の言葉
とのみ比較されるべきだ,とまで言う者もいる。]
出典:ラッセル『私の哲学の発展』第13章「言語」
https://russell-j.com/cool/54T-1301.HTM
Yet that political economy was not psychologically autonomous, since
the desire for property is very intimately bound up with parental
feelings. .
[しかし,その古典経済学(political economy)は,心理的に見て自律的なも
のではなかった。]
出典:ラッセル『結婚論』第十三章「今日の家族」
https://russell-j.com/beginner/MM13-120.HTM
We therefore started an autonomous committee with the unsatisfactory
name of 'The British Who Killed Kennedy ? Committee'.
[そこで我々は --満足のいく名称ではなかったが-- 「誰がケネデイを殺した
か?」英国委員会 (The British Who Killed Kennedy ? Committee)という名
の独立(自律)した委員会を発足させた。]
出典:ラッセル『自伝』第3巻第4章「バートランド・ラッセル平和財団」
https://russell-j.com/beginner/0466HRMUC-170.HTM
If concentration of power in a single organization -- the State -- is
not to produce the evils of despotism in an extreme form, it is
essential that power within that organization should be widely
distributed, and that subordinate groups should have a large measure
of autonomy.
[単一の組織 -(たとえば)一つの国家- における権力の集中(化)が極端
な形の専制政治の弊害を生みだすべきでないとしたら,その組織内の権力は広
く分散されるべきであること,及び,従属する集団(配下の集団)が大幅な自治
権(自主性)をもつべきであることは,必須である。]
出典:ラッセル『権力』第18章「権力を手懐けること」
https://russell-j.com/beginner/POWER18_230.HTM
2.参考例
a fully autonomous robot
[完全自律型ロボット]
出典:『知識と文脈で深める上級英単語 LOGOPHILIAロゴフィリア』p.65
They envisage that the autonomous region will become a viable
independent country in the future.
[その自治区は将来、存続可能な独立国になると彼らは予想している。]
出典:『究極の英単語 v.4 - 超上級の3000語』p.120
The teacher tried to encourage autonomy in his students by letting
them make choices.
[先生は生徒たちに選択させることで自主性を向上させようとした。]
出典:『鉄緑会東大英単語熟語鉄壁』p.626
political system that allows a high degree of local autonomy
出典: Longman Dictionary of Contemporary English, new ed.
An autonomous country or group governs or controls itself rather
than being controlled by anyone else.
出典: Collins COBUILD English Dictionary for Advanced Learner's, new
ed.
■ ラッセルの英語(2) ラッセルの英文
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ラッセル『私の哲学の発展』の中のラッセルが執筆した部分は終了しまし
た。巻末には、名著『バートランド・ラッセル-情熱の懐疑家』の執筆者と
して有名な、オックスフォード大学の若きラッセル研究者アラン・ウッドの
『ラッセルの哲学-その発展の一研究』が収録されています。たった20ペー
ジだけですが、執筆の途中で若くして亡くなってしまいました。
ラッセル哲学の紹介としては優れたものなので、訳出することにします。
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アラン・ウッド『ラッセルの哲学-その発展の一研究』】
アラン・ウッド「バートランド・ラッセルの哲学 I 概観と手引」05
哲学者は全て失敗者である。 しかし、ラッセルはそれを認めるだけの誠実
さをもった少数者のひとりであった。この点に(Therein そこに)彼のこの上
ない重要性がある。彼がカントについて称賛して書いたように、、彼について
も次のように書くことができそうである。即ち、、
「率直な( candid 偏見のない/公平な)哲学者なら,自分が究極の真理に到達
したとはとても思えない(言えない)ことを認めるべきであろう。しかし、人
間性における教祖(自分の先生)を信じるという直し難い傾向(the incurable
tendency to discipleship in human nature)から考えると、(始祖/先達の)
哲学者は、もし彼が自分の失敗を極めてはっきりさせておかないと、後の人
(弟子、崇拝者)からは究極の真理に到達したと考えられるにいたるであろう。
そのこと(自分の失敗)をはっきりさせておく義務は、カントがそのその率直さ
(candour)ゆえに他の大多数の哲学者たちよりもより優れた業績へと導いた
もの(義務)であった。」
ラッセルの哲学的思想は、彼の確実な知識の追求の副産物であった。そうし
て、その追求は失敗に終った。では(then)彼の失敗がいかにしてとても生産
的なものでありえたのだろうか? 大雑把に言えば、それは二つのちがった仕
方で生じた(のであった)。
(a) ある哲学的問題が解決(解法)をまったくもたないことを明らかにするこ
とは、その問題に対するひとつの解決(解法)である。あたかも、数学におい
てリンデマン(Lindemann)が円を正方形に直すことが不可能であることを示
した場合のようにである。(訳注:古代の幾何学者によって円積問題(与えら
れた長さの半径を持つ円に対し、定規とコンパスによる有限回の操作でそれと
面積の等しい正方形を作図することができるか)が提示されていました。フェ
ルディナント・フォン・リンデマンは、11882年にフェルディナント・フォン
・リンデマンは、近似的に作図することはできても、π(パイ)は無理数であ
るだけでなく超越数であるために、原理的に、作図することは不可能であるこ
とを証明しました。)
(b) ラッセルは、彼(自分)の探究の中で、確実性を与えることはできなかっ
たにせよ、知識を増やす、ひとつの顕著な哲学的方法を開発した。彼は次のよ
うに言っている。「真に哲学的な問題は、全て分析の問題である。そして分析
の問題において、最良の方法は、結果から出発して前提にいたるという方法
ある」。*
* 「数理論理学の哲学的意義」(『モニスト』1913年10月号掲載)
なお、『外界についての我々の知識』(1914年刊)p.211参照
Summary and Introduction 05
All philosophers are failures. But Russell was one of the few with
enough integrity to admit it. Therein lies his supreme importance.
One might write of him, as he himself wrote in praise of Kant, that:
'A candid philosopher should acknowledge that he is not very likely to
have arrived at ultimate truth, but, in view of the incurable tendency
to discipleship in human nature, he will be thought to have done so
unless he makes his failures very evident. The duty of making this
evident was one which Kant's candour led him to perform better than
most other philosophers." His philosophical ideas were the by-products
of his quests for certain knowledge, and these quests ended in
failure. How then could his failures prove so fruitful? Broadly
speaking, this came about in two different ways.
(a) It is a solution to a philosophical problem to show that it has no
solution: just as it was an advance in mathematics when Lindemann
showed that it is impossible to square the circle.
(b) In his quests Russell developed a distinctive philosophical method
which added to knowledge, even though it could not confer certainty.
'Every truly philosophical problem", he said, 'is a problem of
analysis; and in problems of analysis the best method is that which
sets out from results and arrives at the premisses.? *1
*1 'Philosophical Importance of Mathematical Logic' (Monist, Oct. 1913
cf. Our Knowledge of the External World, 1914, p.211
■「ラッセルの言葉366_画像版」
日本語 version : n.2190-2196j を投稿
英 語 version : n.2190-2196e を投稿
1つだけ再録します。 n.2193j ( Nov. 2, 2022)
「人間の恐怖心と宗教」
講演です。
宗教は、(順番として/質において)第一に、また(量において)主に、恐
怖心に基礎をおいていると、私は考えます。未知のものに対する恐怖(心)もあ
れば、先ほども申し上げたように、あらゆる問題(トラブル)や論争において
あなたのそばにいる兄のような存在がいると感じたいという願望もあります。
恐怖(心)は、神秘的なものへの恐怖(心)、敗北への恐怖(心)、死に対す
る恐怖(心)など、あらゆるものの根底にあります。恐怖(心)は残忍性/冷
酷さの親であり、従って、残忍性/冷酷さと宗教が手を取り合っていても不思
議ではありません。
Religion is based, I think, primarily and mainly upon fear. It is
partly the terror of the unknown, and partly, as I have said, the wish
to feel that you have a kind of elder brother who will stand by you
in all your troubles and dis putes. Fear is the basis of the whole
thing-fear of the mys terious, fear of defeat, fear of death. Fear is
the parent of cruelty, and therefore it is no wonder if cruelty and
religion go hand-in-hand.
Source: Why I am not a Christian, 1927.
Reprinted In: Why I am not a Christian and ,Other Essays on Religion
and Related Subjects. 1957,
More info.: Not available
<寸言>
カルト宗教は人間の恐怖心を露骨に利用します。多くの日本国民が旧統一教
会がこれまでやってきたことを目の当たりにして、カルト宗教の残酷生/冷酷
さをよく理解したのではないかと思われます。そんなひどいカルト宗教でも、
政治家は自分が当選できるかどうかわからないような時には「藁をもつかむ」
気持ちで利用してしまいます。
カルト宗教にたよる罪悪感を減らしてくれたのが安倍元総理や細田衆議院議
長でした。総理大臣や衆議院議長が利用しているのなら自分達が利用してどこ
がいけないのか? 「勝てば官軍」というのは世の習いであり、政治家は落選
したら「(つぶしがきかない)普通の人以下」の哀れな存在になってしまいま
す。プライドだけは高い人間はそんなことは我慢ができません。ということで
・・・。
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(2) ラッセルに関する記述や発言等
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今回もお休み
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編集後記 タワマン事故-「想定外」とは言えず・・・
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憧れのタワマン(タワー・マンション)ですが、このこところ転落事故等
(飛び降り自殺もあり)が増えているようです。関東地方のタワマンの「売り」
の一つは富士山が眺望できることです。
タワマンは高価なので裕福な人しか買えませんが、裕福であっても幼児がい
る家庭はタワマン購入はさけたほうが良さそうです。一昨日(11月2日)にも
千葉県美浜区のタワマン(48階建て)の25階から2歳の幼児が転落して死亡し
ています。ベランダに踏み台が置いてあったということです。幼児のやりそう
な行動として、親も予想はできたはずでした。予測できても予想しなかったこ
とを政治家や官僚は「想定外」と言って逃げますが、親が自分の不注意で子供
を死に至らせた場合には「悔やまれるばかり」となってしまいます。
タワマンの場合、普段は快適であっても、大地震などが起こってエレベータ
がとまったり、給排水設備が壊れたりしたら大変です。エレベータが止まれば
階段の上り下りが大変になりますし、給排水設備が故障したり壊れたりしたら
最悪の場合はトイレが使えなくなり、まさしく「雪隠(せっちん)詰(or攻め)」
となってしまいます。関東地方における次の大地震がどこで起こるか(東京か
千葉かそれ以外か)わかりませんが、東京の湾岸地区のタワーマンションの住
民はひどい目にあいそうです。(松下彰良)
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■編集・発行:(松下彰良/まつした・あきよし)
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