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ラッセル関係書籍の検索 ラッセルと20世紀の名文に学ぶ-英文味読の真相39 [佐藤ヒロシ]

バートランド・ラッセル「意見の柔軟性 」

* 出典:R.カスリルズ、B.フェインベルグ(編),日高一輝(訳)『拝啓バートランド・ラッセル様_市民との往復書簡集』IV. 哲学関係書簡
目次
* 日高訳を松下訳に変更
 ・・・。同封した論文は発表(出版)予定のものです。・・・その論文の中に誤りがなく,先生の哲学の新しい評価を促すことになればと期待しています。・・・。

ラッセル(93歳)からの返事(1965年10月30付)

 拝復 ミセス・イームズ様 
 お手紙ありがとうございます・・・また,私(の哲学)に関するあなたの論文もありがとうございます(松下注:Mrs. Eames とは Elizabeth Ramsden Eames のことで,該当すると思われる論文はThe consistency of Russell's realism, by Elizabeth R. Eames. In: Philosophy and Phenomenological Research, v.27: June 1967, p.502-511 と思われます)。今日,私のところに届きました。あなたの論文に感謝いたします。私が判断する限り,あなたが私の著作(哲学的研究)について言われていることは,正しいと思います。私自身、いつもこう思ってきました。「新しい科学研究の結果を受けて(結果に影響されて)哲学者が自分の考えを変えることに対して批判を行うということはいくらか馬鹿げたことである」と。このような批判が生ずるのは,何世紀にもわたって哲学が神学と結びつけられてきた結果だと思います。神学においては、人間は自分の考えを変えるよりは、むしろ進んで火刑に処せられるべきだと期待されます。しかし、哲学が,神学とではなく,より科学と関連を持つようになるにつれ,哲学者の意見はある程度の柔軟性を持つべきであり・・・。
 敬 具 バートランド・ラッセル

'... The enclosed paper [is to] be published. ... I hope it contains no errors, and that it promotes a new evaluation of your philosophy, ...'

Dear Mrs Eames, (October 30, 1965)
Thank you for your letter ... and for your article about me, both of which reached me today. I am grateful for your article and, as far as I can judge, the things you say about my work are just. I have always felt, myself, that there is a certain absurdity in criticizing a philosopher for changing his mind as a result of new scientific work. I think this comes of the many centuries of association of philosophy with theology, In theology, it is expected that a man should be willing to be burnt at the stake rather than change his mind. But as philosophy becomes more associated with science than with theology, a philosopher's opinions should have a certain flexibility. ...
Yours sincerely
Bertrand Russell
(From: Dear Bertrand Russell, 1969.)