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ラッセル関係書籍の検索 ラッセルと20世紀の名文に学ぶ-英文味読の真相39 [佐藤ヒロシ]

バートランド・ラッセル「理性の意味」

* 原著:Human Society in Ethics and Politics, 1954.
* 出典:牧野力(著)『ラッセル思想辞典』所収


 理性」の完全に明白で正確な意味は、(理性は)われわれが達成したいと思う目的に対し正しい手段を選ばせることにある。これは目的を選ぶこととは違う。だが、反理性論者にはこれがわからない。反理性論者は "合理性" 提唱派(合理主義者)が "理性に目的と手段とに指図させたがっている" と勘違いしているからである。
理性は情熱の奴隷であり、またそれにとどまるべきである。
というD.ヒュームの有名な言葉がある。行為の原因たりうる唯一のものは、欲望、情動、情熱、と呼ばれるものである。理性は行為の原因ではなく、調整役に過ぎない。人々には理性を嫌うようにさせかねないいくつかの動機があるし、また両立しない欲望を抱きながら、その両立しないことを分ろうとしたがらないところもある。興奮のあまり正気を失い、意図するところと逆の結果を招くのはよいことではない。
 私を余りに理性的すぎると批判する人がいる。
 私の期待する世界は、情動が強くても破壊的でない世界、情動を情動として認めて、なお自他のだましあいのない世界である。
Reason' has a perfectly clear and precise meaning. It signifies the choice of the right means to an end that you wish to achieve. It has nothing whatever to do with the choice of ends. But opponents of reason do not realize this, and think that advocates of rationality want reason to dictate ends as well as means. ...
The world that I should wish to see is one where emotions are strong but not destructive, and where, because they are acknowledged, they lead to no deception either of oneself or of others.