バートランド・ラッセル「世界中で最も熱心なキリスト教政府」
* 出典:ラッセル(著)、日高一輝(訳)『
拝啓バートランド・ラッセル様』
「"
Waarom Ek Geen Christen is Nie"(『
なぜ私はキリスト教徒ではないのか』のオランダ語訳?)を1冊同封します(訳注:南アフリカの公用語は11あり)。・・・私達はこの訳本を
3,000部印刷しました。そうして、検閲(internal censorship)を強いる新しい立法が可決される(国会を通過する)前に配布してしまいたいと思っています。・・・」
ラッセルからの返事・1960年2月21日付
拝復 ルークス様
『
なぜ私はキリスト教徒ではないのか』の訳本(オランダ語訳?)及びご親切な手紙をお送りくださり、ありがとうございます。あなたが言われる通り、私のこの本の翻訳書(の出版)は間もなく(南アフリカにおいて)弾圧されるでしょう。(原注:この本の英語版は,南アフリカにおいて1959年4月に出版禁止に、また翻訳書はこの返事を出してから間もなくして禁止された)。
南アフリカ政府は,
世界中で最も熱心なキリスト教政府であることを身をもって証明する(prove itself 自己証明する)ことによって、私がキリスト教に反対して言わなければならないあらゆることを実証しようと決意しているように思われます。
敬 具
バートランド・ラッセル
Feb. 21, I960
Dear Mr Roux,
Thank you for sending me the translation of Why I am Not a christian and for your kind letter. I suppose that, as you say, the translation will shortly be suppressed. The South African Government seems to be bent on demonstrating all that I have to say against Christianity by proving itself the most zealously Christian Government in the world.
Yours sincerely
Bertrand Russell
(From: Dear Bertrand Russell; a selection of his correspondence with the general public, 1950 - 1968. Allen & Unwin, 1969.)