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バートランド・ラッセル「核時代の紛争解決試案」

* 原著: Common Sense and Nuclear Warfare, 1959, chapt. 2 & C
(『ラッセル思想辞典』には「1958」と記述されているが誤記
*: 出典:牧野力(編)『ラッセル思想辞典


(以下は牧野力氏による要旨訳です。/原文と訳文とが微妙に食い違っていますが、原文をつけておきます。)

Mysticism and Logic の表紙
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 核兵器出現以前の戦争論に関する発想は、現在、ほとんど通用しない。
(1) 大規模な核戦争は、交戦国のみならず、中立国も放射能の災害に巻き込む。正気な人間の願望は戦争に訴えても一切達成しない。
(2) 小さい通常兵器戦争から大戦争に、遂に、核戦争に なる危険は確実である。
(3) 保有核兵器の放棄と製造禁止との協定が成立しても真の保障としては不十分だ。 戦争勃発時に 製造の再開ができる。
 従って、次の回避策が想定されよう。
 第一、両陣営の利害衝突問題について
 米ソに共通する利害は、共倒れになる危険だけでなく共存の必要を確認する事にも基盤を置く。
 第二、軍備競争の重荷の問題について
 優秀な殺人兵器の進歩は製作費を増大させ、国民は消費物資の生産から器の生産に向けられ、米ソ双方とも生活水準の低下を来す。両陣営の緊張緩和と現代科学技 術力とを福祉向上に活用し、特に南北問題の解決に力を注ぐ方が双方の理想の実現となる。
 右二点を両陣営に納得させるのは中立国である。
 両陣営に巻き込まれたくない国々には、 中立的生存権の主張と強固な団結とで米ソに対処する国際的連携の道がある。これは米ソに好意的な中立諸国が果たすべき人類的役割として切に求められる切り札である。
(....
I shall assume the following three propositions conceded:
(1) A large-scale nuclear war would be an utter disaster, not only to the belligerents, but to mankind, and would achieve no result that any sane man could desire.
(2) When a small war occurs, there is a considerable risk that it may turn into a geat war; and in the course of many small wars the risk would ultimately become almost a certainty.
(3) If all existing nuclear weapons had been destroyed and there were an agreement that no new ones should be manufactured, any serious war would, nevertheless, become a nuclear war as soon as the belligerents had time to manufacture the frobidden weapons. ... 以下略)