「聖書の予言」(『拝啓バートランド・ラッセル様』より)
・・・ある事が私を当惑させ続けています。即ち、科学が私達(人間)を導きつつある世界は、古代の神学が心に思い描いた世界にますます似ているものを産み出しています。・・・いわゆる原始人と言われる人々は,まったくのあて推量で宇宙の本質に到達したなどということがありうるのでしょうか?* 松下訳に変更
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(ラッセルからの返事・1962年10月22日付)
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お手紙たいへんありがとうございます。残念ながら、私は -もしそうする傾向が存在するならば、実際上(ほぼ)いかなるものもそう考えられる可能性があるという意味を除いて(意味以外では)(In the sense that virtually anything can be so considered if the inclination to do so exists.)- 現代の出来事が聖書の予言を裏付けている(bear out 実証する,証明する)ということには同意しません。私自身の好みは、神学的著作を,しばしば野蛮であり、また時には興味のある,原始的な種族のやや歴史的な空想の世界として眺めることです。
敬具
バートランド・ラッセル
Oct. 22, I962
Dear Mr Curtis,
Thank you very much for your letter. I am afraid that I do not agree that contemporary events bear out scriptural prophecy except in the sense that virtually anything can be so considered if the inclination to do so exists. My own preference is to look upon theological writings as the slightly historical fantasy world of primitive tribesmen, often savage and sometimes of interest.
Yours sincerely
Bertrand Russell
(From: Dear Bertrand Russell; a selection of his correspondence with the general public, 1950 - 1968. Allen & Unwin, 1969.)