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「(週刊)バートランド・ラッセル(1872.5.18-1970.2.2)に関するメール・マガジン」
no.0736_2021/06/05 (2006/12/21 創刊/毎週土曜 or 日曜日 発行)
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■ 目 次 ■
1.ラッセルの著書及び発言等からの引用
2.ラッセルに関する記述や発言等
編集後記
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1.ラッセルの著書や発言等から
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■「(ほぼ日刊)ラッセルの英語」
n.2057~2059 を発行しました。2つ再掲します。
(1) 「ラッセルの英語」n.2059
https://russell-j.com/beginner/reitan-r126.htm
ラッセル英単語・熟語 respectability
★ respectability【 (n) 立派な態度、世間体、体面;立派な社会的地位;
お歴々(地位のある人々)】
1.ラッセルの著書より
In women, less nowadays than formerly, but still to a very large
extent, zest has been greatly diminished by a mistaken conception of
respectability.
[女性にあっては,昔ほどではないが今日(注:本書の出版は1930年)でも,いま
だはなはだしく,まちがった品位(立派な態度)の観念のために,熱意は大いに
減少させられてきた。]
出典:ラッセル『幸福論』第11章「熱意」
https://russell-j.com/beginner/HA22-080.HTM
The purpose of religion, one may say, is to give an air of
respectability to these passions, provided they run in certain
channels.
[宗教の目的は,一定の経路の中を流れるという条件のもと,これらの情熱に
上品さ(an air of respectability)を与えることにあるとも言えよう。]
出典:ラッセル「宗教は文明に有益な貢献をしたか?」
https://russell-j.com/beginner/0466HRMUC-170.HTM
1950, beginning with the OM and ending with the Nobel Prize, seems to
have marked the apogee of my respectability.
[メリット勲章(授与)で始まり,ノーベル賞で終わった1950年という年は,私の
社会的地位が最高点を記録した年であったように思われる。]
出典:ラッセル『自伝』第3巻第1章「英国への帰国」
https://russell-j.com/beginner/AB31-240.HTM
2.参考
regain respectability
[世間体を回復する]
出典:『究極の英単語v.4_超上級の3000語』p.290
They got married for the sake of respectability.
出典:Longman Dictionary of Contemporary English, new ed.
If she divorced Tony, she would lose the respectability she had as Mrs
Tony Tatterton.
出典:Collin's COBUILD English Dictionary for Advanced Learners, new
ed.
(2)「ラッセルの英語」n.2058-2 (旧「ラッセルの言葉」に該当するもの
https://russell-j.com/beginner/genbaku-toka_zanin.htm
ラッセル「原爆投下は人間の残忍性を象徴するもの」
Source: Has Man a Future? 1961, chapt.2: The Atom Bomb
牧野力(編)『ラッセル思想辞典』所収
以下は、牧野力氏の要旨訳(ただし字句を少し修正)に原文を追加したもの
です。
対独戦争が終わった時、原爆製造に協力した科学者達は、原爆は既に敗北の
瀬戸際にある日本に対して使用すべきではないと考えていた。いずれにせよ、
(日本は)ヒトラーのような世界に対して脅威をもたらすようなものではなか
った。(あの原爆は戦争を終わらせるために投下されたものではなかった。日
本政府はその前に講和を申し出ていた。西欧諸国の政府はそのことを知ってい
た。)科学者達は、米国政府に対し、公表した後に原爆を無人地域(in a
desert)で爆発させること、また、原子力を国際的な権威の手に委ねるべきだ
と主張した。しかし、米国政府に、いずれも無視され、原爆は投下された。
( When, however, the German war was finished, the great majority of
those scientists who had collaborated towards making the A-bomb
considered that it should not be used against the Japanese, who were
already on the verge of defeat and, in any case, did not constitute
such a menace to the world as Hitler. Many of them made urgent
representations to the American Government advocating that, instead of
using the bomb as a weapon of war, they should, after a public
anouncement, explode it in a desert, and that future control of
nuclear energy should be placed in the hands of an international
authority. ... but neither paid any attention. ...)
■「ラッセルの言葉(Word Press 版)v.2, n.1812~1816
My Philosophical Development, 1959 の対訳の連載を開始しました。
1) n.1812:ラッセル『私の哲学の発展』第2章 私の現在の世界観 n.12
https://russell-j.com/wp/?p=6377
2) n.1813: ラッセル『私の哲学の発展』第2章 私の現在の世界観 n.13
https://russell-j.com/wp/?p=6381
3) n.1814:ラッセル『私の哲学の発展』第3章 最初の努力 N.1
https://russell-j.com/wp/?p=6385
4) n.1815:ラッセル『私の哲学の発展』第3章 最初の努力 N.2
https://russell-j.com/wp/?p=6388
5) n.1816:ラッセル『私の哲学の発展』第3章 最初の努力 N.3
https://russell-j.com/wp/?p=6391
■「ラッセルの言葉366_画像版」
日本語 version : n.1672j-1678j を投稿
英 語 version : n.1672e-1678e を投稿
一つだけ再録します。
n.1674j ( June 1, 2021)
https://russell-j.com/smart_r366/r366g_j1674.html
「90歳祝賀コンサート(Royal Festival Hall)」
(私の90歳の誕生日の)翌日(1962.5.19)の午後,(ロンドンの)ロイヤル・フェ
スティヴァル・ホール で ー支配人 T.E.ビーンの思いやりのある後援のも
とー 祝賀パーテイが催されたが,それについて何をどういったらよいかわから
ない。私のために記念コンサートが催され,いろいろなプレゼンテーションが
あるということは聞かされていたが,コンサートがあれほど素晴らしいものに
なろうとは事前に知ることはできなかった。コリン・デイヴィス指揮のオーケ
ストラの演奏も,リリー・クラウスの(ピアノ)独奏も,とても素晴らしいもの
であった。また,私に対し贈られた数々のスピーチがあれほど感動的かつ寛大
なものになるとは予期できなかった。・・・。
Of the celebration party (for Russell) at Festival Hall, under the
kind aegis of its manager, T. E. Bean, that took place the next
afternoon, I do not know what to say or how to say it. I had been told
that there would be music and presentations to me, but I could not
know beforehand how lovely the music would be, either the orchestral
part under Colin Davis or the solo work by Lili Kraus. Nor could I
know how touching and generous would be the presentation speeches.
Source: The Autobiography of Bertrand Russell, v.3 chap. 3
More info.: https://russell-j.com/beginner/AB33-350.HTM
<寸言>
このラッセル生誕90周年祝賀コンサートは、ストラヴィンスキー(20世紀を
代表する作曲家の一人)がこの日のために作曲した「誕生日を祝う小品」で開
始されています。この祝賀コンサートには、ネール首相、シュバイツァー、ミ
ッシャ・エルマン(Mischa Elman 名ヴァイオリニスト)、その他、各国の著
名人からお祝いの言葉が多数寄せられており、ラッセルの交友の範囲の広さや
影響力の強さが伺われます。
ラッセルは記念コンサートの最後に次のようにお礼の言葉を述べています。
「友人の皆さん! 今ここで何と申し上げたらいいか,ほとんど思い浮かびま
せん。感動で何も言えません。また,その感動は深いものであり,何か表現した
いという気持ちよりも勝っています。私は,この祝賀会を開催するために尽力
された方々に心から感謝の念を捧げなければなりません。喜びに満ちた,非常
に美しい音楽を絶妙に演奏してくださった演奏家の皆さん,私の友人シェーン
マン氏のように目だたないところで働いてくださった方々,それから私に贈物
を下さった全ての方々に対し,心から感謝を捧げます。贈物はそれ自体高価な
ものでありますとともに,この危険な世界に対する不滅の希望を表わしていま
す。
私は非常に単純な信条の持ち主です。それは何かといいますと,生命と喜び
と美は,ほこりっぽい死よりもずっとよいものだということです。また,本日こ
こで私たちが聴いたような音楽に耳をかたむけている時,そのような音楽を作
曲し演奏できるということ,そしてまたそのような音楽を聴くことができると
いうことは,守り続ける価値があると感じなければならないとともに,愚かな言
い争いで放り出すべきではないと考えます。単純な信条だと言われるかもしれ
ませんが,すべて大切なことは実にしごく単純なものであると,私は考えます。
私は,その信条は十分なものであるということを発見しました。そして,本日ご
出席の非常に多くの方々もまた,その信条は十分なものであると悟っておられ
ると思います。もしそう考えておられないのであれば,今日ここにおいでにな
られなかっただろうと思います。
しかし,程度はいろいろですが,私が迫害や汚名や罵りを招く道筋(コース)
をこれまで通ってきたことを考える時,それに代わって,今日のように歓迎され
るということはどんなに困難なことであるか(夢のようであるか)ということ
だけ,今申し上げたいと思います。私は今かなり'つつましやかな気持ち'にな
っています。このような機会を与えてくださった皆さんのお気持に恥じない生
き方をするよう努力しなければならないと思っています。今後そうしたいと思
います。心の底から皆さんに感謝申し上げます。」
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(2) ラッセルに関する記述や発言等
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今回もお休み
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編集後記 「権限なければ責任なし?」
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菅総理によれば、オリンピックの開催・中止の決定権はIOCにあり、日本は
あくまでも開催の"実施方法"について(IOCの承認のもと)「主体的に」決める
権限"のみ"をもっているようです。即ち、「権限のないところに責任なし」と
言うことで、可能な限り新型コロナによる犠牲者を「減らす」ことが日本政府
や東京都の責務であり、オリンピックを招致した日本政府及び日本国民は「多
少の犠牲は甘受しなければならない」と思っているように見えます。
IOCのバッハ会長は、「多少の犠牲を払う必要がある」と言って叩かれたた
め、急遽、「犠牲を払うのは大会関係者であり日本国民ではない」と弁解しま
したが、本心では「オリンピックを招致に賛成した日本国民も多少の犠牲は払
うべきだ」と思っているかも知れません。
政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は、当初は、政府
の意向に配慮した発言をしてきましたが、6月に入り、オリンピック開催まで
2ヶ月を切ったことから、発言のトーンを変えてきました。尾身氏も感染症対
策(公衆衛生)の専門家ですので、オリンピック開催による感染拡大の危険性
について言うだけは言っておく必要があります。そうでないと、政府から重用
されても、専門家としての評価や評判を落とすことになってしまいます。
しかし、そういった「抑制的な」コメントでさえ、自民党の某幹部は反発し、
「(分科会会長としては)言い過ぎだ」と背後から鉄砲を撃つ始末です。そう言
いたいのなら、政治家としては堂々と「公言」すべきですが、そんなことをし
たら世論にたたかれるということで、自民党の番記者などを通じて、総理の援
護射撃を行っています。
菅総理としては、オリンピック延期や中止についてIOCと交渉などすると発
言すれば自民党内の支持を失い、政権を失ってしまいます。秋の自民党総裁選
で勝利することは不可能となってしまいますので、ここは何を言われようと
「安心・安全にオリンピックを開催する」と鸚鵡返しに言う他ないようです。
東京都の小池知事は微妙な立場です。小池知事の後ろ盾の都民ファーストの
会はオリンピック再延期あるいは中止を主張して都議選(7月4日)を戦うよう
ですが、小池知事はオリンピックについては自民党の二階幹事長などと連携し
ており、今のところ、実施を推し進めるという立場をくずしていません。
二階幹事長は、安倍元副総理+麻生副総理との関係はあまり良くなく、菅総
理をとりこんで二階幹事長を追放する方向に動く可能性もあります。そのよう
な動きが顕になれば、(高齢の二階氏は)最後のあがきということで、小池都
知事と組んで「オリンピック再延期それがダメなら中止!」の声をあげるかも
知れません。すでに二階氏は「何が何でもオリンピックを開催するとまでは言
えない」と発言し、「君子(?)豹変」の可能性を残しています。
「政界は一寸先は闇だ」ということで、どういうことになるやら・・・?
(松下彰良)
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■編集・発行:(松下彰良/まつした・あきよし)
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