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バートランド・ラッセルのポータルサイト

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「(週刊)バートランド・ラッセル(1872.5.18-1970.2.2)に関するメール・マガジン」
  no.0801_2022/09/17 (2006/12/21 創刊/毎週土曜 or 日曜日 発行)

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    ■ 目 次 ■
          
 1.ラッセルの著書及び発言等からの引用
 2.ラッセルに関する記述や発言等
  編集後記

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 1.ラッセルの著書や発言等から
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■「ラッセルの英語」n.2265~2269  を発行しました。
  (1)「ラッセル英単語」は、n.2265,2267, n.2269
  (2)「ラッセルの英文」は、n.2266, n.2268
  それぞれ1つづつ再掲します。

 バートランド・ラッセルの英語 (1) n2265 R英熟語

★ set out【(事業を)始める;(旅・仕事に)出発する(出かける);~に
乗り出す、着手する;(考え・議論・書類を整えて)提示する;(食べ物を)
用意する;(考え・理由を)はっきりのべる】


1.ラッセルの用例

In the first edition of the Principia we set out the reasons for 
accepting the axiom as follows.
[『プリンキピア・マテマティカ(数学原理』の初版において、我々(注:ラ
ッセルとホワイトヘッド)は、この公理(注:還元公理)を受け入れる理由を
次のように(明確に)述べている。]
 出典:ラッセル『私の哲学の発展』第10章「 ヴィトゲンシュタインの衝撃」
          https://russell-j.com/beginner/BR_MPD_10-180.HTM

The Russells never understood him at all, and regarded him from the 
first as a limb of Satan. Not unnaturally, finding himself so viewed, 
he set out to live up to his reputation. .
[ラッセル家の人々は,彼(ラッセルの兄)をすこしも理解せず,最初から彼を
腕白小僧とみなしていた。自分がそのように見られているということを知り,
彼がそのような評判に応じた(沿った)行動をし始めたのは,不自然なことで
はなかった。]
 出典:ラッセル『自伝』第1巻第1章「幼少時代
          https://russell-j.com/beginner/AB11-120.HTM

With these works the present volume obviously does not set out to 
compete.
[れらの著作と、本書(注:ラッセル著『西洋の知恵』)は競い合おうとする
ものではないことは明らかである。]
 出典:ラッセル『西洋の智恵力』著者(ラッセル)まえがき
          https://russell-j.com/cool/55T-PREF.HTM


2.参考例

She set out to build a law practice. / He set out for Paris.
[彼は弁護士業を始めた。/彼はパリに向かって出発した。]
 出典:『英熟語図鑑』p.172-173

We set out for the mountain at 6 a.m.
[我々は朝6時に山へ向けて出発した。]
 出典:『鉄緑会 東大英単語熟語 鉄壁』p.498

[ The meal was set out on a long table.
 出典:Longman Dictionary of Contemporary English, new ed.

If you set out a number of facts, beliefs, or arguments, you explain 
them in writing or speech in a clear organized way.
 出典:Collins COBUILD English Dictionary for Advanced Learners, new
 ed.


■ ラッセルの英語(2) ラッセルの英文:ラッセル n.4-06    

 ラッセル『私の哲学の発展』第18章「批評に対する若干の返答」
  その4_G.ライル『心の概念』について n.06

 ライル教授の科学に対する態度は奇妙である。ライル教授の論ずる問題に重
要な関係があると(科学者達が)考える事柄について、科学者達がいろいろ主
張しているのを、ライル教授は疑いもなく知っている。 しかし、彼は、哲学
者は科学(そのもの)にまったく注意も払わなくてもよいと信じきっている
(ようである)。 ライル教授は、哲学者は我々の祖先が大青(訳注:woad た
いせい:タイセイの葉から採れる藍色染料)で身を染めていた時代にすでに知
っていたこと以上に、科学的知識をもつ必要がない、と信じているように見え
る(訳注:たとえば、アインシュタインは相対性理論によって時空の概念を根
本的に変えてしまったので、哲学においても相対性理論を理解した上で時空の
問題を論ずる必要があるが、多くの哲学者は、科学と哲学は異なるので、相対
性理論を理解しないで時空の問題を論じてもよいと考えている。)。 こうい
った態度が、哲学者は教養のない人々の物の言い方に注意を払うべきであり、
学者の洗練された言語を軽蔑すべきであると彼に考えることを可能にさせるの
である。けれども、彼の意見において、この原理にも例外がひとつある。それ
は普通の人々は、思想や観念が人々の頭に宿ると考えているということである
(訳注:ライル教授はそう考えていない)。 ゴールドスミスの言うように

 驚きはなお募り行くなり、
 小さき(人間の)頭、その知るところをすべて容るるなれば。 

 この点について(は)、ライル教授は日常の用法(common usage 一般的な
用法)を拒否する(訳注:それ以外においては、ライル教授は通常の用法の信
奉者)。彼は思考/思想や感情が我々の頭の中にあることを信じることができ
ず、この点について普通の人は彼に同意することを証明しようとする(make 
out :理解する;主張する;証明する)。 彼は思考が人々の頭の中にないとい
うことを示すいかなる種類の議論も提出しない。 また、私は不安を覚えなが
ら言うが(with trepidation) - 彼はこのことに関してはいかなる心的なも
のにも空間的位置を指定すること馬鹿げている(preposterous)と思わせるデ
カルト風の二元論に知らず知らずの内に影響を受けているのではないか、と私
は思う(I fear 危ぶむ)。心的と呼んで然るべき構造についての彼の主張を認
めるとするならば、当然、心的と呼ばるべきものは空間の中に存在しないとい
うことになるだろう。クリケットはクリケット場(のどこか)にあるわけでな
いし、賢さは賢い人々の中(空間のどこかに)に位置しているわけではない。
しかし、もし彼の主張(説)がしりぞけられるのなら -私はしりぞけるべき
だと信じるが-、我々が心的出来事を脳に位置づけることを妨げる二元論的な
偏見だけが残ることになる。

Chapter 18,n.4: What is mind?, n.6

Professor Ryle's attitude to science is curious. He no doubt knows 
that scientists say things which they believe to be relevant to the
 problems he is discussing, but he is quite persuaded that the 
philosopher need pay no attention to science. He seems to believe that
 a philosopher need not know anything scientific beyond what was known
in the time of our ancestors when they dyed themselves with woad. It
is this attitude that enables him to think that the philosopher should
 pay attention to the way in which uneducated people speak and should
treat with contempt the sophisticated language of the learned. To this
 principle, however, there is, in his opinion, one exception: common 
people think that thoughts and ideas are in people's heads. 
As Goldsmith says.

 Still the wonder grew
 That one small head could carry all he knew.

On this point, Professor Ryle rejects common usage. He cannot believe
 that thoughts and feelings are in our heads, and tries to make out 
that on this point the plain man agrees with him. He offers no argument
 of any sort or kind to show that thoughts are not in people’s heads,
 and I fear -- though I say this with trepidation -- that he has 
allowed himself to be influenced on this matter by the Cartesian 
dualism, which makes it seem preposterous to assign a spatial location
 to anything mental. Granted his thesis as to the sorts of structure
 that can be called mental, it would, of course, follow that what is
 to be called mental is not in space. Cricket is not located on the 
cricket field and cleverness is not located in clever people. But if
 his thesis is rejected as I believe it should be, there remains only
 a dualistic prejudice to prevent us from locating mental occurrences
 in brains.
 Source: My Philosophical Development, 1959, by Bertrand Russell, 
chapter XVIII
  More info.: https://russell-j.com/BR_MPD_18-390.HTM

 
■「ラッセルの言葉366_画像版」
 日本語 version : n.2141-2147j を投稿
 英 語 version : n.2141-2147e を投稿

 1つだけ再録します。 n.2145j ( Sept. 15, 2022)
         
 「麻酔薬による無痛分娩」

 麻酔薬が発見されたとき、敬虔な人々はそれを神の意志から逃れようとする
試みだと考えた。けれども、神がアダムの肋骨を取り出す時に、彼を深い眠り
につかせたということが指摘された。このことは、麻酔薬は男性にとっては正
しいものであるが、女性はイブの呪いによって苦しむべきものであることを証
明している(とされた)。欧米では(選挙における)女性票がこの教義の間違
いを証明したが、日本では今日に至るまで、出産時の麻酔による(痛みの)緩
和は一切許されていない(訳注:戦前の日本のことですが、現在も麻酔による
無痛分娩はわずかとのことです)。日本人は創世記を信じないから、このサデ
ィズムには何か他の正当化があるに違いない。

When anaesthetics were discovered, pious people considered them an 
attempt to evade the will of God. It was pointed out, however, that 
when God extracted Adam's rib He put him into a deep sleep. This proved
that anaesthetics are all right for men; women, however, ought to 
suffer, because of the curse of Eve. In the West votes for women proved
this doctrine mistaken, but in Japan, to this day, women in childbirth
are not allowed any alleviation through anaesthetics. As the Japanese
 do not believe in Genesis, this piece of sadism must have some other 
justification.
 Source: An Outline of Intellectual Rubbish, 1943, by Bertrand Russell
Reprinted in : Unpopular Essays, 1950
 More info.: https://russell-j.com/0811OIR.HTM

<寸言>
 華岡青洲(はなおか・せいしゅう、1760-1835)は、世界で初めて全身麻酔
を用いた手術(乳がんの手術)を行いました。欧米で初めて全身麻酔が行われ
たのはその40年後ということなので、どうして日本では麻酔による無痛分娩が
普及しなかったのは興味深いところです。それについては、次の論文が参考に
なります。
 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsts/21/0/21_1/_pdf
 大西香世「麻酔分娩をめぐる政治と制度― なぜ日本では麻酔による無痛分
娩の普及が挫折したのか」

 自分に直接関係ないことに関しては無知であることが多いですが、国によっ
て麻酔による無痛分娩の考え方や実施数の差が大きいことは驚きです。
 上記の論文によると、たとえば(最も主流で安全性が高いと言われている)
硬膜外麻酔(松下注:下半身の痛みのみをとる方法)による分娩の普及率は、
(2005年において)日本では3%以下ですが、フランスやアメリカではなんと
60%という高率だそうです。
 長文なので最初のところを読んだだけです。興味のある方はお読みください。

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(2) ラッセルに関する記述や発言等 
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 今回もお休み

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 編集後記 「オリンピック利権・汚職は大疑獄事件に発展?」
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 岸田政権にとって悪い材料がどんどん積み上がっています。統一教会問題
一つとっても、安倍元総理(故人)と衆議院議長については自民党の「点検
対象外」となっており、とても収束の方向にはいきません。一方、物価高、
極端な円安状態などで国民(上級国民は除く)の不満が高まっています。

 そのような中で火に油を注ぎそうなのが東京オリンピックにまつわる利権・
汚職事件の急速な展開です。疑惑の中心人物は電通元専務の高橋治之氏です
が、「共犯」者として元総理(森、菅、安倍=故人)や元大臣(竹中平蔵、
平井卓)の名前も連日週刊誌などに書かれるようなってきました。

 東京オリンピック利権・汚職事件は東京オリンピック誘致のための数億円
の賄賂疑惑から始まりました。その隠れ蓑に使われた嘉納治五郎財団(森元
総理が会長)。菅官房長官(当時)が安倍総理(当時)の意向を受けて、菅
氏がセガサミー会長に数億円の買収資金の調達を依頼(見返りは横浜でのセ
ガサミーによるIR事業への参入?)したことから始まったようです(セガサ
ミーの会長が料亭で多くの人がいる前で自慢気にそのことをしゃべってしま
ったという話が幅広く流布しています)。

 JOCの武田会長(高橋氏の慶応の後輩)は買収疑惑でフランス検察の事情聴
取を受け、JOCの会長を退任しています。日本では時効が成立していますが、
フランスでは重大事件は時効は10年ということで無罪放免になっていません。

 高橋治之氏への賄賂疑惑の金額は現在1億2千万円を超えており、それだけ
で懲役7~10年を求刑できるとのことです。78歳の高橋氏には耐えられないは
ずです。それどころか、パーク24に関しても賄賂をもらっているのではないか、
いやもっと手広く他の企業からも賄賂をもらっているのではないかと噂をされ
ており、口の固い高橋氏にも限界があるはずです。

 自白を促す最後の手段は、「罪一等を減じてあげるから元総理の逮捕につな
がる自白をしなさい」という司法取引です。検察関係者から漏れてくる情報の
なかに、この汚職事件で「逮捕される候補者が50人にものぼっている」という
のがあり、大疑獄事件になることは間違いなさそうでう。

 高橋氏の9月26日の勾留期限に向けて攻防が続きます。(松下彰良)

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■編集・発行:(松下彰良/まつした・あきよし)
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