バートランド・ラッセル(作)「赤外線透視機」(『ラッセル短篇集』より)
* 出典:『ラッセル短篇集』(内山敏訳)(中央公論社、1954年4月刊。207pp.)* 原著:Satan in the Suburbs, 1953.
* 内山敏氏(1909~?)は、日本バートランド・ラッセル協会設立発起人の一人
バルバス・フルティガー卿(Sir Bulbus Frutiger)は、『デイリー・ライトニング』紙(The Daily Lightning)の編集長として、またどの党が名目上政権につこうと、わが国における大有力者の1人として、世界中にその名が知れわたっていた。彼には秘書が1人と、秘書の秘書が6人おり、外部のひとびとが近よれなくなっていた。彼に直に電話をかけるような大それたことをするものはめったになく、こういうめったにないもののなかでも、彼を電話口に呼びだせるものは、そのまた何十分の一にすぎなかった。彼の夜間の瞑想は非常に重要だったので、これをさまたげてはいけなかった。が(自分が編集をしている)新聞の読者すべての平静を打ち破る計画をたてている間、落ち着いて平静さを保つのが彼の使命だったのである。だが、このような防壁にもかかわらず、ミリセント夫人からの電話にはすぐに応じた。
「ああ、ミリセント夫人ですね?」、と彼は言った。 (The Infra-Redioscope の他の挿絵)
* この続きは、原書を購入して読まれるか、邦訳書をお読みください。(『ラッセル短篇集』は、早大ラッセル関係資料コーナー、国会図書館、都立中央図書館、東洋大、京大総合人間学部、神戸市立大学、琉球大学等で所蔵しています。また、Cambridge 大学図書館及び Oxford 大学図書館でもこの邦訳書を所蔵しています。)
★「赤外線透視機」は、『中央公論』v.68,n.7(1953年7月)p.267-286(山内俊雄訳)にも収録されています。
... He was protected from the public by a secretary and six secretary's secretaries. ...