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バートランド・ラッセル「人生の目的と不確実性」

* 出典:R.カスリルズ、B.フェインベルグ(編著)『拝啓バートランド・ラッセル様 - 市民との往復書簡集』
目次


 ・・・。あなたの近著の『ラッセル、心境を語る』(Bertrand Russell Speaks His Mind, 1960)を読みましたが、残念ながら、あなたの人生に対する態度がどのようなものであるか私にはいまだはっきりわからないと告白しなければなりません。
 あなたはあらゆるものは不確実であると言っておられますが、それでいながらあなたは目的を持って人生を送られているように思われます。全てのものの運命が決定されているのかどうか、すなわち(人間に)自由というものが存在するのかどうか知ることができないにもかかわらず、どうしてあなたはそのような目的を持った態度に到達されたのか不思議でなりません。


ラッセルからの返事(1963年2月15日付)

 拝復 バルクザック様
 ・・・。「目的」は、まったく心の内部の性質です。「目的」は、決して因果関係についての形而上学的見解に依存するようなものではありません。
 自分以外の外の世界について、なんらかの程度、理解したいと思って情熱をそそいだり、他人の境遇に同情や関心をいだいたりすることは、人生の多くの時間をかけて活動させる原動力になります。そうした活動がとるにたらないものと思うか、あるいは重要なものと考えるかは、まったくその時々の偶然で決まります。どちらの態度に対しても言うべき事はあるでしょうが、私自身としては、後者の方(時間をかけるに値する重要な事柄であるという意見・態度)にしたがって行動します。
 敬 具  バートランド・ラッセル

'After reading your recent book, Bertrand Russell Speaks His Mind, I am sorry to confess that I am still uncertain what your attitude toward life is. You have taken into consideration the uncertain nature of all things, yet you seem to live life with purpose. ...'

Dear Mr Barczak, (February 15, 1963)
'Purpose' is entirely an inner quality which is no way depends upon metaphysical views about causality.
Passionate concern for some degree of understanding of the world outside oneself and compassionate interest in the circumstances of other human beings provide sufficient activity for many lifetimes. Whether this activity is seen to be trivial or considered important ia s temperamental accident. I think somethong may be said for both attitude, although I act upon the latter one.
Yours sincerely
Bertrand Russell