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ラッセル関係書籍の検索 ラッセルと20世紀の名文に学ぶ-英文味読の真相39 [佐藤ヒロシ]

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荒垣秀雄「人口惑星第1号(と地上の生活)」

* 出典:『朝日新聞(天声人語欄)』1959年1月5日)
* 再録:『天声人語4(1958.7-1963.4)』(朝日文庫て2-4,1981年)
* 荒垣秀雄(あらがき・ひでお、1903-1989):朝日新聞論説委員

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(pp.52-53)

 月ロケットでもやはりソ連がアメリカの先を越した。米国の月ロケットが四回も不成功に終わったのを尻目に沈黙していたソ連が、正月のお年玉に打ち上げた宇宙ロケットはアレヨアレヨというまに月の近くを通り越し、太陽に向かって'猪突猛進'、太陽のまわりを公転する人工惑星第一号となるらしい。米国の発射した月ロケット'パイオニア'第一号は二万四七〇〇余キロまで行ったが、地球の引力を振り切れず、引きもどされて消滅した。・・・。


ラッセルの言葉366
 去年の暮れ、米国は'もの言う人工衛星'アトラスで気をよくしていたが、月ロケットでまたソ連にすっかり引き離され、新年早々やりきれない気持ちで沈みきっているようだ。二度目の'宇宙の真珠湾'だという。宇宙ロケットでは何年かの立ちおくれといえよう。
 それにひきかえ、フルシチョフソ連首相は「月への道を初めて開いた」と社会主義体制の勝利を誇り得意満面である。が、バートランド・ラッセルが「ここ数世紀間は人類はやはり自分の住み家として地球で満足せねばならぬ。宇宙旅行は可能かより、人間は果たして今後も地球の上に生きていかれるかが問題だ」というように、地上の人間生活の安全が保障されなければ、宇宙時代も何の意味もないのである。