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ラッセル関係書籍の検索 ラッセルと20世紀の名文に学ぶ-英文味読の真相39 [佐藤ヒロシ]

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松下彰良(編)「バートランド・ラッセル名言集(カレンダー版)」

* Bertrand Russell, 1872.5.18 - 1970.2.2 ]

英語版は別途作成
 [1月] Jump to  2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
【1月】

1月1日(元旦)

 善い人生とは,愛によって鼓舞され、知識によって導かれる人生である。

 出典:What I Believe, 1925, chap.2.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/GOODLIFE.HTM
1月2日(初夢/初荷)

 私は,人類の文明は改善され続けると考えたいが,時々起こるように,まったく逆の考えにとらわれると憂鬱になる。(しかし)今日,当面の見通しが幾分暗い時には,より遠い将来のことを考えると,しばしば元気づけられる。

 出典:Taking long views, Mar. 30,1932. In: Mortals and Others, v.1, 1975
 詳細情報:https://russell-j.com/LONGVIEW.HTM
1月3日(戊辰戦争始まる(1968))

 女性によって影響を受けることを怖れる男性が多いが,私の経験による限りでは,これは'ばかげた怖れ'である。肉体的と同様に精神的にも,男は女を必要とし女は男を必要とする,と私には,思われる。自分のことをいえば,私はかつて愛した女性たちのおかげを非常に受けており,彼女たちがいなければ,私は今よりもずっと狭量な人間になっていたであろう。

 出典:The Autobiography of Bertrand Russell, v.1, chap. 7: Cambridge Again, 1967]
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/AB17-050.HTM
1月4日(御用始め/仕事始め)

(ものを作る)過程に喜びがある場合,そこには必ずスタイルがあり,従って生産活動はそれ自体,美的特質を持つに至るだろう。しかし,人間が機械に同化し,仕事の結果のみに価値をおき,仕事それ自体を軽視するならば,スタイルは姿を消し,機械に同化した人間には普通に思われるが実際はただずっと野蛮なもののみがそれに取って代わる。

 出典:In praise of artificiality, Sept. 9, 1931. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/ARTIFICI.HTM
1月5日(漱石誕生日/囲碁の日)

 本を書いたり何らかの形で人に説教したり,思想を広めたりしたいと考えている人は,朝食前に1時間の穴掘りかもしくはその他の野外での肉体労働を自らに強いるとよい。そうすれば朝食は非常に美味となり,朝食以後その日は一日中,世の中のことが全て空虚であるなどと思うことはできなくなる,と私は信じる。
★ラッセルのアドバイスに従っていれば漱石も早死しなくてすんだのではないか?

 出典:Why are we discontented? In: Mortals and Others; Bertrand Russell's American Essays, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/YOKKYU.HTM
1月6日(良寛忌)

 '勇気'は、私が真剣に愛そうとする女性には不可欠な性質である。

 出典:The Autobiography of Bertrand Russell, v.1, chap. 1: The First War, 1968]
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/AB21-190.HTM
1月7日(七草)

 子供たちは,概して,その置かれている状況に応じて,良い方向にも悪い方向にも展開可能な衝動を有している。さらに,子供たちは,新しい習憤を身につけることがいまだ容易な年頃にある。そして,よい習慣は,'徳'のほとんどを自動的なものとする(良い習慣を身に着ければ,良い行いをしようと意識的に努力しなくても,良い行いを自動的・無意識的にする(できる)ようになる。)

 出典:On Education, especially in early childhood, 1926, chap. 1: Postulates of modern educational theory.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/OE01-130.HTM
1月8日(「平成」元号施行日)

 不幸な人間の典型は,若いときに何らかの正常な満足を奪われたため,その一種類の満足を他の何よりも価値があると思うようになり,それゆえ,自分の人生に一方的な方向性を与え,その目的に関連した活動ではなく,その目的の達成のみをまったく不当に強調するようになった人である。
 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.1: Waht makes people unhappy?
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA11-040.HTM
1月9日(頓智の日(一休にちなんで))

 どのような形にせよ、陶酔を求める人は、忘却以外の希望をあきらめてしまっている。
 出典:The Conquest of Happiness, 1930 chap.1:What makes people unhappy?
 ★詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA11-040.HTM
1月10日(110番の日)

 望ましくない行為を罰することは,(望ましくない行為の)防止または改善のためだけになされるべきであって,悪者が苦しむべきだということそれ自体が善いことだと考えて,罰せられるようなことがあってはならない。人間に地獄を信じさせたのは,このような復讐的な刑罰を信じることによるのである。

 出典:What is an Agnostic? , Nov. 3, 1953]
 詳細情報:https://russell-j.com/cool/agnostic_1953.html
1月11日(鏡開き)

 もしあらゆるものが原因をもたねばならないなら、神にも原因がなければなりません。もし原因なしに何かが存在できるならば、その何かは、神でも世界でも(松下注:悪魔でも)よいことになります。それはまったく例のインド人の意見と同じです。それによりますと,世界は一頭の象の上にあり,その象は一匹の亀の上にあるというのです。ところで,「亀はどうなんですか」と聞かれた時、そのインド人は「話題を変えたらどうでしょうか」といったということです。

 出典:Why I am not a Christian, 1927.
 詳細情報:https://russell-j.com/0399WINC.HTM
1月12日(スキーの日(日本人が初めてスキーをした日))

 愛情のある無知な人は、愛情はないが育児の知識に明るい人よりも、幼児にとって多分より良いあろう。しかし子供が好きでしかも育児の知識がある人のほうが、いずれかしかない人よりも、子供にとってはるかに良いであろう。

 出典:Marriage, Nov. 13, 1931. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/MARRIAGE.HTM
1月13日(ジェイムズ・ジョイス没() )

 過度の受動的な態度をさけることは,教育上の課題である。それには,子供の遊びにおいては手のこんだ用具を与えるべきではなく,特別な技能に対して決して過度にほめないようにする必要がある。勉強においては,講義によって与えられる知識ばかりに耳を傾けず,自分で能動的に調べて勉強することを勧めなければならない。不幸にして権力者は,自分にとって都合が良いため,(多くの人間が)受動的であることを好む。

 出典:Are we too passive?, Feb. 3, 1932 . In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/PASSIVE.HTM
1月14日(タロとジロの日)

 あなたが古風な教師であるならば,あなたは誰に対しても博愛心でいっぱいであると自認したいと同時に,子供たちを鞭打つことに大きな喜びを得ているかも知れない。この2つの欲望を両立させようとすれば,どうしても,鞭打ちには矯正効果がある,と自ら思いこまなくてはならない。

 出典:Human Society in Ethics and Politics, 1954, preface.
 詳細情報:https://russell-j.com/cool/47T-PREF-02.HTM
1月15日(第二月曜日に変更/ 年賀ハガキ抽選)

 自分の不幸を大まじめに自分の世界観のせいにする人びとは,本末を転倒している,と私は固く信じている。真実は,彼らは自分では気づいていない何か別の理由で不幸なのであり,この不幸のために,自分が住んでいる世界のあまり気に入らない特徴についてくよくよ考えるようになるのである。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.2: Byronic unhappiness.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA12-010.HTM
1月16日(藪入り)

 私自身も,一切が空しいと感じるような気分をしばしば経験した。そんな気分から脱出できたのは,何らかの哲学によってではなく,どうしても行動を起こさなければならない何らかの必要性に迫られたからであった。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.2: Byronic unhappiness.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA12-020.HTM
1月17日(阪神・淡路大震災/明大創設記念日)

 インテリ層の懐疑主義は彼らの無力観の原因であり,それ自体は彼らの怠慢の結果である。即ち,行動に価するものがこの世に何も存在しないのであれば,それは'拱手傍観'の口実となる。しかし,破滅が切迫している時には,それでもなお傍観するいかなる口実も正当な根拠を持たない。インテリ層は,彼らの懐疑主義から脱却し,全ての人々が嘆き悲しんでいる悪についての責任を分担しなければならない。そうして,彼らは学術上の不平や,ひねくれた衒学的態度を捨てなければならない。なぜなら,民主主義が正当に評価できる言葉を語る方法を,彼らが学ばないかぎり,彼らが何を言おうとも,何の役にも立たないということを彼らは悟るべきである。

 出典:On modern uncertainty, June 20, 1932. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/MODERN-U.HTM
1月18日(都バスの日)

 子供や若者は,彼らの幸せを純粋に願う人と,彼らを何らかの計画のための原材料(素材)としか考えない人との違いを,本能的に感じとる。教師に愛情が欠けている場合には,'性格'も'知性'も,十分に,またのびのびとは発達しないだろう。そうして,この種の愛情は,本質的に言って,子供を'目的'として感じることの中にある。

 出典:On Education, especially in early childhood, 1926, chap. 2 The Aims of Education
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/OE02-090.HTM
1月19日(キング牧師誕生日)

 我々はいつも変化は必要だと口癖のように言うけれども,そのことを頭のなかでは(理屈の上では)分かっていても,現実における変化には耐えられない。それゆえ,年取った急進派は,彼が無力であるかぎり幸せになれるという悲しい身の上にある。

 出典:The menace of old age, Aug. 27, 1931. In: Mortals and Others, v.1, 1975.)
 詳細情報:https://russell-j.com/RONEN.HTM
1月20日(二十日正月)

 「理性」には完全に明晰かつ精確な意味がある。それは我々が達成したいと思う目的に対して正しい手段を選ぶということを意味している。理性は目的の選択とは何らの関わりもないのである。しかし,理性を敵とする者はこのことを理解せずに,合理主義の唱道者は,手段同様目的に対しても理性に指図させたがっている,と考えるのである。

 出典:Human Society in Ethics and Poltics, 1954, preface.
 詳細情報:https://russell-j.com/cool/47T-PREF-01.HTM
1月21日(この頃,大寒)

 私見では,我々にとって最悪なのは,あらゆる人間を分類して(仕分けして)明瞭なレッテル(ラベル)を貼ること(行為)である。この不幸な習性の持主は,自分が相手に適切だと思うタグ(札)を貼りつける時に,その相手について(タグをはりつけるに足る)完全な知識をもっている考える。

 出典:On labelling people , Aug. 10, 1932. In: Mortals and Others, v.1. (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/LABEL.HTM
1月22日(カレーライスの日)

 もし自分の子供が病気になったら,あなたは不幸になるかもしれないが,いっさいが空しいとは感じないだろう。あなたは,子供の健康を回復させることこそ注意を払うべき事柄であって,人間の命に究極的な価値があるかどうかという疑問などはどうでもよいと感じるだろう。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.2: Byronic unhappiness.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA12-020.HTM
1月23日(ふみの日)

 もし,彼が哲学者気質の人であれば,人生は本質的にみじめである,なぜなら,欲しいものは何でも持っている人でも,なお不幸なのだから,と結論する。彼は,欲しいものをいくつか持っていないことこそ,幸福の不可欠の要素の一つである,ということを忘れているのである。

 出典: The Conquest of Happiness, 1930, chap.2: Byronic unhappiness
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA12-020.HTM
1月24日(法律扶助の日/24~30:学校給食の日)

 結婚に際して新郎新婦は,今後末永くたがいに愛しあうことが「義務」だと教えられるが,所詮愛情は一つの情緒であって,意志の働きに服する余地はなく,したがって義務の部類には入りえない。思慮深い振舞いは,義務に属すると言えても,愛は天与の資質である。この感情が消滅する時,それを喪失した人を憐れむのはよいが,非難することは筋違いである。

 出典:On expected emotions,July 13, 1932. In: Mortals and Others, v.1, 1975.
 詳細情報:https://russell-j.com/EXPECTED.HTM
1月25日(左遷の日(菅原道真に因む))

 活力(Vitalty)は,外界に対する興味を増進する。また,困難な仕事をする力を増進する。さらに,活力は自分が生きていることを楽しいものにするため,'ねたみ'に対する安全装置になる。'ねたみ'は,人間の不幸の大きな源泉の一つであるので,このことは,活力の非常に重要な長所である。

 出典:On Education, especially in early childhood, 1926, chap. 2 The Aims of Education
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/OE02-110.HTM
1月26日(文化財防火デー)

 退屈の本質的要素の一つは,現在の状況と,想像せずにはいられない他のもっと快適な状況とを対比することにある。また,自分の能力を十分に発揮できない(状態にある)ということも,退屈の本質的要素の一つである。命を奪おうとしている敵から逃げ去るのは,さぞかし不愉快だろうが,退屈でないことは確かだろう。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.4:Boredom and excitement.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA14-010.HTM
1月27日(モーツアルト誕生日)

 退屈は,本質的には,事件を望む気持ちのくじかれた状態をいい,事件は必ずしも愉快なものでなくてもよく,倦怠の犠牲者にとっては,今日と昨日を区別してくれるような事件であればよい。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.4:Boredom and excitement.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA14-010.HTM
1月28日(コピー・ライターの日)

 我々は自殺の問題をその当否よりも,人命の尊さに関連づけて考える傾向がある。しかし,この'人命尊重'という言葉を真面目にとるのは不当(ルール違反)だと思う。なぜなら人命の尊重を真剣に考える人は,戦争を非難しなければならないことになるからである。今の世の中で戦争が我々の制度の一部分になっている限り,惨めな人生を送り自殺までも企てなければならない不幸な人たちに対して人命尊重を引き合いに出すことは,全くの偽善である。

 出典:llegal?, Mar. 9, 1932. In: Morals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/ILLEGAL.HTM
1月29日(チェーホフ誕生日)

 将来に期待して,現在の意味はすべて未来の(もたらすものの)中にある,と考える習憤は,有害である。(なぜなら)部分に価値があるのでなければ,全体に(も)価値はありえない。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.2:The Byronic unhappiness.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA12-030.HTM
1月30日(ヒトラー,独首相に就任/1933年)

 人生は,ヒーローとヒロインが,信じられないような不運(逆境)を乗り越え,最後にはハッピーエンドで報われる,といったメロドラマの類推で思い描かれるべきではない.

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.2:The Byronic unhappiness.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA12-030.HTM
1月31日(シューベルト誕生日)

 現代の映画スターの名声は,最盛期のアレクサンダー大王やジュリアス・シーザーの名声をはるかに上まわる。アルキメデスの名前を彼が生きていた時代から今日までに知った人の数よりも,現在アインシュタインの名を知っている人の数の方が多いだろう。全てがこのようであるため,その結果,現代人は昔の人に比べてはるかに'短命な形の賞賛'を追い求めることになる。人間の行いは今では昔とことなり威厳がなくなり,広く大衆にアピールすることに努力がなされるようになる。

 出典:Whose admiration do you desire?, Dec. 12, 1931. In: Mortals and Others, v.1, (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/ADMIRE.HTM
[2月]
Jump to   1月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
【2月】

2月1日(TV放送記念日/1~7日:生活習慣病予防週間)

 余暇(時間)'と'健康'を努力して獲得したとしても,誰もそれらの活用(の仕方)を心に留めない(注意を払わない)とすれば,それらに,いかなる善さがあるというのだろうか?

 出典:On Education, especially in early childhood, 1926, chap. 1:Postulates of modern educational theory.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/OE01-060.HTM
2月2日(ラッセル死亡)

 賢い人間が言ったことを愚かな人間が伝えると(とき),正確であったためしがない。なぜなら,愚かな人間は,自分が聞いたことを自分が理解できる内容(もの)に無意識に翻訳(誤変換)してしまうからである。

 出典:A History of Western Philosophy, 1945, chap. 11 (Socrates), p.101.
 詳細情報:なし
2月3日(福沢諭吉命日)

 恐怖は,行動だけでなく,感情においても克服されなければならない。しかも,意識された感情だけでなく,無意識の感情においても同様に克服されなければならない。貴族主義的な道徳律を満足させる(だけの)恐怖に対する単なる外面的な勝利は,意識下で働く(作用する)恐怖の衝動を残し,恐怖の申し子として認識されない'邪悪なねじれた反応'を生じさせる。

 出典:On Education, especially in early childhood, 1926, chap. 2 The Aims of Education
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/OE02-130.HTM
2月4日(この頃,立春)

 自分の思うままに自然に振る舞える職業は,概して,かなりの欺瞞を要する職業に比べて,金銭的利益が少なくなるのは当然のことである。企業の顧問弁護士,腐敗した政治家や人気のある精神科医は,道徳的な感想(や意見)を,ごく真面目に頻繁に述べなければならないが,こういった困難な仕事の見返りに,彼らはそれ相応の報酬が与えられる。

 出典:On being edifying, June 11, 1931. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/EDIFY.HTM
2月5日(長崎二十六聖人殉教の日(1596))

 人びとは,逃げ場のないメカニズムにしっかり捕まっているのではなく,踏み車を踏んでいるのであり,いつまでもそれをやめないのは,踏み車で自分を高いレベルに引き上げることはできないということに気づいていないからにほかならない,という事実である。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.3:Competition
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA13-020.HTM
2月6日(台湾征討を閣議決定/1874年)

 私が金銭から得たいと思うものは,安心して楽しめる余暇である。ところが,典型的な現代人が金で手に入れたがっているものは,もっと金をもうけることであり,なんのためかといえば,人に見せびらかし,豪勢さほこり,これまで対等であった人たちを追い越すことである。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.3:Competition
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA13-030.HTM
2月7日(トマス・モア誕生日)

 自制の効用は,列車のブレーキの効用に似ている。誤った方向に進んでいることに気づいたときには役に立つが,方向が正しいときには害になるばかりである。列車はつねにブレーキをかけたまま走るべきだ,とはだれも主張しないだろうが,それでも,困難な自制をする習慣は,有用な活動にあてるべきエネルギーに対して,きわめてよく似た有害な影響を及ぼす。

 出典:Marriage and Morals, 1929, chap. 21: Conclusion.
 詳細情報:https://russell-j.com/cool/27T-2101.HTM
2月8日(針供養

 家柄崇拝は,それが誤った価値基準や社会的不平等の容認に結びつく時,重大な悪となる。父親の七光りで特別扱いされる人間は,有益な努力をしようとする正常な動機を失なってしまう。そのような人間は名家に偶然生れたという事実に不当な重要性を与える人生観を身につけがちであり,また,自分が存在するだけで周囲の尊敬を受ける資格があると考えがちである。

 出典:On snobbery, Dec. 30, 1931. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/SNOB.HTM
2月9日(ふぐ/ふくの日/服の日)

 本人に固有な長所にもとづかない差別待遇は全て,人間性に悪影響を与えるために,他に理由がなくてこの理由一つだけしかないとしても,廃止すべきものである。

 出典:On snobbery, Dec. 30, 1931. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/SNOB.HTM
2月10日(ロシアに宣戦布告=日露戦争(1904))

 哲学者や政治家のなかに,国家は単に市民の福祉の手段としてばかりではなく,それ自体として優れた点をもち得ると考える人たちがいます。私は,この見解に同意する理由をみつけることができません。国家というのは抽象的なものです。国家は喜びも痛みも感じません。国家は希望も恐怖も持っていません。また,我々が国家の目的と考えているものは,実際は,国家を指揮する個人の目的です。抽象的にではなく,具体的にもの(国家)を考えるとき,国家の代わりに,大部分の人間以上に権力をもっている,ある一定の人々をわれわれは発見します。そうして,国家礼讃は,実際は少数支配者の礼讃であるということが明らかになります。

 出典:Authority and the Individual, 1949, chap. 6: Individual and Social Ethics.
 詳細情報:https://russell-j.com/cool/40T-0601.HTM
2月11日(建国記念日/大日本帝国憲法発布(1889))

 いかなる国家も,国民としての誇りを助長したいと望んでおり,この国民的誇りは偏見のない歴史(教育)によってはなすことができないという意識を持っている。(そこで)無防備の子供たちは、事実の曲解とか,ある種の事実の隠蔽とか,種々の暗示とかによって教えられることになる。
 
 出典:Principles of Social Reconstruction, 1916, chap. 5:Education.
 詳細情報:https://russell-j.com/cool/10T-0501.HTM
2月12日(ダーウィン及びリンカーンの誕生日)

 私が主張したいのは,成功は幸福になるための一つの要素にしかなりえず,成功を得るために他の要素がすべて犠牲にされたとすれば,あまりにも高い代価を支払って手に入れたことになる,ということである。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.3:Competition
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA13-040.HTM
2月13日(ドレスデン爆撃/苗字の日)

(ベルリンの破壊よりも)いっそう弁解できない同国人(英国人)によるドレスデンの完全破壊を熟視し,私は胸が悪くなった。私は,ドイツが明らかに降伏しようとしていたのであるからそれで十分だと思うとともに,135,000人のドイツ人(注:ドレスデン市民)を殺すだけでなく,ドイツ人の住居全てと無数の財産を破壊することは野蛮行為であると思った。

 出典:The Autobiography of Bertrand Russell, v.3 chap. 1: Return to England, 1969]
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/AB31-070.HTM
2月14日(聖バレンタインデー)

 恋愛(男女間の愛情)は,協力を生み出す感情の,第一のそして最も一般的な形であって,いかなる程度であっても,恋愛を経験したことのある人ならば,自分の最高の幸福(善)が愛する人の幸福(善)とは無関係であるとするような哲学には,満足しないだろう。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.2:Byronic unhappiness
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA12-070.HTM
2月15日(世界初の電子計算機完成)

 恋愛は,人間の生涯の大部分を通じて,大部分の男女が苦しんでいる孤独から逃れるための主な手段である。

 出典:Marriage and Morals, 1929, chap.9: The Place of Love in Human Life.
 詳細情報:https://russell-j.com/cool/27T-0901.HTM
2月16日(西行忌)

 自然は,人間を孤独で生きるものとして構成しなかった。人間は,もう一人(ここでは異性)の援助者なしには,自然の生物学的な目的を果たすことができないからである。また,文明人は,愛なしには,自分の性本能を完全に満足させることはできない。肉体的であるだけでなく同程度に精神的に,人間の全存在が男女の関係の中に入っていかないかぎり,この本能は完全には満足されないのである。

 出典:Marriage and Morals, 1929, chap.9: The Place of Love in Human Life.
 詳細情報:https://russell-j.com/cool/27T-0901.HTM
2月17日(森鴎外誕生日)

 幸福な,相互的な愛という,深い親密さと強い交わりを経験したことのない人びとは,人生が提供する最上のものを失ったことになる。彼らは,意識的ではないにせよ,無意識的にこのことを感じており,その結果生じる失望のために,ねたみや抑圧や残虐に傾いていく。

 出典:Marriage and Morals, 1929, chap.9: The Place of Love in Human Life.
 詳細情報:https://russell-j.com/cool/27T-0901.HTM
2月18日(法然,親鸞,島流し)

 子供の旺盛な知識欲(知識に対する渇望)は,最も知的なおとなもしのぐ。この衝動は,年をとるにつれて弱くなり,ついには,おなじみでないものは嫌悪感を抱かせるだけで,もっとよく知りたいという欲望はまったく抱かなくなる。人々が,この国は没落しつつある(going to the dogs)とか,「いろんなことが,自分の若い頃とは違ってしまっている」などと言い出すのは,この段階である。遠い昔と同じでない(変わってしまった)のは,そのようなことを言い出す人の好奇心である。

 出典:On Education, especially in early childhood, 1926, chap. 2 The Aims of Education
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/OE02-190.HTM
2月19日(コペルニクス誕生日/日本人強制収容を忘れない日)

 私たちは,先祖ほど退屈していないが,先祖よりもより退屈を恐れている。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.4:Boredom and excitement
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA14-030.HTM
2月20日(石川啄木誕生日)

 過剰に興奮に満ちた生活は,心身を消耗させる生活であり,そこでは,快楽の必須の部分と考えられるようになったスリルを得るために,絶えずより強い刺激が必要となる。過度の興奮に慣れた人は,胡椒(コショウ)を病的にほしがる人に似ており,そのような人は,ついには,ほかの人なら誰でも窒息しそうなほど多量の胡椒でさえ味がわからなくなる。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.4:Boredom and excitement
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA14-040.HTM
2月21日(日本最初の日刊新聞創刊)

 基本的な理念(考え方)は単純である。(即ち,)正しい'躾(しつけ)'(の基本)は,外部からの強制にあるのではなく,望ましくない活動よりも,望ましい活動へ'自発的'に向かう'心の習慣'にある。

 出典:On Education, especially in early childhood, 1926, chap. 1:Postulates of modern educational theory.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/OE01-090.HTM
2月22日(猫の日)

 禁欲主義の聖者は,自分自身の快楽を放棄(否定)したあとで,他人の快楽も否定する。(そして)他人の快楽の否定は,自分の快楽の否定よりももっと容易である。

 出典:On Education, especially in early childhood, 1926, Chap. 2 The Aims of Education
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/OE02-150.HTM
2月23日(税理士記念日)

 競争は最高の徳であるという信仰(思い込み)のため,少年少女も青年も,酷すぎる緊張を伴うようなものに従事させられるべきではないということに,誰も思いいたらなかった。たとえ,緊張はただ知的なものだけでさえも,十分悪いが,(実際は)さらに感情的な緊張も加わるのである。即ち,少年でも少女でもその子の全将来は -経済的な将来だけでなく社会的な将来も- 長い間の準備のあとのほんの短時間の試験で左右されてしまう(という感情的な緊張がある)のである。

 出典:Education and the Social Order, 1932, chap.12: Competetion in Education.
 詳細情報:https://russell-j.com/cool/30T-1201.HTM
2月24日(フルシチョフ,スターリン批判(1956))

 第一級の名声を勝ちうるのは,オールラウンドの教育や幅広い興味によってではない。感情と知性の両面における,精神力の集中と目標の限定が必要である。すべての若者が同じ環境にあり,同一の基準を受けいれなければならない世界においては,このような条件は容易に起こらない。傑出した人物を生み出すには多様性が必要であり,画一的な教育は,平凡な大人を生みだす傾向がある。

 出典:The influence of fathers, June 1, 1932. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/FATHER.HTM
2月25日(道真忌)

 ある日,学校(注:ラッセルが一時期経営していた Beacon Hill School)で,中くらいの背格好の少年が自分より小柄な少年をいじめているのを見つけた。たしなめたところ彼は次のように答えた。「自分より大きな奴が自分をなぐる。そこで私は自分より小さい奴をなぐる。公平だよ。」 この言葉によって,この少年は,「人類の歴史」を要約してみせた。

 出典:Education and the Social Order, 1932, p.32
 詳細情報:なし
2月26日(二・二六事件/1936)

 退屈に耐える力をある程度持っていることは,幸福な生活にとって不可欠であり,若い人たちに教えられるべき事柄の一つである。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.4:Boredom and excitement
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA14-040.HTM
2月27日(スタインベック誕生日)

 多少とも単調な生活に耐える能力は,幼少期に獲得されるべきものである。この点で,現代の親たちは大いに責任がある。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.4:Boredom and excitement
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA14-060.HTM
2月28日(利休忌)

 現代社会においては,専門家の重要性がしだいに増してきているが,その予期しない,また意図しない結果の1つは,かつては自分の力を発揮しえた人間生活のほとんどの分野で,'平均的な普通の人間'は皆「受身」になっているということである。

 出典:Are we too passive?, Feb. 3, 1932. In: Mortals and Others, v.1. (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/PASSIVE.HTM
2月29日(閏日)

 あらゆる種類の知的体系--(たとえば)キリスト教,社会主義,愛国主義など--は,孤児院のように,隷属の見返りに'安心感'を与えようと待ち構えている。自由な精神生活は,何らかの信条(教義)に包まれた生活のように,暖かく,快適で,愛想のよいものではない。外で冬の嵐が吹きすさんでいる間は,信条のみが,ヌクヌクとした炉端にいる感情を与えてくれる。

 出典:On Education, especially in early childhood, 1926, chap. 2 The Aims of Education
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/OE02-210.HTM
[3月] 
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【3月】

3月1日(ビキニ・デー/芥川龍之介誕生日/映画ファン感謝デー)

 本物の科学者に対しては,私は最高度の尊敬を抱いている。本物の科学者は,現代世界において,真に建設的であると同時に,心底から革命的な一つの力である。科学者は,一般の人たちと同様に持っている偏見に関係ない専門的な問題を扱っている場合は,他の誰よりもずっと正しい判断を下す傾向にある。だが,残念ながら,個人的に強い感情を抱いている問題に取り組む場合に,公平無私な立場を維持できる科学者がほとんどいない。

 出典:Are men of science scientific?, Feb. 24, 1932. In: Mortals and Others, v.1, 1975
 詳細情報:https://russell-j.com/KAGAKSHA.HTM
3月2日(ミニの日(小さなものを愛する日))

 真の美徳は,力強く、真実から目をそらさぬものであって,きれい事だらけの空想ではない。われわれは教職に就く者にさまざまな制限を設けてきたので,今日教職を仕事として選ぶ男女は,たいてい現実との接触を恐れる人々に限られてしまったが,われわれがこのような政策をとる理由は,自分たち大人には現実との接触が有益だったことが分っているのに,子供が現実と接触することが良いと思う勇気ある人が少ないからである。

 出典:Does education do harm? , Feb. 17, 1932. In: Mortals and Others, v.1, 1975.)]
 詳細情報:https://russell-j.com/EDU-HARM.HTM
3月3日(雛祭り/耳の日)

 近年,販売抵抗(sales resistance)を乗り越えるために,即ち,控えめな人たちに働きかけ,彼(彼女)等の財布のひもをゆるませ,自ら欲しいと全然思わない物品を購入させようと,厖大なお金と時間と頭脳が費やされてきた。そしてこういった事柄(たくさん物を売って営業成績をあげること)が立派なことであるかのように考えられるのが,我々の時代(現代)の1つの特徴である。

 出典:On sales resistance, June 22, 1932. In: Mortals and Others, v.1, 1975.]
 詳細情報:https://russell-j.com/SALES-R.HTM
3月4日(ミシンに日)

 高等動物は全て,喜びを表現する方法を持っている。しかし,喜びを実際に感じない時に,喜び表わすのは,人間のみである。これは「礼儀(politeness)」と呼ばれ,徳目の一つに数えられている。乳幼児の(人を)当惑させる特性の一つは,彼等は本当に喜びを感じた時だけ笑うという事実である。乳幼児は,来客を真剣なまなざしで(目を見開いて)みつめ,相手があやそうとすると,大人の愚かな滑稽な動作(仕草)に対し怪訝な表情を表す。しかし彼らの両親は,即座に乳幼児に,彼とはまったく無関係で無関心な人々が出現しても嬉しいような表情をするように教えこむ。

 出典:On smiling, Aug. 17, 1932. In: Mortals and Others, v.1, 1975.)]
 詳細情報:https://russell-j.com/SMILING.HTM
3月5日(スターリン没(1953) )

 幼少期の喜びは,主として,子供自身が多少の努力と創意工夫によって,自分の環境から引き出すようなものでなければならない。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.4:Boredom and excitement
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA14-060.HTM
3月6日(ミケランジェロ誕生日)

 子供が最もよく育つのは,若い苗木と同じく,邪魔されないで同じ土壌の中に置かれているときである。多すぎる旅行やあまりにも種々雑多な印象は,幼い子供たちにとってよくないし,大人になった時に,実りある単調さに耐えることをできなくしてしまう。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.4:Boredom and excitement
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA14-060.HTM
3月7日(消防記念日)

 自己欺瞞に支えられているときにしか仕事のできない人たちは,自分の職業を続ける前に,まず最初に,真実に耐えることを学習したほうがよい。なぜなら,'神話'にささえられる必要があるようでは,おそかれ早かれ,彼らの仕事は,有益どころか,有害なものになってしまうだろうからである。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.16: Effort and resignation.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA27-060.HTM
3月8日(国際婦人デー)

 有害な行為をするよりも(するくらいならば),何もしないほうがいい。世界における有益な仕事の半分は,有害な仕事と闘うことから成り立っている。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap. 16: Effort and Resignation.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA27-060.HTM
3月9日(記念切手記念日)

 事実を正当に評価する'ことを学ぶために少し時間を費やしても,それは時間の無駄とはならない。その後(学習後)になされる仕事は,活力を刺激するために絶えず自我を膨張させる必要のある人たちがする仕事よりも,ずっと有害でなくなる傾向がある。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap. 16: Effort and Resignation.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA27-060.HTM
3月10日(東京都民の日/東京大空襲)

 自分自身についての真実の姿に進んで向き合おうとする態度には,ある種の'諦め'が伴っている。この種の'諦め'は,初めのうちは苦痛を伴うかもしれないが,最後には,自己欺瞞に陥っている人が陥りやすい'失望と幻滅'に対する防御--事実,唯一可能な防御--を与えてくれる。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap. 16: Effort and Resignation.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA27-060.HTM
3月11日(東日本大震災)

 日毎に信じがたくなる事柄を日毎信じようとする努力ほど,疲れるものはないし,長い眼でみれば,苦痛をつのらせるものはない。こうした努力をなくすることは,確実かつ永続的な幸福の不可欠の条件である。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap. 16: Effort and Resignation.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA27-060.HTM
3月12日(世界反サイバー検閲デー )

 何らかの真面目かつ建設的な目的を持っている青少年は,目的の達成の途上で必要だとわかれば,自主的に多くの退屈に耐えるだろう。だが,建設的な目的は,娯楽と浪費の生活を送っている少年の精神の中では,容易には芽ばえない。なぜなら,そのような場合は,考えがつねに次の快楽に向いており,遠くにある目的達成には向かわないからだ。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.4:Boredom and excitement
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA14-060.HTM
3月13日(青函トンネル開業記念日)

 退屈に耐えられない世代は,小人物の世代,即ち,自然のゆったりした過程から不当に切り離され,生き生きとした衝動が,花びんに生けられた切り花のように徐々にしなびていく世代となるだろう。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.4:Boredom and excitement
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA14-060.HTM
3月14日(アインシュタイン生まれる/ホワイトデー/数学の日)

(夫婦や恋人などの)カップルは,ブラウニング夫妻がそうしたように,相互にほめあう社会を作るかもしれない。ほめられる価値があってもなくても,身近に必ずほめてくれる人がいることは,非常にうれしいことである。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.2:The Byronic unhappiness.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA12-050.HTM
3月15日(マゼラン,フィリピンに到着)

 私は決して恋愛を信じなくなったわけではないが、私が信じることのできる恋愛の種類は、ヴィクトリア朝時代の人々が賛美したような性格のものではない。私が信じている恋愛は、冒険心に富み、目を大きく見開き、善(とは何か)についての知識を与える一方で、悪の存在も忘れないし、神聖ぶったり、高徳ぶったりもしない(ものである)。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.2:The Byronic unhappiness.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA12-060.HTM
3月16日(国立公園指定記念日)

 心の道徳律は,主に思いやりの感情と気だての良さからなると,私は思う。しかしこれらの性質はお説教によっては生み出されず,十分な消化力と健全な分泌腺と恵まれた環境によって生みだされる。 「関係者がみな不愉快な思いをしたとしても,自らの義務を果たせ」というのは教化(善導)であり,迫害本能に訴えるものである。

 出典:On being edifying, June 11, 1932. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/EDIFY.HTM
3月17日(聖パトリック・デー(英国)

 (ラッセル作「(小説)郊外町の悪魔」より) マラコ博士は応えた。「ああ,残念ながら,恐らく,我々の神聖なる宗教(キリスト教)には,あなたが十分に理解していないことが,たくさんあります。何ひとつ懺悔をする必要のない九十九人の正しい人間が,神のふところに帰った一人の罪人よりも,天国では喜びを得ることが少ないという寓話を,よくよく考えたことがおありでしょうか? 」

 出典:Satan in the Suburbs, and Other Stories, 1953.
 詳細情報:https://russell-j.com/cool/45T-0101.HTM
3月18日(明治村開村記念日)

 妻と私は、夕食後、交互に音読するのを習慣とし、私たちは、そのようにして、おびただしい数の標準的な巻数の多い歴史書をこつこつと読んだ。このようにして読んだ最後の歴史書は、グレゴロヴィウスの「ローマ市史」(全8巻)であったように思う。この時期は、私の生涯のうちで、知的に最も実り多い時期であり、それを可能にしてくれた最初の妻に、恩があり感謝している。

 出典:The Autobiography of Bertrand Russell, v.1, chap. 5: First marriage, 1967]
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/AB15-050.HTM
3月19日(東京駅完成/カメラ発明の日)

 自分のライフスタイルを選択できるほど裕福な人々の間において,特に彼らが苦しんでいる耐え難い退屈は,逆説的であるように思われるかもしれないが,退屈への恐れにその原因がある。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.4:Boredom and excitement
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA14-070.HTM
3月20日(上野動物園開園記念日/東京国立博物館開館記念日)

 実りある退屈から逃げることで,別のより悪い種類の退屈の餌食になる。幸福な生活は,大部分,静かな生活でなければならない。なぜなら,真の喜びは,静かな雰囲気の中でのみ,生きながらえることができるからである。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.4:Boredom and excitement
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA14-070.HTM
3月21日(国際人種差別撤廃デー/この頃,春分の日)

 心理学や生理学の観点から見ると,恐怖と激怒は,非常に類似した感情である。激怒を感じる人は,最高の勇気を持っていない。黒人暴動,共産主義者の反乱,その他,貴族制度(特権階級)に対する脅威を鎮圧する際に必ず顕になる残酷さは,臆病(な心)から出たものであり,もっと明確な形の臆病に与えられるのと同様の軽蔑に値する。

 出典:On Education, especially in early childhood, 1926, chap. 2 The Aims of Education
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/OE02-140.HTM
3月22日(放送記念日=日本で最初のラジオ放送)

 人間が受動的になったのは,娯楽面ばかりではなく,自分が専門家でないありとあらゆる技術と知識の形態においてそうである。昔の農民は天候に詳しかったが,現代人は明日の天気について自分の意見をもちたいときには(新聞掲載の)公的な天気予報を読む。現代人は新聞(注:現代なら,テレビやネット)を見なければ,「現在」雨が降っているか晴れているかさえわからないらしいという印象を私は時折持ったことがある(皮肉)。現代人はまちがいなく新聞を通して政治や世界情勢や昔の厳格な美徳にもどる必要性について自分の意見をつくりあげる。現代人が大部分の事柄についてあえて自分の意見を持とうとしないのは,特別な学識や経験を持つ人々の権威の保障のもとに物を言ったほうが安全だ,と確信しているからである。

 出典:Are we too passive?, Feb. 3, 1932. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/PASSIVE.HTM
3月23日(世界気象デー)

 当面ほとんど実行されそうもないある種の改革を唱えることで現在生計を立てている知的かつ高潔な無数の男女が,万一魔法使いの一撃で彼らの唱道する種々の施策が達成された際には,一体どういう境遇になるかを考えると身震いする。失業者数は危険なまでに増えるだろう。

 出典:On societies, June 8, 1932. In: Mortals and Others, v.1, 1975.
 詳細情報:https://russell-j.com/SOCIETY.HTM
3月24日(壇ノ浦の戦い/世界結核デー)

 団体の幹事(注:'常務理事'など)のモットーは,「希望を持って旅することは,目的地に到着することよりも良いことである」とすべきである。なぜなら,'到着'は破滅を意味するからである。

 出典:On societies, June 8, 1932. In: Mortals and Others, v.1, 1975
 詳細情報:https://russell-j.com/SOCIETY.HTM
3月25日(電気記念日)

 科学者は仕事の上で幸福であるが、その理由は、現代世界において科学は進歩的かつ強力であり、またその重要性は科学者自身にも一般人にも全く疑われていないからである。それゆえ--単純な感情は、障害物にぶちあたることがまったくないので--、科学者は複雑な感情を持つ必要がない。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.10: Happiness still possible?
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA21-020.HTM
3月26日(復活祭(この頃))

 自発的であれそうでないにせよ、自ら選んだにせよ必要に迫られたにせよ、現代人の大部分は、神経をすりへらす生活を送っている。そして、いつも疲れすぎている状態にあるため、アルコールの助けなしでは楽しむことができなくなっている。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.5: Fatigue.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA15-010.HTM
3月27日(世界演劇の日(World Theatre Day))

 きちんとした精神を養うことで、どれほど幸福と効率が増すかは、驚くほどである。きちんとした精神は、ある事柄について24時間不十分に考えるのでなく、考えるべき時に十分に考える。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.5: Fatigue.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA15-020.HTM
3月28日(スリーマイル・デー)

 困難な、あるいはやっかいな結論を出さなければならない時には、すべてのデータが集まり次第、その問題について十分に考え抜いた上、決断を下すとよい。決断した以上は、何か新しい事実が出てきた場合を除いて、修正してはならない。優柔不断くらい心身を疲れさせるものはないし、不毛なものはない。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.5: Fatigue
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA15-020.HTM
3月29日(八百屋お七の日)

 いかなる隔離された情熱も,隔離された状態のままでは,(一種の)狂気である。正気とは,種々の狂気を総合(統合)したものとして定義してよいだろう。

 出典:Nightmares of Eminent Persons, 1945, Introduction.
 詳細情報:https://russell-j.com/cool/46E-INTR01.HTM
3月30日(ゴッホ誕生日)

 第一次世界大戦中,ケンブリッジ大学においてさえ,'知的誠実さ'に限界があることを発見したのは,私にとって打撃であった。それまでは,私は,どこに住んでいようと,ケンブリッジ大学だけがこの地上において安息所(我が家)とみなせる唯一の場所であると感じていた。

 出典:The Autobiography of Bertrand Russell, v.1, chap. 3:Cambridge, 1967]
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/AB13-340.HTM
3月31日(年度末/教育基本法公布記念日/この頃,復活祭 Easter)

 教育を'ある明確な信念を注入する手段'であると考えている人びとと,教育は自立的な判断力を養う(←生み出す)べきものであると考えている人びととの間には,意見の一致はまったくない。

 出典:On Education, especially in early childhood, 1926, Introduction.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/OE-PREF.HTM
. [4月]
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【4月】

4月1日(エイプリル・フール/児童福祉法施行記念日)

 現代の若者のほとんどは,巨大な組織の末端の地位から人生のスタートを切らざるをえない。彼の上司が経験豊かな学校の先生が持っている寛容の精神の持主であるのは稀であり,組織の中の「良い」子に昇進の道を与えがちである。・・・。人に従うことを覚えた人間は,自分の個人的創意を全部失うか,権力に対する怒りを燃すに至り,破壊的で残忍な志向を身につけるに至る。

 出典:On being good, Nov. 18, 1931. In: Mortals and Others, v.1, 1975
 詳細情報:https://russell-j.com/BEING-G.HTM
4月2日(書籍館(帝国図書館の前身)開設記念日)

 昔学校で教えられたことは,大部分それ自体は無益なものであったが,正確さを教えるという長所を持っていた。今日の(現代的な)学校で教えられることがらは,それ自体知る価値があるものが多いが,通例,生徒が結局は(よく)理解しない方法で教えられる。その結果,大人たちは正確さを欠いた心的習性を身につけ,悪意のある動機による事実の歪曲に気付かなくなる。

 出典:The decay of intellectual standards, Oct. 19, 1932. In: Mortals and Others, v.1, 1975.)
 詳細情報:https://russell-j.com/DECAY-IS.HTM
4月3日(聖徳太子,十七条憲法制定)

 その人の生涯の幸福に終止符を打つにちがいないと思われるような'悩みごと'も、時がたつにつれ色あせてゆき、ついには、その痛切さを思い出すことさえほとんどできなくなる。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.5:Fatigue
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA15-030.HTM
4月4日(北大西洋条約機構創設)

 自己を超越するものに思考と希望を集中できる人は,人生の普通の悩みごとの中に,全くのエゴイストには望めない,ある種の安らぎを見いだすことができる。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.5:Fatigue
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA15-030.HTM
4月5日(小笠原返還記念日)

 高度な教育を受けた社会構成員のなかで、今日最も幸福なのは、科学者である。科学者のなかで最も著名な人たちの大部分は、情緒的には単純で、従事している仕事から深い満足を得ているので、食べることから、また結婚からさえ、快楽を得ることができるほどである(半分冗談ですよ)。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.10:Happiness still possible? 
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA21-020.HTM
4月6日(城の日)

 芸術家や文学者は、結婚生活が不幸であることが職業柄必要(礼儀上必要)だと考えているが、科学者はしばしば、いまだに'古風な家庭生活の幸福'が可能である。その理由は、彼ら科学者の知性の高級な部分はすべて仕事に吸収されてしまっており、彼らが果たすべき役割のない領域に踏みこむことは許されないからである。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.10:Happiness still possible?
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA21-020.HTM
4月7日(世界保健デー/労働基準法公布記念日)

 もしも、一週に一度、被雇用者が雇用者の鼻をつまむことを許されるか、他の方法で雇用者のことをどう思っているかを示すことを許されるならば、被雇用者の神経の緊張は緩和されるだろう。しかし、自分もまた心配ごとをかかえている雇用者にとっては、これでは事態は改善されない。被雇用者が解雇を恐れているように、雇用者は破産を恐れている(←・・・にとって「解雇」に対応するものは、・・・にとっての「破産」である。)。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.5:Fatigue
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA15-010.HTM
4月8日(潅仏会/花祭/忠犬ハチ公慰霊祭)

 楽観主義はそれが信頼できる間は気持ちがよいが,一旦信頼できなくなればそれは人をひどくいらだだせる,というのが真実である。特に腹ただしいのは,われわれの抱える問題を共有しない人たちがその問題に対して示す楽観主義である。

 出典:On optimism, Mar. 16, 1932. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/OPTIMISM.HTM
4月9日(東大寺大仏開眼供養)

 他人の問題(トラブル)をみて楽観的なことを言うことは,その問題の解決あるいは軽減のためのかなり具体的な提案を伴わないかぎり,非常に危険である。医者は,患者の病気に対してそれを治す処方を用意できるならば,楽観的なことを言う資格がある。しかし,「そのうち,良くなるさ」などと言うだけの友人には,われわれは腹をたてる。

 出典:On optimism, Mar. 16, 1932. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/OPTIMISM.HTM
4月10日(婦人の日)

 1907年に私は,国会議員補欠選挙の時,女性の選挙権を擁護して,立候補さえもした。(ロンドン郊外の)ウィンブルドン地区における選挙戦は,(選挙戦)期間が短く,また困難なものであった。いまの若い人々にとって,男女平等に対する当時の反対の激しさを想像することはほとんど不可能であろう。のちに,私は第一次世界大戦反対の運動をおこなったが,その時の一般大衆の抵抗は,1907年に婦人参政権論者が受けた一般大衆の抵抗の激しさに比べれば,比較にならないほど,より穏やかなものであった。

 出典:The Autobiography of Bertrand Russell, v.1, 1967, chap. 6: Principia Mathematica.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/AB16-160.HTM
4月11日(メートル法公布記念日)

 人は疲れれば疲れるほど,仕事をやめることができなくなる。神経衰弱が近づいた徴候の一つは,自分の仕事は非常に重要であり,休暇をとったりすれば種々の災難をもたらすことになる,と思いこむことである。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.5:Fatigue
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA15-040.HTM
4月12日(南北戦争始まる/東大創立記念日)

 仕事によって生じたように思われる神経衰弱は,実は,私が個人的に知っているいかなる場合についても,何らかの情緒的な心配事によって生じたものであり,患者は,仕事をすることでそれらの心配事から逃れようとしていたのである。

 出典: The Conquest of Happiness, 1930, chap.5:Fatigue
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA15-040.HTM
4月13日(啄木忌)

 3歳の幼児から,渋面(しかめっつら)を示せば世界中が震え上がる(昔の)君主にいたるまで,人間生活の全領域に及ぶ虚栄心の影響力は,いくら誇張しても誇張し過ぎることがないほどである。人間は,同じような欲求が神にもあるとする不敬を犯してさえおり,神は不断の礼賛を渇望していると思いこんでいるしだいである。(注:最後の一文は冗談)

 出典:Human Society in Ethics and Politics, 1954,pt.2,chap.2: Politically Important Desires (Nobel Prize Acceptant Speech)
 詳細情報:https://russell-j.com/cool/47T-020201.HTM
4月14日(タイタニックの日)

 草木が日照りの後の雨で生きかえるように、愛は、私たちの全存在を新しくよみがえらせ、生き生きとさせる1つの経験である。愛のない性交には、こういったものはまったく存在しない。つかの間の快楽が終われば、疲労、嫌悪、人生はむなしいという感じが残る。愛は「大地」の生の一部であるが、愛のないセックスはそうではない。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.4: boredom and excitement
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA14-070.HTM
4月15日(世界医学検査デー)

 家柄崇拝の最大の舞台は王室であり,それが生む弊害は英国民の想像が及ばないくらいである。国王の意見を一平民の意見とまったく同じように虚心に聞く態度が取れる人はほとんどいないだろうし,その上,王室の教育と生活環境は人間を知的にするようなものではない。

 出典: On snobbery, Dec. 30, 1931. In: Mortals and Others, v.1, 1975.]
 詳細情報:https://russell-j.com/SNOB.HTM
4月16日(チャップリン誕生日)

 虚栄心は非常に大きな力を有している動機(原動力)である。子供と多くの関わりを持っている人であれば,彼らは常に何かふざけたことをやっては,「ほら,見て!」と言うのを見知っている。「ほら,見て!」(見て欲しい)というのは人間の心の最も基本的な欲求の一つである。それは,ふざけた行為から死後の名声の追求まで,数限りない形態をとりうる。

 出典:Human Society in Ethics and Politics, 1954,pt.2,chap.2: Politically Important Desires (Nobel Prize Acceptant Speech)
 詳細情報:https://russell-j.com/cool/47T-020201.HTM
4月17日(家康忌)

 何らかの災難が迫ってきたときには,起こりうる最悪の事態はどのようなものであるか,真摯かつ慎重に考えてみるといい。起こりうる災難を直視した後は,それは結局,それほど恐ろしい災難ではないだろうとみなすに足る,しっかりした理由を見つけるとよい。そのような理由は,常に存在している。なぜなら,最悪の場合でも,人間に起こることは,何ひとつ宇宙的な重要性を持つものではないからである。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.5:Fatigue
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA15-050.HTM
4月18日(発明の日/良い歯の日)

 恐怖はどのようなものであれ、直視しないことによってよりひどいものになっていく。考えをよそへそらそうと努力すれば、目をそむけようとしている幽霊の恐ろしさが一段と増してくる。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.5:Fatigue
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA15-060.HTM
4月19日(米国独立戦争はじまる)

 権力を握っている者は,古今東西,恐怖心に駆られている場合を除けば,権力を持たない人間の幸・不幸に無頓着です。

 出典:What is Democracy? 1953: Evils of Power.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/AXIOM-2006X2015.HTM#20150716
4月20日(逓信記念日)

 私たち(私とアリス)は,2年続けて,ヴェニス(Venezia ベネチア)で秋を過ごした。そうして私は,ヴェニスの隅から隅まで知り尽くした(道路の敷石という敷石のほとんど全てを知りつくすほどになった)。初婚(1894年12月)の日から第一次世界大戦の勃発にいたるまでの間,イタリアに行かなかった年はなかったように思う。時には徒歩で,時には自転車で旅行した。

 出典:The Autobiography of Bertrand Russell, v.1, chap. 5: First marriage, 1967]
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/AB15-190.HTM
4月21日(民放の日)

 子供は本来ごまかしを嫌うが,通例そのような気持ちは,年を取るにつれて消滅する。それゆえ子供に不快な真実を知らせない慣行は,断じて大人たちが考えるように子供のために採用されたのでなく,ほかならぬ大人にとって卒直さが苦痛であるがゆえに作られるにすぎない。

 出典:On protecting children from reality, Oct. 5, 1932. In: Mortals and Others, v.1, 1975.
 詳細情報:https://russell-j.com/CHILD-P.HTM
4月22日(カント誕生日/1925年治安維持法公布/良い夫婦の日)

 結婚に際して新郎新婦は,今後末永くたがいに愛しあうことが「義務」だと教えられるが,所詮愛情は一つの情緒であって,意志の働きに服する余地はなく,したがって義務の部類には入りえない。思慮深い振舞いは,義務に属すると言えても,愛は天与の資質である。この感情が消滅する時,それを喪失した人を憐れむのはよいが,非難することは筋違いである。

 出典:On expected emotions, July 13, 1932. In: Mortals and Others, v.1, 1975.
 詳細情報:ttp://russell-j.com/EXPECTED.HTM
4月23日(慶應義塾大学創立記念日)

 知識階級について言えば,ある医者が本当に医学のことをよく知っているかどうか,あるいは,ある弁護土が本当に法律のことをよく知っているかどうか,部外者には全然わからない。そこで.彼らの優秀さを判断するには,彼らの生活水準から推定される収入によるほうが容易である(とアメリカでは考えられている)。(アメリカにおいては)大学教授について言えば,彼らは実業家たちに金で雇われた使用人であり,そういうものとして,もっと(歴史の)古い国々で与えられているほどの尊敬を受けていない。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.3: Competition
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA13-040.HTM
4月24日(牧野富太郎誕生日=植物学の日)

 疲労の原因は,非常に多くの場合,'興奮を好むこと'にある。余暇を睡眠に費やせるならば,人間はいつも健康を保てるだろうが,働いている時間は退屈なため,自由時間には娯楽の必要を感じる。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.5:Fatigue
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA15-080.HTM
4月25日(国連記念日)

 困ったことに,最も手に入れやすく,表面的に最も魅力的な娯楽は,大部分,神経を消耗する種類のものである。興奮への欲求も,限度を越える場合は,性格がひねくれているか,あるいは,何か本能的に満たされないものがあるか,いずれかの徴候である。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.5:Fatigue
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA15-080.HTM
4月26日(1986年チェルノブイリ原発事故)

 大部分の人は、自分の偏見(予断)を再確認するだけで経験からは何も学ばないからである。経験から何ものかを学ぶためには、科学者気質の本質とも言える一種の偏見のない広い心(開かれた心)が必要である。ただし、科学者の多くも、この偏見のない広い心がいくらか欠けているが。

 出典:The lessons of experience, Sept. 23, 1931. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/EXPERIEN.HTM
4月27日(国会図書館開館記念日/哲学の日(=悪妻の日))

(自由人の十戒ーその1)何事も絶対確実だと思い込んではいけない。〔この世に絶対確実なことなどありえないからだ。

 出典:A Liberal Decalogue, 1951
 詳細情報:https://russell-j.com/0972-ALD.HTM
4月28日(対日平和条約発効記念日/日本銀行開業)

(自由人の十戒ーその2)何事も証拠を隠してまでして,物事をはこぶ価値があると考えてはいけない。なぜなら,そういた証拠は必ず明るみに出るものだからだ。

 出典:A Liberal Decalogue, 1951
 詳細情報:https://russell-j.com/0972-ALD.HTM
4月29日(みどりの日)

(自由人の十戒ーその3)成功を確信しても,考え続けることを決してやめてはいけない。

 出典:A Liberal Decalogue, 1951
 詳細情報:https://russell-j.com/0972-ALD.HTM
4月30日(図書館記念日)

(自由人の十戒ーその4)反対意見には,家族の反対でも,議論で説得し,権威で勝とうとしてはいけない。権威を使っての勝利は,真の勝利ではなく,単なる幻にすぎないからである。

 出典:A Liberal Decalogue, 1951
 詳細情報:https://russell-j.com/0972-ALD.HTM
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5月1日(メーデー/日本赤十字社創立記念日)

 通常の人間性の特徴の中で,'ねたみ'が最も不幸なものである。'ねたみ'深い人は,他人に災いを与えたいと思い,とがめられることなく(罰を受けることなく)できるときにはいつでもそうするだけでなく,'ねたみ'によって,自分自身をも不幸にする。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.6:Envy
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA16-030.HTM
5月2日(郵便貯金の日/この頃,八十八夜)

 ねたみ'深い人は自分が持っているものから喜びを引き出すかわりに,他人が持っているものから苦しみを引き出す。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.6:Envy
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA16-030.HTM
5月3日(憲法記念日/世界プレス自由の日)

(自由人の十戒ーその5)他人の権威を尊重するには及ばない。なぜなら,それが尊敬に値しない権威であると露見するのが普通だからである。

 出典:A Liberal Decalogue, 1951
 詳細情報:https://russell-j.com/0972-ALD.HTM
5月4日(堀江謙一,ヨットで世界一周)

(自由人の十戒ーその6)有害と思う意見を力で抑圧してはいけない。なぜなら,もし力で抑えれば,それらの意見は同じようにあなたを抑圧するからである。

 出典:A Liberal Decalogue, 1951
 詳細情報:https://russell-j.com/0972-ALD.HTM
5月5日(子どもの日)

 幼児期の幸福(幼年期幸福であること)」は,最良のタイプの人間を作り出すためには,必須である。

 出典:On Education, especially in early childhood, 1926, chap. 1:Postulates of modern educational theory.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/OE01-120.HTM
5月6日(フロイト誕生日/スターリン,ソ連首相就任/1941)

 子どもは通例,母親のすべてを知ってはいない。母親は大人の関心事を子どもには知らせないようにするから,子供は母親について,自分に献身的な愛を懐き,子ども抜きの生活は持たず,人間生活に不可欠なあの自我(エゴ)のかけらさえ持たない女性という概念を持つことになる。バイロンのように,これとはまったく反対のタイプの母親を持った人たちでさえ,文学や時代の感情から理想の母親像を引き出し,自分が母親から得られなかったものを無意識のうちに妻に求めることになる。

 出典:Our woman haters, May 25, 1932. In: Mortals and Others, v.1, 1975.]
 詳細情報:https://russell-j.com/HATE-W.HTM
5月7日 VEデー=ドイツ無条件降伏)

 歩いたり話したりしようとする努力において示されているように,'正常な子供'が皆持っている'学びたいという自発的な願望’が,教育の'推進力'とならなければならない。この推進力を'むち'に代替させたことは,現代の大きな進歩の一つである。

 出典:On Education, especially in early childhood, 1926, chap. 1:Postulates of modern educational theory.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/OE01-120.HTM
5月8日(世界赤十字デー)

 'ねたみ'は,幼少期における不幸によって著しく助長される,と思われる。兄弟姉妹の誰かが自分よりもかわいがられているのを発見(目撃)した子供は,'ねたみ'の習慣を身につける。そして,世間に出ると,自分が犠牲者となっている不公平を捜しまわり,不公平が起これば即座に認知し,起こらなければ不公平を想像する。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.6:Envy
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA16-040.HTM
5月9日(アイスクリームの日)

 他人と比較してものを考える習慣は,致命的な習慣である。何でも楽しいことが起これば,大いに楽しむべきであり,これは,よその誰かに起こっているかもしれないことほど楽しくないかもしれないなどと,立ち止まって考えるべきではない。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.6:Envy
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA16-050.HTM
5月10日(5.10-5.16:愛鳥週間/第二日曜日は母の日)

 現代の「男女)間のトラブルの多くは,詩的で無政府的衝動であるロマンチックな恋愛を,単なる社会制度にすぎない結婚と混同することに由来している。フランス人はこの種のまちがいをおこさない。だから概して,彼らはこの点で英語を話す国民よりもずっと幸福である。

 出典: Sex and happiness, Aug. 5, 1931. In: Mortals and Others, v.1, 1975.]:
 詳細情報:https://russell-j.com/SEX-HAPY.HTM
5月11日(長良川,鵜飼開き)

(自由人の十戒ーその7)自分の意見が並外れたものであっても恐れてはならない。なぜなら,現在当り前と思われている意見はいずれも当初は並外れていたからである。

 出典:A Liberal Decalogue, 1951
 詳細情報:https://russell-j.com/0972-ALD.HTM
5月12日(看護の日(=ナイチンゲールの日))

(自由人の十戒ーその8)嫌々ながら賛成するよりも,良く分別を働かせて異議を唱える方が良い。なぜなら,もしあなたがあるがままに知性に価値を認めるならば,前者よりも後者の方がより深い同意を意味するからである。

 出典:A Liberal Decalogue, 1951
 詳細情報:https://russell-j.com/0972-ALD.HTM
5月13日(愛犬の日)

(自由人の十戒ーその9)たとえ真実が不都合なものであったとしても,どこまでも良心的に真実に忠実であるべきである。なぜなら,もしあなたが本当のことをかくそうとすると,もっと都合が悪いことになるからである。

 出典:A Liberal Decalogue, 1951
 詳細情報:https://russell-j.com/0972-ALD.HTM
5月14日(種痘記念日/この頃=第二日曜日:母の日)

(自由人の十戒ーその10)愚者の楽園に暮らす人々の幸福を羨ましがってはいけない。それを幸せだと考えるのは愚か者だけだからである。

 出典:A Liberal Decalogue, 1951
 詳細情報:https://russell-j.com/0972-ALD.HTM
5月15日(沖縄本土復帰記念日)

 'ねたみ'は,実際のところ,一部は道徳的,一部は知的な悪徳の一形態であって,その本質は,決して'もの'を'それそのもの'として見ず,他との関係において見ることにある。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.6:Envy
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA16-050.HTM
5月16日(旅の日)

 疲労は、非常にしばしば、'ねたみ'の原因になる。人は、やらなければならない仕事をする力が自分には十分ないと感じると、'漠然とした不満'を感じ、その不満は、'自分よりも楽な仕事をしている人びとに対する'ねたみ''の形をとりやすい。それゆえ、ねたみを減らす方法の1つは、疲れを減らすことである。しかし、はるかに重要なことは、本能を満足させる生活を確保することである。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.6:Envy
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA16-080.HTM
5月17日(世界電気通信記念日)

(危篤状態を抜け,回復期に入り)もう死なないということを感じながらベットに横たわっていることは,驚くほど愉快なことであった。その時まで私は,自分は根本においては悲観的な人間であり,生きていることに大きな価値をおいていない,と常に想っていた。しかしそのように考えることは完全な間違いであり,人生は無限に甘美なものだということを,私は発見した。

 出典:The Autobiography of Bertrand Russell, v.2 chap. 3: China, 1968
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/AB23-100.HTM
5月18日(ラッセル及び南方熊楠誕生日/国際親善デー)

 単純ではあるが圧倒的に強い三つの情熱が私の人生を支配してきた-それは、愛への熱望、知識の探究、そして人類の苦悩に対する耐えがたい憐憫の情である。これらの情熱が、大風のように私をここかしこへと吹きとばした。思いもよらぬ方角へと、深い苦悶の大海を越え、絶望の岸へと吹き寄せた。

 出典:The Autobiography of Bertrand Russell, v.1, Prologue
 詳細情報:https://russell-j.com/PROLOGUE.HTM
5月19日(桶狭間の戦い)

 明らかにナポレオンが若い時に貧困のため屈辱を受けていなければ,あれほど俗物的にも,好戦的にもならなかったと思われる。ナポレオンが'豚の幸福'に満足するように導かれていたら,人類にとって幸いだったであろう。多くの偉人の理論と実践(実践と理論)に見られる残酷的な要素は,彼らの生涯(経歴)が,彼らには自覚されないが,若い時になめた不幸に対する'世間への復讐'に他ならぬという事実に,帰することができる。

 出典:Should children be happy?, June 1932. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/CHILDHAP.HTM
5月20日(東京開港記念日)

 私の期待する世界は,情動は強くても破壊的ではない世界,また,情動が情動として認められているので,それが自己をも他人をも欺くことにはならない世界である。そのような世界には,愛と友情があろうし,芸術や知識の追求が所を得るであろう。私には,より狂暴なものを望むひとびとを,満足させることはできそうにない。

 出典:Human Society in Ethics and Politics, 1954, Preface
 詳細情報:https://russell-j.com/cool/47T-PREF.HTM
5月21日(対話と発展のための世界文化多様性デー)

 正義と不正は,一緒に取り上げなければならない。一方を強調し他方を強調しないでいることはできない。さて,実際のところ「不正」とは何であろうか? それは,実際においては,群集によって嫌われている種類の行為である。それを不正と呼び,この概念を中心に入念な倫理体系を築くことによって,その嫌悪の対象に罰を加えることに対し,群集は自己の正当化を行なうのである。

 出典:Has religion made useful contribution to civilization, 1930
 詳細情報:なし
5月22日(国際生物多様性の日)

 人間の心情が憎しみに傾き易いのは、人々が満たされていないからであり、また--恐らく無意識的にさえ--どういうわけか、人生の意味を見失ってしまい、また人間が享受すべく自然が差し出しているもろもろの良き物を、自分たち自身ではなく、たぶん他の人びとが確保してしまっていると,心の奥底で感じているからである。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.6:Envy
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA16-080.HTM
5月23日(1875年火葬禁止令廃止の日)

 良心は,神秘的であったからこそ,神の声とみなされていたのであるが,もはや神秘的をものでなくなった。'良心'は世界の異なった国々で,異なった行為を命ずるものであることを,さらに,大ざっぱに言えば,どこへ行っても種族の慣習と一致するものであることを,私たちは理解している。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.7:the sense of sin
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA17-010.HTM
5月24日(ビクトリア女王誕生日)

 西欧世界において,少年少女は,最も重要な社会的忠誠は,彼らが市民として所属する国家への忠誠であり,国家に対する義務は,政府の命令通りに行動することだ,と教えられる。この教義に疑問を抱かせないように,彼らは偽りの歴史や偽りの政治学や偽りの経済学を教えらえる。彼らは外国の過失は教えられるが,自国の過ちは知らされない。自国が関与してきた戦争は全て自衛のための戦争であり,他国が行った戦争は侵略戦争だと思うように仕向けられる。予期に反して、自国が他国を征服するときは,文明を広めるために,福音の光を灯すために,高い道徳や禁制やその他の同様な高貴なことを広めるためにそうしたのだと信じるように教育される。

 出典:Education and the Social Order, 1932, chap. 10:Patriotism in Education (George Allen and Unwin ed.) p.137.
 詳細情報:なし
5月25日(アフリカデー)

 天才になるための秘訣の最重要要素の一つは,非難の技術の習得である。あなた方は必ず,この非難の対象になっているのは自分ではなくて他人であると読者が考えるような仕方で非難しなければならない。そうすれば,読者はあなたの気高い軽蔑に深く感銘するだろうが,非難の対象が他ならぬ自分自身だと感じたと同時に,彼はあなたを粗野で偏屈だと非難するだろう。

 出典:How to become a man of genius, Dec. 28, 1932. In: Mortals and Others, v.1, 1975.
 詳細情報:https://russell-j.com/GENIUS.HTM
5月26日(谷川徹三誕生日(1895))

 民主主義が望ましいのは,普通の選挙民が政治的叡知をもっているからではなく,権力を独占するいかなる集団も,必ず自分たち以外の人々はある特定の生活の便益を享受しないほうが望ましいと証明する理論を発明するがゆえに,そのことを予防するために必要なのである。このような傾向は,人間本性の中でも最も可愛げのないものの一つであるが,全ての階級及び男女両性への権力の公正な分配以外に十分な防護策はないことは,歴史が示している。

 出典:On vicarious asceticism, Aug. 3, 1932. In: Mortals and Others, v.1, 1975.]
 詳細情報:https://russell-j.com/KINYOKU.HTM
5月27日(日本海海戦の日)

 私は,偏見がないということと無知であるということとを取り違えた(混同した)ことはない。また,正しくあるためには,信念をもってはならないなどというふうに信じたこともない。この「戦争犯罪法廷」の権威と,公正であるとの評価は,まさに,法廷を構成している構成員の性格と,その審理手続きの正しさから出ているのである。

 出典:War Crimes in Vietnam, 1967,Postscript
 詳細情報:https://russell-j.com/cool/61T-POST01.HTM
5月28日(国際アムネスティ記念日)

 人びとが生存競争という言葉で意味しているのは,実際は,成功のための競争にほかならない。この競争に参加しているとき,人びとが恐れているのは,明日の朝食にありつけないのではないか,ということではなくて,隣人に勝る(勝つ)ことができないのではないか,ということである

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap. 3: competition
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA13-010.HTM
5月29日(エベレスト初登頂)

 自らの理性が悪くないと告げる行為について,あなたが後悔を感じはじめるようなときには,いつでも,後悔の感情の原因を調べ,その不合理性について,細部においてまで確信をもつべきである。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.7:the sense of sin
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA17-060.HTM
5月30日(文化財保護の日)

合理的な確信に達したときには,その確信について十分考え,その帰結に徹底的に従い,新しい確信と矛盾するような信念が別の状態で生き残ってはいないかどうか,自分の心の中を探索しつくす必要がある。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.7:the sense of sin
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA17-070.HTM
5月31日(世界禁煙デー)

 大部分の人は、幼少時代の迷信を'表面的に'投げ捨ててしまうと、なすべきことはそれですべてお仕舞いと考える。彼らは、こういう迷信がなおも地下に潜伏している(無意識下にひそんでいる)ことに気づいていない。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.7:the sense of sin
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA17-070.HTM
[6月]
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【6月】

6月1日(衣替え/気象記念日/電波の日/1~30:男女雇用機会均等月間/国際演劇月間)

 一般に男性が女性を判定する際の基準が,女性が男性を判定する際の基準に比べれば,'あさはか'だと言わざるを得ない(白状せずるをえない)。残念ながらこれは簡単には是正されない。

 出典:On Clothes,Nov. 23, 1932. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/IFUKU.HTM
6月2日(横浜開港記念日)

 自分自身は神秘的かつ計り知れない深さを持つが自分以外の人は皆簡単に理解されうるなどという可能性は、統計学上ほとんどありえないことであるにもかかわらず、たいていの人々が身につけている'自己の優越性'の信念の一部である。

 出典:On labelling people, Aug. 10, 1932. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/LABEL.HTM
6月3日(1853年にペリー浦賀来航/測量の日/ムーミンの日)

 ペリー提督(Matthew Calbraith Perry, 1794-1858)の艦隊(4隻)が到来してからずっと,日本人は,自己保存が非常に困難な状況にあり続けてきており,'自己保存'自体が責められるべきと考えるのでないかぎり,彼ら(日本人)が'自己保存'に成功したこと(事実)は,日本人の教育方法の正当化のための理由を与えることになる。しかし,彼ら(日本人)の教育方法は,(日本が)'絶望的な状況'にあったからこそ正当化できたのであって,いかなる国家・国民も,'差し迫った危機'にない場合は,責められるべきものだったであろう。>

 出典:On Education, especially in early childhood, 1926, chap. 2: The Aims of Education
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/OE02-040.HTM
6月4日(天安門事件/虫の日)

 ファーブルは,自分たちのリーダーのあとを追う習性のある一群の昆虫のことを描写している。ファーブルは,それが円形であることを知らないリーダの昆虫とともに,それらの一群の昆虫を円盤の上に置いた。(その結果)彼らは円盤状をぐるぐる何度も回り,ついに疲労で死んでしまった。現代の政治家とその信奉者たちは,これと同等で非常に似通った愚行を犯している。
 出典: Fact and Fiction, 1961, part VI, chap.1.
 詳細情報:https://russell-j.com/cool/cool/57T_PT2-0101.HTM
6月5日(世界環境デー)

 人格の分裂ほど、幸福のみならず能率を減らすものはない。自分の人格(性格)の異なる諸部分の間に調和を生み出すために費やされた時間は、有益に費やされた時間である。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.7:the sense of sin
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA17-080.HTM
6月6日(楽器の日/ノルマンディー上陸作戦/1944)

 情熱的な恋愛,親としての愛情,友情,慈悲心,科学や芸術に対する献身などの中には,理性が減じたいと思うものは何ひとつない。理性的な人間は,これらの情緒のいずれか一つまたは全部を感じるとき,そのことを喜びとするのであり,そうした情緒の強さを減らすようなことは何もしないだろう。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.7:the sense of sin
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA17-090.HTM
6月7日(計量記念日)

 自分を理性的にすることで生活がつまらなくなる,などと恐れる必要はない。逆に,合理性は主として内的な調和から成り立つものである以上,内的調和を達成した人は,内面の葛藤によって絶えず邪魔されている人よりも,世界の見方においても,外的な目的を達成するためのエネルギーの使い方においても,よりいっそう自由である。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.7:the sense of sin
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA17-090.HTM
6月8日(世界海洋デー)

 罪を犯した人間が 有罪の判決を受けることよりも,無実の人間が放免されることのほうが重要だとはよく言われることである。しかし,いかなるところにおいても,警察の任務は犯罪の証拠を探すことであり,無罪の証拠を探し出すことではない。かりにあなたが,不当にも殺人罪に問われ,しかもあなたに不利な,一見して十分な証拠があるとしてみたまえ。そうなると,国家の資源の全体があなたに不利な入手可能な証拠を探し出すために動員され,国家は最も有能な法律家を雇って,陪審員の心中にあなたにとって不利な偏見を植えつけようとする。

 出典:Power, a new social analysis, 1938, chap. 18: The Taming Power
 詳細情報:なし
6月9日(ロック(rock)の記念日)

 かなり昔、多分古代ローマの愚かな人間が、「人の上に立つ人間はまず人に服従することを知らなければならない」と言っているが、真理はそのまったく逆である。人に従うことを覚えた人間は、自分の個人的創意を全部失うか、権力に対する怒りでいっぱいになり、破壊的かつ残忍な人間となる。

 出典:On being good、Nov.18, 1931. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/BEING-G.HTM
6月10日(時の記念日)

 正しく思考しようとする欲望は,戦争の情熱を統御するにふさわしい,ということを見出す人々は,その人々自身の正しく思考しようとする欲望が,それ自体一つの情熱となっているような人々だけである。情熱のみが情熱を統御できるのであり,逆方向の衝動あるいは欲望のみが,衝動を抑制しうるのである。

 出典:Principles fo Social Reconstrucition, 1916, chapt.1: the principles of growth
 詳細情報:https://russell-j.com/cool/10T-0101.HTM
6月11日(この頃,入梅)

 伝統的なモラリストたちが説いた形での理性は,良い生活をつくり出すにはあまりに消極的であり,またあまりにも生気を欠いている。戦争を阻止しうるのは,理性のみによるものではなく,戦争に導く衝動や情熱に反発するところの,積極的な衝動と情熱のある生活によってである。変える必要があるのは,意識的な思考の生活だけでなく,衝動の生活である。

 出典:Principles fo Social Reconstrucition, 1916, chapt.1: the principles of growth
 詳細情報:https://russell-j.com/cool/10T-0101.HTM
6月12日(大化の改新)

 自己分裂している人間は,'興奮'と'気晴らし'を追い求める。彼は,強い情熱を好むが,それには十分な理由があるわけではなく,しばらくの間,その情熱が我を忘れさせ,'骨の折れる思考の必要性'から遠ざけてくれるからである。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.7:the sense of sin
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA17-100.HTM
6月13日(ジョン・ナッシュ誕生日(1928))

 いかなる種類のものであれ,陶酔を必要とするような幸福は,見せかけのものであり,不満足なものである。本当に満足できる幸福は,私たちの様々な能力を最大限に発揮させてくれるものであり,私たちの生きている世界を最大限に理解させてくれるものである。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.7:the sense of sin
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA17-100.HTM
6月14日(世界献血者デー)

 アメリカでは,知的職業にたずさわる人は,実業家のまねをし,ヨーロッパにおけるように独自のタイプをなしていない。それゆえ,アメリカには,富裕階級のすべてにおいて,金銭的な成功のための露骨な容赦ない闘いを緩和するものは,何ひとつ存在しない。 アメリカの少年たちは,ごく幼いころから経済的(金銭的)な成功のみが唯一重要な事であると感じているので,'金銭的な価値のない教育'にわずらわされることを望まない。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.3: Competition
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA13-050.HTM
6月15日(空海誕生日)

 全体的に言えることは、静かな生活が偉大な人びとの特徴であり、彼らの快楽はそと目には刺激的なものではなかった、ということである。偉大な事業は、粘り強い活動なしには達成されるものではなく、そういう活動(仕事)は、あまりにも注意を奪い、またあまりにも困難であるので、精力を必要とするような娯楽をするためのエネルギーはほとんど残らないのである。例外は、休暇中に肉体的エネルギーを回復するのに役立つような娯楽であり、最もよい例は山登りであるだろう。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.3: competition
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA14-050.HTM
6月16日(アフリカの子供の日)

 人と協力するには三つの理由がある。一つは相手を愛するからであり,一つは相手を恐れるからであり,もう一つは不正な利得にあずかりたいと望むからである。これらの三つの動機は,人間の協力が必要なそれぞれの領域において,それぞれ異った重要性を持つ。第一の動機は'生殖'を支配し,第三の動機は'政治'を支配する。

 出典:The advantages of cowardice, Nov. 2, 1931. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/COWARD.HTM
6月17日(砂漠化および干ばつと闘う国際デー)

 人は重要なポストにつくと忠告の言葉に耳を傾けなくなるので、自分の考えを改める望みがなくなる。不幸なことに通例、若者の(資質や能力の)向上は、年をとり要職についた人たちの手で行なわれている。30歳以上の人間を学校の校長にしてはいけないと私は提案したい。しかし、この賞賛すべき改革案が採用されることはほとんどないだろうと思う。

 出典:On being good, Nov. 18, 1932. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/BEING-G.HTM
6月18日(京都大学創立記念日/海外移住の日)

 私の最初の哲学に関する著作が、当時の正統派に対し異議を唱えなかったということは、私の名声のためには幸いなことであった。カントを批判する者はすべて、カントを理解し損ねたものとして簡単に片付けてしまうのが、当時の学界の慣例であった。また、こうした批判に反駁をあびせるにあたって、私が以前カントに賛成していたことがあるという事実は、'何かと好都合'であった(注:皮肉です)。この本は、実際のところ、その価値以上に、高く賞賛された。

 出典:The Autobiography of Bertrand Russell, v.1, chap. 5: First marriage, 1967
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/AB15-120.HTM
6月19日(桜桃忌)

 私たちは,我々の友人たちは欠点はあるが,全体的に見れば,好意を持てる,感じのいい人たちであることを知っている。しかし,彼らが私たちに対して同じ態度をとるのは耐えられないという自分を発見する。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.8:Persecution mania
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA18-020.HTM
6月20日(世界難民の日)

 知人について,時には友人についてさえ,意地悪いことを言わずにいられる人は,実に少ない。それにもかかわらず,人は,誰かが自分の悪口を言ったということを耳にすると,怒りと驚きでいっぱいになる。彼らがほかのすべての人の噂話をするように,ほかのすべての人も彼らの噂話をする,ということをどうやら彼らは考えたことがないらしい。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.8:Persecution mania
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA18-020.HTM
6月21日(がん支え合いの日)

 無意識の意識への働きかけについては,これまで,心理学者による研究がかなりなされてきているが,意識の無意識への働きかけについては,研究があまりなされてきていない。しかし,後者(意識の無意識への働きかけ)は,精神衛生の分野で非常に大きな重要性を持っており,もし理性的な確信が無意識の領域で(も)いつも働くべきであるとするならば,理解されなければならない。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.5: Fatigue
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA15-050.HTM
6月22日(この頃,夏至)

 私があるかなり難しい話題について書かなければならないとした場合,最良の方法は,その話題について,非常に強烈に,自分に可能なかぎりの最大級の強度(集中力)をもって数時間ないし数日間考え,その期間の最後に,いわば,この作業を地下で続行せよと命令する,というやり方である。何ケ月か経過してから,その話題に意識的に立ち返ってみると,その作業はすでに終わっているのを発見する。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.5: Fatigue
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA15-050.HTM
6月23日(沖縄慰霊の日/オリンピック・デー/1999.6.23 男女共同参画基本法公布)

 多くの夫婦は、自分の'連れ合い'が望んでいる快楽への'妬み’から、自分の快楽の充足を差し控える。自分の快楽を多少利己的に追求することよりも、他人の快楽に反対することの方がはるかに良くない。また、夫婦間に倦怠感が生まれたり、共通の話題がなくなったりすべきでないとしたら、夫婦間にはある程度の'社会的距離'が必要である。

 出典:Marriage, Nov. 13, 1931. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/MARRIAGE.HTM
6月24日(ドレミの日)

 何らかの価値ある仕事を成し遂げる大人は、子供の頃ほとんど'協力的'ではない。一般的に言って、彼らは孤独を愛し、本を抱えて教室の片隅にこっそり移動し、野蛮な仲間(同時代人)の目を逃れることができた時が一番幸せな時であった。芸術家、作家、科学者として傑出した人たちのほとんどは、子供の頃、仲間の嘲笑と軽蔑の的(対象)であり、教師にとっては生徒が風変わりでは扱いにくかったので、残念ながらしばしば、教師も生徒集団(群衆)の味方をする場合が多かった。

 出典:Of co-operation, May 18, 1932. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/KYORYOKU.HTM
6月25日(朝鮮戦争始まる/国際薬物乱用・不正取引防止デー)

 現在では、世界を統一して戦争を全く廃棄してしまうことが、技術的に言って可能だろう。貧困を一掃してしまうことも、技術的に可能だろう。これらのことは、人間が敵の悲惨よりも自分自身の幸福を望むときに実現されるであろう。過去においては、人間の福祉に対する物理的障害があった。現在では、障害は人間の魂の中にのみある。

 出典:Portraits from Memory, 1956, p39.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/SHODA-02.HTM
6月26日(国際連合成立)

(処世訓1)あなたの動機は,必ずしも自分自身で思っているほど'利他的'ではないことを忘れてはいけない。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.8:Persecution mania
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA18-050.HTM
6月27日(ヘレン・ケラー誕生日)

(処世訓3)あなたが自分自身に持つほどの大きな関心を他人もあなたに持つと期待してはならない。(処世訓2は省略)

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.8:Persecution mania
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA18-050.HTM
6月28日(貿易記念日/ベルサイユ講和条約調印())

(処世訓4)大部分の人が,あなたを迫害したいといった特別な欲求を抱いているというほど,あなたのことを考えている,などと想像してはいけない。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.8:Persecution mania
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA18-050.HTM
6月29日(ビートルズ来日記念日)

 なんらか精力的な生活を送っている人間はすべて、他人から見ればまったく非合理に思えるような、強い諸衝動を持っている。盲目的な衝動は、時に破壊や死を招く源であるが、またそれは世界が含みうる最良のものに導く源でもある。つまり盲目的な衝動は、戦争の源泉ではあるが、またそれは科学や芸術、恋愛、といったものの源泉でもある。望ましいのは衝動を弱めることではなく、衝動の方向が死と衰退へ向かうよりは、生命と成長の方向へ向かうである。

 出典:Principles fo Social Reconstrucition, 1916, chapt.1: the principles of growth
 詳細情報:https://russell-j.com/cool/10T-0103.HTM
6月30日(ハーフタイムデー)

 もし人類が生き残るべきであるならば,科学戦争を引き起こす力を最高位の権威のある国家(supreme State)だけに集中してもたせなければならないだろう。しかしこういった考えは人間精神の習性に相容れないものであるため,現在のところ,大多数の人々は人類絶滅の危険をおかす方を好むだろう。これは現代(我々)の最大の危険である。この危機に臨んで世界政府の樹立が間に合うかどうかは,現代における最大の問題である。

 出典:The Autobiography of Bertrand Russell, v.3:1944-1969, chap.1: Return to England.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/AB31-210.HTM

 [7月] Jump to  1月   2月 3月 4月 5月 6月 8月 9月 10月 11月 12月
【7月】

7月1日(童謡の日/ライプニッツ誕生日)

 哲学の素養のない人は,常識,あるいは年齢または国籍による習慣的信念,あるいは慎重な理性の協力または同意なしに自分の心に生い育ってきた確信等に由来する偏見にとらわれて生涯を送る。そのような人にとっては,世界は明確で有限で明白なものとなってしまい易い,ありふれた対象は問題を呼び起こすことなく,未知の可能性は軽蔑的に拒否される。

 出典:The Problems of Philosophy, chap. 15(1912)
 詳細情報:https://russell-j.com/R601.HTM
7月2日(うどんの日)

 哲学は,それが提出する疑問に対して真の答えが何であるかを確実性をもって教えることはできないが,我々の思考を拡大し,習慣の専制から思考を解放する多くの可能性を示唆することはできる。従って,事物が何であるかということについて,我々の確実性の感じを低減させるのではあるが,事物がなんでありうるかという知識は大いに増大させてくれる。

 出典:The Problems of Philosophy, chap. 15(1912)
 詳細情報:https://russell-j.com/R601.HTM
7月3日(通天閣開業記念日)

 若い人たちは,彼らの知っている環境があたかも世の中全体を代表しているかのように思いやすい。彼らは,別な場所や別な集団内においては-まったくのつむじ曲がりと思われるのがこわくて公言する勇気のない物の見方(見解)も-その時代のごくあたりまえのこととして受け入れられる,などということはほとんど信じることができない。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.9:Fear of public opinion.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA19-010.HTM
7月4日(アメリカ独立記念日)

 自分をとりまく環境とうまくいかないのは,もちろん,不幸ではあるが,それは常に,いかなる犠牲を払っても避けなければならない不幸であるわけではない。環境が愚かであったり,偏見にみちていたり,残酷であったりするような場合は,それと同調しないことは,長所(美点)の印である。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.9:Fear of public opinion.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA19-040.HTM
7月5日(江戸切子の日)

 哲学において,倫理的中立性はこれまでめったに追求されず、またほとんど達成されてこなかった。人々は自分たちの望みを思い出し,それと関連させて諸哲学(=哲学者たち)を評価してきた。善悪の観念が世界を理解する鍵を与えてくれるにちがいないという信念は,個別科学の世界から追い出されると,哲学に避難所を求めるようになった。しかし,この最後の避難所からさえも,もしいつまでも哲学が'心地よい夢の集合'であってはならないと考えるならば,この信念は追い出されなければならない。

 出典:Our Knowledge of the External World, 1914, chap. 1
 詳細情報:https://russell-j.com/R601.HTM
7月6日(公認会計士の日)

 幸福は,それを直接追いかける人たちによっては最もよく手に入れられるものではない,とはよく言われることである。,これは,善についても真理であると思われる。ともかく,思想においても,善悪を忘れて事実だけを知ろう求める人たちのほうが,世界を自分の望みという歪んだ媒介物を通して眺める人たちよりも,より善を実現する見込みがありそうである。

 出典:Our Knowledge of the External World, 1914, chap. 1
 詳細情報:https://russell-j.com/R601.HTM
7月7日(七夕/日華事変勃発の日)

 我々の時代において新しいこと(の一つ)は,権力者たち(政府その他大きな権力を持っている人たち)が,自分たちの(様々な)偏見を民衆に押し付けることができる力が増したことである。

 出典:Quoted on Who Said That? BBC TV, Aug. 8, 1958
 詳細情報:なし
7月8日(質屋の日)

 独身(生活)を楽しんだ後、必要な支出の1ペニーまで、他人に頼らなければならないなんて非常に悔しい、と彼女は思う。以上のような理由で、このような女性は、母親になることにつながる道に踏み出すこと(←母性への船出)を躊躇する。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.13:Family
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA24-020.HTM
7月9日(ほおずき市/鴎外忌)

 中国と違い、日本は宗教的な国である。中国人は証明されない限り人の言うことを信用しないが、日本人は嘘と証明されるまで信用する。

 出典:The Problem of China, 1922, p169
 詳細情報:なし
7月10日(納豆の日)

 もしも,ある人が,いったん適切な職業に適切な環境のもとにつけば,たいていの場合,社会的迫害をまぬがれることができるが,しかし一方,彼が若く,彼の長所がまだ証明されていない間は,'自分が何も知らないような事柄についても判断を下す力があると思いこんでいる'無知な人びと'から,いいようにあしらわれやすい。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.9:Fear of public opinion.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA19-040.HTM
7月11日(世界人口デー)

 天才はつねに自分の道を切り開くという,耳に心地よい説があるが,この説に力を得て,若い才能を迫害してもそれほど害にならないと,多くの人が考えている。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.9:Fear of public opinion.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA19-040.HTM
7月12日(ラジオ本放送の日)

 成功への技量を持たぬ人々にも権利はある。そしてこの種の技量の持ち主のみが成功を収める環境において,技量を持たぬ人々が自分たちの権利をいかに確保するかは難しい問題である。自由競争が社会正義の実現のための手段であるという信念を放棄する以外に,この点の解決策はない。

 出典:Success and Failure,Jan. 11th, 1932. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/JIYU-KYO.HTM
7月13日(日本標準時制定記念日)

 19世紀自由主義のスローガン(合言葉)であった'自由競争'は,疑いもなく支持すべき多くの長所を持っていた。'自由競争'は諸国民の富を増大させ,手工業から機械工業への移行を加速した。即ち,人為的不正を取り除き,'才能のある者にキャリア形成の道を開くというナポレオンの理想を実現した。しかしそれは一つの大きな不公平 -即ち才能の不平等性にもとづく大きな不公平を救済しなかった。'自由競争'の世界では,精力的で抜け目のない人間は裕福になり,他方その人の長所が競争的でない種類のものである者は貧乏のままとなる。

 出典:Success and failure, Jan. 11, 1932. In: Mortals and Others, v.1. (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/JIYU-KYO.HTM
7月14日(フランス革命記念日(=パリ祭))

 民主主義理論に推進力を与えたのは,疑いもなく,'ねたみ'の情熱である。ロラン夫人(フランス革命の時のジロンド派指導者の1人)は,しばしば,民衆に対する献身の念から行動した高貴な女性だとされているが,彼女の『回想録』を読んでみると,彼女をあれほど熱烈な民主主義者にしたのは,ある貴族の館を訪れた折に召使い部屋に案内された経験であったことがわかる。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.6: Envy.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA16-010.HTM
7月15日(盂蘭盆)

 世界が安定を回復する以前に行われなければならないことが3つある。その第一は,武装軍隊を独占した世界政府の樹立,第2は,世界全地域の生活水準の向上と平均化,(第3は人口抑制による人口安定あるいはゆるやかな緩増加,が必要である。この3つが達成されるだろうと私は言っているのではない。私が言っているのは,この3つのいずれがが欠けても不安定が生れる,ということである。

 出典:Fact and Fiction, 1961, pt.4,chap.4: Three essentials for a stable world.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/STABLE-W.HTM
7月16日(駅弁記念日)

 子供にとって,'親の愛情'の価値は,大部分,他のいかなる愛情よりも信頼がおけるという事実にある。ある人の友達は,ある人の長所ゆえにその人を好きになる。ある人の恋人は,ある人の魅力ゆえにその人を好きになる。長所や魅力が減れば,友達や恋人は消えていなくなるかもしれない。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.13:Family
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA24-070.HTM
7月17日(まんがの日(イギリスで Punch 創刊))

 若者が年寄りの生き方を--たとえば配偶者をなくした親の再婚に反対するなどして--規制しようとすることは,若い人の生き方を規制しようと企てる年寄り(年輩者)と同じように,まちがっている。年寄りも,若者も,思慮分別のつく年齢に達すれば,自分で選択する権利があり,また必要ならば,自分で間違いを犯す権利だってある。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.9:Fear of public opinion.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA19-050.HTM
7月18日(日本で初めて光化学スモッグ発生)

 一般的に言って、飢えを避け、刑務所に入らないようにするために必要な限りで世論を尊重すべきであるが、それを越えて世論に耳を傾けるのは、'自発的な'無用な暴力への服従であり、あらゆる形で幸福を邪魔する傾向がある。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.9:Fear of public opinion.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA19-060.HTM
7月19日(女性大臣の日)

 センセーショナルな犯罪への世間の一般的興味の理由が何かは,あまりはっきりしないが,私はそれが2つの要素から成ると思う。1つは狩猟(ハント)の喜びであり,もう1つは殺人を犯したいがあえて為しえない人々の,心の中における空想的発散である。

 出典:Interest in crime, Dec. 21, 1932. In: Mortals and Others, v.1, 1975
 詳細情報:https://russell-j.com/CRIME-I.HTM
7月20日(海の日/この頃,土用)

 人間の心中の狩猟(ハント)の快感は,普通に人が承認を尻ごむほど強力な要素であると私は思うし,現にそれは民衆による道徳的憤怒の発散の場合に,必ず一役を買っている。ボルネオの首狩り族の間では,この行動は何ら道徳的ハッタリの必要抜きで承認されるに反して,文明国民は自分の低俗な感情の発散を,高貴な倫理感情の衣裳で包まずには満足に享受しえない。

 出典:Interest in crime, Dec. 21, 1932. In: Mortals and Others, v.1, 1975
 詳細情報:https://russell-j.com/CRIME-I.HTM
7月21日(自然公園の日)

 よく理解できないのは,民主主義諸国がみずから真実を知ることを妨げるための法律(注:「特定秘密保護法」など)を進んで作ろうとすることである。これは,集団的なドン・キホーテ主義である。

 出典:On Education, especially in early childhood, 1926, Pt. 3: Intellectual education, chap.16: Last school years.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/OE16-090.HTM
7月22日(著作権制度の日)

 本来,哲学は,私たちの悩みを解決しようとするものでもなければ,私たちの魂を救おうとするものでもない。哲学とは,ギリシヤ人が言っているように,(他の目的のためでなく)そのもののために行われる,一種の冒険的な観光旅行である。

 出典:Wisdom of the West, 1959, prologue.
 詳細情報:https://russell-j.com/cool/55T-PROL01.HTM
7月23日(ふみの日/この頃,大暑)

 中国から戻った時,私には金を稼ぐはっきりした手段をまったく持っていなかった。それで,当初は,かなり心配でならなかった。臨時の新聞雑誌関係の(ジャーナリスティックな)仕事は,どのようなものでも引き受けた。息子のジョンが生まれようとしていた頃,中国人の娯楽としての花火大会に関する記事を一つ書いたが,そのような状況において,(そういった)まったくかけ離れた話題に精神を集中することは困難であった。

 出典:The Autobiography of Bertrand Russell, v.2 chap. 4: Second Marriage, 1968
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/AB24-030.HTM
7月24日(土用丑の日)

 しかし、世論に'本当に'無関心であることは、一つの力であり、同時に幸福の源泉でもある。そして、因習に過度に屈しない男女からなる社会は、誰もが同じようにふるまう社会よりもずっと面白い社会である。各人の個性がそれぞれ伸ばされているところでは、(個性の)タイプの違いが保存されており--彼らは、これまでに出会った人びとの単なるレプリカ(複製物)ではないので--、新しい人々に会うだけの価値がある。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.9:Fear of public opinion.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA19-060.HTM
7月25日(スティーヴンソン,蒸気機関車発明)

 幸福は、同じような好みや同じような意見を持った人たちとの交際によって増進される。社交は、ますますこの線に沿って発展することが期待され、そうして、こうした方法により、現在、非常に多くの因習にとらわれない人たちを苦しめている孤独感は、しだいにほとんど消滅する位に減少することが期待される。これにより、彼らの幸福は増すだろうが、因習的な人たちが、現在、因習にとらわれない人たちを左右することで得ている、'加虐的な快楽'をもちろん減少させるだろう。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.9:Fear of public opinion.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA19-060.HTM
7月26日(ポツダム宣言の日)

 超大国(強国)は,今のところ,その気になればいつでも,他の(弱小の)国々の成員を殺す特権を持っている。この自由(人を殺す特権)は,正義と公正を守るために死ぬ英雄的特権として偽装させられている。愛国者は,国(祖国)のために死ぬとは言うが,国(祖国)のために外国人を殺すとは言わない。

 出典:Has Man a Future?, G. Allen & Unwin, 1962, p.84.
 詳細情報:なし
7月27日(スイカの日)

(第一次大戦時)(第一に)真理を愛するものとして,全交戦国の(自国本位の)国家宣伝にむかむかさせられた。(第二に)文明を愛するものとして,野蛮への復帰にぞっとさせられた。(第三に)若者たちに対する親としての感情を損なわれたものとして,青年に対する大虐殺に心を苦しめた。大戦に反対しても,自分にとって利益になることはほとんど出てこないだろうと思ったが,人間性の名誉のために,少なくとも足下をすくわれていない人々は,しっかりと(自分の足で)立っていることを示すべきであると思った。

 出典:The Autobiography of Bertrand Russell, v.2 chap. 1:The First War, 1968]
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/AB21-050.HTM
7月28日(第一次世界大戦始まる(1914)/乱歩忌)

 戦争(第一次世界大戦)がもたらす惨禍の予想で,私は,恐怖でいっぱいになった。しかし,私をより恐怖で満たしたのは,戦争による大虐殺の予想は,英国民のほぼ90パーセントにとって,快いものであるという事実であった。

 出典: The Autobiography of Bertrand Russell, v.2 chap. 1:The First War, 1968
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/AB21-040.HTM
7月29日(アマチュア無線の日)

(第一次世界大戦勃発の時,)知識人というものはしばしば真理を愛するものと想像していたが,人気よりも真理の方を選ぶものはその一割にも満たないことがわかった。

 出典:The Autobiography of Bertrand Russell, v.2 chap. 1:The First War, 1968]
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/AB21-040.HTM
7月30日(1894年,北里柴三郎,ペスト菌発見/「大正」改元の日)

 収入が変動しなければ、人間は金銭についてあまり考えないだろうし、社会的地位が変らなければ家柄を鼻にかける俗物などにならないだろうし、自国の偉大さが(他国から見ても)議論の余地がなければ、熱狂的な愛国者にならないであろう。

 出典:Hope and fear, Oct. 7, 1931. In: Mortals and Others, v.1, 1975
 詳細情報:https://russell-j.com/HOPEFEAR.HTM
7月31日(米ソ戦略兵器削減条約調印)

 寛容さを増す最善の方法は,真の幸福を享受し,仲間の人間に苦痛を与えることを主な楽しみとしない個人の数を増やすことである。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.9:Fear of public opinion
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA19-070.HTM
[8月]
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【8月】

8月1日(第一次世界大戦はじまる/観光の日)

 高潔な人たちが,自分は正当にも「道徳的な悪」を懲らしめているのだと思いこんで行ってきた'戦争'や'拷問'や'虐待'のことを考えると,私は身震いする。

 出典:On Education, especially in early childhood, 1926, chap. 1:Postulates of modern educational theory.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/OE01-110.HTM
8月2日(学制発布記念日/シベリア出兵を宣言(1918))

 真の美徳は,力強く、真実から目をそらさぬものであって,きれい事だらけの空想ではない。われわれは教職に就く者にさまざまな制限を設けてきたので,今日教職を仕事として選ぶ男女は,たいてい現実との接触を恐れる人々に限られてしまったが,われわれがこのような政策をとる理由は,自分たち大人には現実との接触が有益だったことが分っているのに,子供が現実と接触することが良いと思う勇気ある人が少ないからである。

 出典:Does education do harm? , Feb. 17, 1932. In: Mortals and Others, v.1, 1975.
 詳細情報:https://russell-j.com/EDU-HARM.HTM
8月3日(学制発布記念日(1872))

 協力は,一つの理想としては欠点がある。自分ひとりのためではなく,社会とともに生きることは正しい。しかし,社会のために生きるということは,社会(一般)がやることと同じことを自分も行うということを意味しない。たとえばあなたが劇場にいて,火災がおこり,観客が出口に向かって殺到したとしてみよう。いわゆる''協力 '(の美徳)以上の道徳観を持ち介わせない人は,群衆に抵抗することを可能とするような気迫を持たないために,群集と一緒になって逃げるだろう。戦争に乗り出す国民の心理(状態)は,すべての点でこれと同じである。

 出典:Of co-operation, May 18, 1932. In: Mortals and Others, v.1, 1975
 詳細情報:https://russell-j.com/KYORYOKU.HTM
8月4日(箸の日)

 フランス革命期の,恐怖政治が終った時,政治家で生き残ったのは,斬首されないようにすばやく意見を変えた,抜け目のない臆病者だけだった。その結果,政治家の中に将軍たちの秩序を保つ勇気のある人物はまったくいなくなり,軍部の栄光が二十年間続くこととなっ た。

 出典:The advantages of cowardice, Nov. 2, 1931. In: Mortals and Others, v.1, 1975.
 詳細情報:https://russell-j.com/COWARD.HTM
8月5日(世界ビール・デー)

 組織が存在するところではどこでも,勇気よりも'臆病であること'の方が(のし上がっていくためには)より有利であることが見いだされるだろう。会社(企業),学校,精神病院等の長になる人たちの十中八九は,独自の判断力を持ち率直に自分の考えを言う人間よりも,従順な胡麻すりを好むだろう。政治の世界では,党の綱領を信奉すると公言し,指導者たちにお世辞を言う必要がある。

 出典:The advantages of cowardice, Nov. 2, 1931. In: Mortals and Others, v.1, 1975.
 詳細情報:https://russell-j.com/COWARD.HTM
8月6日(広島に原子爆弾投下)

 アインシュタインのような人物が戦争に関する自明な真理を世間に向かって言っているのに世間は耳をかさない。アインシュタインの言うことが難しくて理解できないかぎりは,彼は賢明な人物だと考えられるが,彼がすべての人が理解できることを述べると彼の知恵はもう底をついたと考えられる。この種の愚行において,各国政府は指導的役割を果たす。政治家は政権にしがみついていたいために,自国を破滅に導いても構わないと考えるらしい。これ以上の邪悪さは容易に想像できない。

 出典:Do governments desire war? , Aug. 24, 1931. In: Mortals and Others, v.1, 1975.
 詳細情報:https://russell-j.com/DESIRE-W.HTM
8月7日(鼻の日/仙台七夕まつり)

 達成の喜びを得るためには,'最後には通例達成されるにしても,事前には,成功は疑わしいと思うような困難が存在する'必要がある。これは,多分,なぜ過度にならない程度に自分の能力を高く評価することが幸福の一つの源であるとかという理由のなかの,主なもの(理由)である。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.10:Is Happiness still possible?
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA21-010.HTM
8月8日(この頃,立秋/そろばんの日/笑いの日(ハッハッハ))

 自分を過小評価する人は,成功するといつも驚くが,これに対し,自已を過大評価する人は,失敗するといつも驚く。前者の場合の驚きは愉快であるが,後者の場合は不愉快である。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.10:Is Happiness still possible?
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA21-010.HTM
8月9日(長崎に原爆投下)

 我々の本能には残酷さが潜んでおり、狂信は残酷さをかくすカモフラージュである。狂信主義者はめったに心から人間的であることはなく,残酷さを心から恐れる人はなかなか狂信的な信条を抱かないであろう。

 出典:The Practice and Theory of Bolshevism, 1920, chap.1:What is hoped from Bolshevism,
 詳細情報:https://russell-j.com/cool/15T-1011.HTM
8月10日(道の日)

 権力のいいなりになる者(従順な人間)は,思想と行動の両面において進取の気性を失う。さらに,出鼻をくじかれているという感情によって引き起こされる怒りから,自分より弱い者をいじめることにはけ口を見つけがちである。これが圧政的な慣例がいつまでも続いている理由である。

 出典:In Praise of Idleness, 1935, chap. 12: Education and Discipline
 詳細情報:https://russell-j.com/cool/32T-1201.HTM
8月11日(吉川英治生まれる)

 歴史や社会学を学んでみると,世の中にもっとも害悪を流す者は刑務所に入れられる罪人ではなくて,銅像となって馬上で雄姿を見せる種類の人物であると知って誰もが愕然とするにちがいない。

 出典:Are criminals worse than other people? , Oct. 29, 1931. In: Mortals and Others, v.1, 1975
 詳細情報:https://russell-j.com/CRIMINAL.HTM
8月12日(日、英、米、仏、シベリア出兵/日中平和友好条約調印日)

 個人的な交際においては常に非常に思いやりのある人も、戦争を扇動したり、「後進国」の子供たちを虐待することによって、収入を得ているかもしれない。このようなお馴染みの現象はすべて、大部分の人は単なる抽象的な刺激では共感(同情)をかきたてられない、という事実によっている。

 出典:On Education, especially in early childhood, 1926, chap. 2: The Aims of Education
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/OE02-170.HTM
8月13日(左利きの日)

 政治的指導者たちの大部分は,自分たちは利他的欲求のために行動していると多くの人々を信じ込ませてその地位を得ている。そのような信念も,興奮の影響下では一層容易に受け容れられることはよく理解できる。ブラスバンド,集団祈祷,私刑(リンチ)の執行,そして戦争(注:オリンピックの招致,国会議員団による靖国集団参拝,マスコミによる集団リンチ,仮想敵国による国土侵略の恐怖,その他)と,段階を追って興奮は高まる。不合理を唱道する者たちは,どうやら,大衆を興奮状態においておけば,自分たちに都合のよいように彼らをだますずっと良い機会がでてくる,と思っているようである。

 出典:Human Society in Ethics and Politics, 1954, Preface.
 詳細情報:https://russell-j.com/cool/47T-PREF-02.HTM
8月14日(札幌農学校開校(1876年)/御前会議でポツダム宣言受諾)

 大衆ヒステリアは,人間だけに限られていない現象である。それはいかなる群居性の種族にも見られるであろう。わたくしはかつて中央アフリカの野生の象の大群が,はじめて飛行機を見て,みな激しい集団的恐慌の状態におちいっている写真をみたことがある。象はたいがいの場合,落ち着いた賢い動物である。しかしこの前古未曽有の,騒々しい未知の空の動物という現象は,群れ全体を完全にあわてさせたのである。すべての象はそれぞれ,みな恐怖にとらえられた。そして一匹一匹の恐怖は他の象に伝わり,ひどく増大した恐慌を引き起こした。しかしながら,彼らのなかにはジャーナリストはいなかったので,その恐怖は飛行機が見えなくなったとき消滅した。

 出典:To Face Danger without Hysteria .In: New York Times Magazine, 21 Jan. 1951.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/KAMI-43.HTM
8月15日(終戦(敗戦)記念日)

 戦争を回避するための(組織的な)方法を発見することは,我々の文明にとって必須である。しかし,人びとが不幸なあまりに,日中(の光)のまぶしさを耐え続けるよりも(現実を直視し耐え続けるより),'相互殺戮'のほうが恐ろしくないと思われるうちは,戦争を回避するための(組織的な)方法を発見する機会はない。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.1:What makes people unhappy?
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA11-020.HTM
8月16日(京都・大文字送り火)

 (一時的な)流行追求や趣味は,多くの場合,多分大部分,根本的な幸福の源泉ではなく,現実からの逃避のための手段になっている。即ち,直視するには大きすぎる苦痛を当面の間忘れるための手段になっている。根本的な幸福は,ほかの何にもまして,人(間)や事物に対する'友好的'な関心とも言うべきものに依存しているのである。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.10:Is Happiness still possible?
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA21-060.HTM
8月17日(フェルマーの誕生日)

 人に対する友好的な関心は,深い愛情のひとつの形であるが,欲深で所有欲が強く常に強い反応を求める形はそうではない。後者は,しばしば不幸の源泉となる。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.10:Is Happiness still possible?
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA21-070.HTM
8月18日(太閤忌 (辞世の句:「露と落ち 露と消えにし 我が身かな 浪速のことは 夢のまた夢」)

 幸福に寄与するものは,人びとを観察することを好み,個々人の特徴に喜びを見いだす種類のものであり,(また)接触するようになった人びとの興味や楽しみのための機会を与えたいと願い,その人たちに対する影響力を獲得したいとか,その人たちの情熱的な称賛を得たいとかいうことは願わない種類のものである。他人に対して真にこうした態度をとれる人は,(他人にとっての)幸福の源泉になるだろうし,またお返しの親切の受け手になるだろう。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.10:Is Happiness still possible?
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA21-070.HTM
8月19日(ドイツ飛行船ツェッペリン号来日)

 肉体的な危険以外の事柄について勇気のある男性は,それがどのような事柄であれ,良くは思われない。たとえば,世論を無視することは,一つの挑発(行為)とみなされ,その権威をあえて馬鹿にした人を,世間は,あらゆる手段をつくして罰しようとする。これらはすべて,あるべき姿にまったく反することである。  (しかし)男女を問わず,あらゆる形の勇気は,軍人において肉体的な勇気が称賛されるのと同様に,称賛されなければならない。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.5: Fatigue.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA15-070.HTM
8月20日(NHK創立記念日(1926))

 戦争,虐殺,迫害は,すべて退屈からの逃避の一部(→逃避から生まれたもの)であり,隣人とのけんかさえ,何もないよりはましだと感じられてきた。それゆえ退屈は,人類の罪の少なくとも半分は退屈を恐れることに起因していることから,モラリスト(道徳家)にとってきわめて重要な問題である。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap. 4: boredom and excitement.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA14-030.HTM
8月21日(生麦事件起こる/献血記念日)

 国家主義的な型の愛国心は,学校教育で教えられなければならない型の愛国心とはかけ離れたものであり,人々が不幸にして陥りやすい集団ヒステリーの一形態だと言わなければならない。また,そのような愛国心(教育)に対し,知的にも道徳的に防備を固めなければならない。国家主義は疑いもなく現代の最も恐ろしい害悪である。

 出典:Education and the Social Order, 1932, chap. 10:Patriotism in Education.
 詳細情報:なし
8月22日(藤村忌)

 いかなる国も例外なく悪いことをやってきたし,その大部分は馬鹿げた過ちであったことを,子供たちに教えなければなりません。集団がヒステリックに興奮すると,どんなふうに国民全体を愚劣な行動に追いこんだりするか,また,波及する気狂い状態にも押し流されずに毅然たる態度をとる少数者をどのように迫害するか子供たちに教えるべきです。

 出典:What is Democracy?, 1953.
 詳細情報:なし
8月23日(奴隷貿易とその廃止を記念する国際デー)

 文明化された人々の間では,画一性を強制したいというこの盲目的衝動は,次第に弱まっていきます。しかし,多くの人は決して文明化されず,生涯,小中学生の持つ,粗野な迫害本能を保持し続けます。もし政治的自由が存在すべきであるならば,この迫害したいという感情を,法律のなかに具現化してはいけません。

 出典:What is Freedom?, 1952.
 詳細情報:https://russell-j.com/cool/0984_what_is_freedom/htm
8月24日(ポンペイ最期の日)

 義務感は,仕事においては有用であるが,人間関係においてはいやなものである。人は,他人に好かれることは望むが,我慢強いあきらめをもって耐えてもらうことは望まない。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.10:Is Happiness still possible?
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA21-070.HTM
8月25日(川柳発祥の日)

 多くの人びとを無意識かつ努力しないで好きになれることは,おそらく個人の幸福のあらゆる源泉のなかで最大のものであろう。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.10:Is Happiness still possible?
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA21-070.HTM
8月26日(人権宣言の日)

 私は自分が一夫多妻制に賛成していると思われたくありません。しかし,自由の愛好者であるかどうか調べる正真正銘のテストは,その人が嫌う物事についてその人が示す態度との関係を見ることにあります。自分の好きなことに対して寛容であることは容易です。自由主義的な態度を特徴づけるものは,自分の嫌う物事に対して寛容であることです。

 出典:What is Freedom?, 1952.
 詳細情報:https://russell-j.com/cool/0984_what_is_freedom/htm
8月27日(宮沢賢治誕生日/寅さんの日)

 'ねたみ'が、異なる階級、異なる国家、また異なる性の間に、'公正・公平'をもたらす主な動因になっていることは事実であるが、同時に、ねたみの結果として期待される'公正・公平'は、最悪の種類のものになりがちであることも、また事実である。つまり,'公正・公平'といっても、不幸な人たちの楽しみを増すよりも、むしろ、幸運な人たちの楽しみを減らすようなものになりがちである。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap. 6: Envy.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA16-070.HTM
8月28日(ゲーテ誕生日)

 しかし,残酷と搾取によって財産を獲得した人は,たとえ規則的に教会に行き,不正に獲得した収入の一部を公共的な目的(対象)に寄付したとしても,"不道徳な人間"と見なされなくてはならない。

 出典:The Harm That Good Men Do,1926
 詳細情報:https://russell-j.com/0393HGMD.HTM
8月29日(文化財保護法制定記念日)

 けれども,世の中には,女を憎むもっと複雑な別のタイプの男がいる。それは,ドンファン・タイプの男(Don Juan type)である。彼は絶えず女性の中に理想(像)を追い求め,失敗し,相手の女に欠点を見つけるやいなや,その傷ついた偶像を捨ててしまう。正直に言って,私はこのタイプの男に我慢がならない。

 出典:Our woman haters, May 25, 1932. In: Mortals and Others, v.1, 1975
 詳細情報:https://russell-j.com/HATE-W.HTM
8月30日(マッカーサー進駐記念日(1945))

 あまりに多くを求めることは,入手可能なものよりも少ないものしか得られない(得られるものも得られなくなる)一番確実な方法である。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.10:Is Happiness still possible?
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA21-080.HTM
8月31日(野菜の日)

 幸福の秘訣は,こうである。あなたの興味・関心をできるかぎり幅広くしなさい。そうして,あなたの興味・関心をひく'事物'や'人'に対する反応を敵意あるものではなく,できるかぎり友好的なものにしなさい,と。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.10:Is Happiness still possible?
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA21-080.HTM
[9月]
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【9月】

9月1日(関東大震災の日=防災の日/第二次世界大戦始まる/1939年)

 現代教育の最悪の欠陥の一つは,(現代教育の)現実への無関心である。私は,'現実'という言葉で,深遠なものも,形而上学的(哲学的)なものも意味しようとしているのではない,'ありのままの事実'のことを言っているにすぎない。世界のあらゆる不愉快な側面から恐怖のあまり'目をそむける'習慣は危険であり,ある種の浅薄な弱さの現れにほかならない。

 出典:On Protecting Children from Reality,Oct. 5, 1933. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/CHILD-P.HTM
9月2日(VJデー:ミズリー号上で無条件降伏文書に調印)

 イーザリー(広島への原爆投下の信号を送った米航空兵)は,後悔したために,精神に異常があると証明された。(これに対し),トルーマン(大統領)は後悔しなかったので,精神に異常があるとは証明されなかった。私は,彼の動機を説明するかなり多数のイーザリーの声明文を読んできた。これらの声明文は,全く正常なものである。しかし,私自身を含めて,ほとんどすべての者が彼は気が狂ってしまったと信じたほど,虚偽の宣伝の力は大きかった。

 出典:Has Man a Future?, 1961, chap.4.
 詳細情報:https://russell-j.com/cool/58T-0401.HTM
9月3日(ドラえもん誕生日)

 教師は,子供を国家や教会よりも愛さなければならない。さもなければ,理想的な教師とはいえない。

 出典:On Education, especially in early childhood, 1926, chap. 2: The Aims of Education
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/OE02-080.HTM
9月4日(伊能忠敬「大日本沿海輿地全図」を完成)

 戦時における勇気は、大昔から重要な美徳として認められてきた。そして、'青少年の訓練'の大部分は、戦闘において大胆不敵でいられるタイプの性格を作りあげることに捧げられてきた。しかし、'道徳的な勇気'や'知的な勇気'については、これまで研究されることがずっと少なかった。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap. 17: Th Happy Man.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA28-020.HTM
9月5日(国民栄誉賞の日)

 もし悪魔と堕天使(Beelzebub::サタンの次の悪魔)が党公認の候補に指名され、大天使ガブリエル(Archangel Gabrel)が無所属で立候補するならば、ガブリエルに当選の見込みはない。これはどうしてだろうか。不思議だと思うかもしれないが、それが現実である。

 出典:On politician, Dec. 16, 1931. In: Mortals and Others, v.1, 1975
 詳細情報:https://russell-j.com/POLITICI.HTM
9月6日(メイ・フラワー号,イギリスを出帆)

 地球と火星の間に楕円形の軌道にのって回転している中国製の陶器製のティーポットがないとは誰も証明することができませんが,だからといって,そういうものがあるということが,実際に十分に計算に入れられるべきだなどとは誰も考えません。私は,キリスト教の神も,ちょうどこれと同じように実在しそうもないと考えます。

 出典:Dear Bertrand Russell, 1969.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/AGNOSTIC.HTM
9月7日(国際青年デー)

 人は,関心を寄せるものが多ければ多いほど,よりいっそう幸福になる機会が多くなり,また,ますます運命に左右されることが少なくなる。その理由は,何か一つを失っても,別のものを頼る(別のものに撤退する)ことができるからである。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.11:Zest
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA22-010.HTM
9月8日(「明治」改元の日/サンフランシスコ平和条約調印記念日)

 ありとあらゆる事柄に興味を持つには,人生は短かすぎる。しかし,日々(生涯)を満たすに足るだけ多くのものに興味を持つことは,良いことである。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.11:Zest
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA22-010.HTM
9月9日(救急の日)

 私たちはみな,'内向性'という病気にかかりやすい。内向的な人間は,世界の多彩なスペクタクルが目前に繰り広げられていても,顔をそむけ,心の中の空虚のみを凝視する。しかし,内向的な人間の不幸に何か偉大なものがあるなどと,想像しないことにしよう。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.13:The family
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA22-010.HTM
9月10日(世界自殺予防デー)

 科学は,遠隔地の人びとの生活に対する私たち(現代人・人間)の影響力を非常に増大させたが,その人たちに対する私たちの共感(力)を増大させなかった。

 出典:On Education, especially in early childhood, 1926, chap. 2 The Aims of Education
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/OE02-170.HTM
9月11日(9.11テロ(米国世界貿易センタービル爆破))

 ポルトガルは別として,西欧諸国全体を通して,'神学上の迷信'はアメリカよりも少ない(例:アメリカのキリスト教原理主義者,ダーウィンの進化論を信ぜずに神による創造を信じる人々,その他)。ほとんど全てのヨーロッパ諸国では,アメリカほど個人が集団に支配されることはない(大衆化社会)。即ち,政治的な自由が(アメリカより)少ないところでさえ,個人の精神的な自由はアメリカよりも大きい。

 出典:On Education, especially in early childhood, 1926, chap. 2: The Aims of Education
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/OE02-080.HTM
9月12日(新橋-横浜間に鉄道開通/宇宙の日)

 罪の意識に苦しんでいる人は,特殊な形の'自已愛'に苦しんでいる。彼にとって、この広大な全宇宙の中で,最も重要だと思われることは自分自身が'道徳的'であるということである。このような特殊な自己没入を奨励してきたのは,一部の'伝統的宗教'の重大な欠点である。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap. 17: Th Happy Man.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA28-010.HTM
9月13日(世界の法の日)

戦争には反対であるが,各国政府が紛争時において自己の立場の'最終的判定者'である現在のシステムに賛成であるという意見には,いかなる'論理の見せかけ'すらないことは確かである。もしも戦争が永久に廃絶されるべきであるならば,抵抗できない軍事力を備えた国際的な政府の樹立以外には不可能であろう。そして戦争の絶滅なしでは,文明は存続しえない。論理的推論力よりも愛国的感情の方が強い人にとっては,これは苦しいジレンマであるが,戦争廃絶の必要性が知的に理解されなければ,事態の進展によって,悲惨に立証されるであろう。

 出典:Right and Might (written in early of 1930s and pub. in 1975 in Mortals and Others, v.1, 1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/SEIGI.HTM
9月14日(石油輸出国機構発足)

 幸福とは,非常に稀な場合を除いて,'熟した果実'のように,単なる幸運な事情(状況)の働きだけで,口の中に落ちてくるようなものではない。これが,本書を『幸福の獲得』(The Conquest of Happiness いわゆる『ラッセル幸福論』)と私が名づけた理由である。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap. 16: Effort and Resignation.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA27-010.HTM
9月15日(敬老の日/関が原の戦い/リーマンショック)

 だが私は,第一次世界大戦が勃発した時のことをはっきり覚えている。その時の世間の人の気分(心理状態)は,まさにひどい霧に見舞われた時と同じであり,おたがい浮かれ騒ぎ,はしゃぎ合う気分(心理状態)であった。大戦勃発直後の何日かは,せまり来る恐怖を予想して悲しんだ人はほとんどいなかった。気楽な自信が,戦争関係国全てにおいて,時代の風潮であった。

 出典:Why we enjoy mishaps, Feb. 10, 1932. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/MISHAPS.HTM
9月16日(竹久夢二誕生日)

 読書を楽しむ人は,そうでない人よりも,なおいっそう優れている。なぜなら,読書の機会は,フットボールを観戦する機会よりもずっと多いからである。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.11:Zest
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA22-010.HTM
9月17日( )

 精神は、不思議な機械であり、提供された原料(材料)をまったく驚くべきやり方で組み合わせることができるが、外界からの原料がなければ無力である。また(精神は)、ソーセージ製造機と違って、精神は、自力で原料を確保しなければならない。なぜなら、種々の出来事(諸事象)は、私たちがそれらに対して興味を持つことによってのみ経験となるからである。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.11:Zest
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA22-020.HTM
9月18日(満州事変始まる)

 異なった国家政府間の関係が(国際)法によって規制されなければ,即ち,それが人類の一部にどれほど不人気であっても,いかなる国家政府より強力であり,自らの決定を強制できる力で規制されなければ,世界の永続的な平和を望むのは無益である。

 出典:Right and Might (written in early of 1930s and pub. in 1975 in Mortals and Others, v.1, 1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/SEIGI.HTM
9月19日(苗字制定の日)

 以前は、感覚や感覚の上に築かれた思想をひとつの牢獄と考え、感覚から解放された思考によってのみ,我々はそこから脱出しうる、と常に考えていた。今ではそうは感じない。感覚と、感覚の上に築かれた思想とを、牢獄の格子としてではなく、窓として考える。我々は、いかに不完全であったとしても、ライプニッツの単子のように世界を映しうる、と私は考える。そして、物を歪めない鏡となることにできるかぎり努めることが哲学者の義務である、と考える。

 出典:My Philosphical Development, 1959.
 詳細情報:https://russell-j.com/cool/54T-1701.HTM
9月20日(空の日)

 我々(人間)の本性そのもののゆえに避けがたい歪みをはっきり認めることも、また哲学者の義務である。そういう歪みのうち最も根本的なものほ、我々が世界をここといま(時空)の見地から見て、有神論者が神に帰するような広い公平さで見るのではない、ということである。そういう公平な見方に達することは我々には不可能であるが、それに向って一定の距離を旅することは我々にもできる。そしてこの目標へ向かっての道を示すことは,哲学者の最高の義務なのである。

 出典:My Philosphical Development, 1959.
 詳細情報:https://russell-j.com/cool/54T-1701.HTM
9月21日(21~30:秋の全国交通安全週間)

 人はなぜ事実を認めたがらないか,またなぜ人は自分たちを'神話の温かい衣'にくるみたがるか,その理由は,主に恐怖(心)である。しかし,イバラ(のとげ)が'温かい衣'を引き裂き,'冷たい突風'が(衣の)'裂け目'から侵入してくる。そうして,'神話の衣'の温かさに慣れた人は,最初から冷たい風に対して自己を鍛えてきた人よりも,風の冷たさにずっと苦しむ。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap. 17: Th Happy Man.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA28-010.HTM
9月22日(国際ビーチクリーンアップデー)

(現代の)人間が常に動き回る習慣は,大きな価値を持つある種のものを壊しつつある。楽しみとしての読書の習慣は死に絶えつつある。特に新刊本以外の古い本についてはそうである。現在では,農業に従事している人々のみが,一年中その土地から離れないことから生れる郷土の四季に関する知識や郷土の細部の事物に対する親密な愛情を持っている。これにより,昔の詩歌やそれを生み出した感じ方は消え去りつつある。

 出典:On locomotion, Mar. 11, 1932. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/IDO.HTM
9月23日(動物愛護デー/この頃,秋分の日)

 (親)猫は子猫にネズミを捕えておもちゃにすることを教えるが,軍国主義者も人間の若者たちに対して同じようなことをやっている。(親)猫は子猫を愛するが,ネズミは愛さない。軍国主義者は自分の息子を愛するかもしれないが,自国(母国)の敵の息子は愛さない。

 出典:On Education, especially in early childhood, 1926, chap. 2: The Aims of Education
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/OE02-100.HTM
9月24日(一橋大学創立記念日)

 ヨーロッパにおいては,ある国が別の国よりも明らかに優れているということはない。従って,(ヨーロッパにおいては,)旅行は,人間の視野を拡大し,共感する力を強め,人類についての知識を増やすという効果を有すると言ってよいだろう。この効果は,彼らが訪ずれる外国の住民との間に重要な関係を持たらす仕事をするために旅行する人たちに対しては生ずるが,単に旅行のために旅行する人たちに対しては生じない。

 出典:On locomotion, Mar. 11, 1932. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/IDO.HTM
9月25日(魯迅誕生日/10円カレーの日)

 何がその人の興味・関心を起こさせるか,事前に推測することはできないが,大部分の人は,何らかのものに強い興味を持つことができるし,いったんそういう興味が呼び起こされれば,その人たちの人生は退屈から解放される。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.11: Zest
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA22-040.HTM
9月26日(洞爺丸沈没の日(1954年,1183人死亡))

 しかし,非常に'特殊化された興味'は,人生に対する一般的な熱意ほどには幸福の満足すべき源泉にならない。なぜなら,そういった興味で,ある人の時間のすべてを満たすことは可能ではなく,また,彼の趣味となった特定の事柄について知るべきことはすべて知り尽くしてしまう,という危険が常にあるからである。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.11: Zest
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA22-040.HTM
9月27日(世界観光の日)

 愛が(対象を)理解する鍵であると説く人もいるが,その理解が'科学的理解'のことであれば,この言葉は正しいと私は思わない。けれども,憎悪を物事の理解への鍵と見直すのは,さらに非科学的であろう。すべての感情は,理解しようとする対象について好意的であろうと悪意をもっていようと,必ず判断をゆがめる。

 出典:As others see us, Mar. 23, 1932. In: Mortals and Others, v.1, 1975.
 詳細情報:https://russell-j.com/AS-O-SEE.HTM
9月28日(パソコン記念日)

 一般的にいって,我々は他人の行動について,その人を愛したり憎んだりしたりしていない限り,余り興味を持たない。他人に興味を持たなければ,あえて他人に関する知識を求めようとはしない。だが愛したり憎んだりする限り,我々が他人について得る情報は,間違えやすくなる傾向がある。このことは特に,他国に対する知識についても言える。

 出典:As others see us, Mar. 23, 1932. In: Mortals and Others, v.1, 1975.
 詳細情報:https://russell-j.com/AS-O-SEE.HTM
9月29日(日中国交正常化の日(1972))

 たとえば,ほとんどのアメリカ人は,ラトヴィアを好悪の感情なく見る。その結果,アメリカ人はラトヴィアについては何一つ知らないということになる。もしもアメリカ人がある国を好きになったり,嫌いになったりすれば,自国アメリカの新聞は,事情しだいで(場合に応じて),その国に関する好意的なあるいは悪意のある情報を国民に提供するので,アメリカ人のその国に対する偏見は,大量の知識らしいものによって,しだいに強められるようになるだろう。

 出典:As others see us, Mar. 23, 1932. In: Mortals and Others, v.1, 1975
 詳細情報:https://russell-j.com/AS-O-SEE.HTM
9月30日(世界翻訳の日(International Translation Day))

 他人との困難な交渉に慣れている人間は,相手の虚栄心に対する,いやむしろ各種の偏見に対する思いやりを体得するが,誠実さを第一と考える者にはそれは非常に不愉快なものである。

 出典:On tact, Feb. 1, 1933. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/TACT.HTM
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【10月】

10月1日(衣替え/法の日/都民の日/中華人民共和国樹立)

 最良の生活とは、創造的衝動が最大限に発揮され、所有衝動が最小限に現れる生活である。

 出典:Political Ideals, 1917, chap. 1.
 詳細情報:https://russell-j.com/cool/index.html
10月2日(世界翻訳の日(International Translation Day))

 善い生活においては,諸活動の間にバランスがなければならず,そうした諸活動は,どれ1つとして,その他の活動が不可能になるまで押し進められてはならない。'大食漢'(暴飲暴食をする人)は,食べる楽しみのためにその他の楽しみをすべて犠牲にし,そうすることによって,彼の人生の幸福の総量を減らしている。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.11:Zest
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA22-050.HTM
10月3日(登山の日/東西ドイツ統一の日)

 1つの欲望が度を越し,他の全ての欲望を犠牲にする人は,通常,根深い'心配事(や悩み)'をかかえていて,'恐ろしいもの'から逃れようとしている人である。アルコール依存症の場合,これは明白である。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.11:Zest
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA22-060.HTM
10月4日(陶器の日)

 相互的な愛情'が開花することに対する'心理的・社会的な障害'は、重大な害悪であり、それによって、世界はいつも苦しんできたし、いまなお苦しんでいる。人びとは、与える相手を間違うかもしれないという恐れから、なかなか相手をほめようとはしない。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.12: Affection
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA23-090.HTM
10月5日(時刻表の日)

 私は,時々批評家から,私は真実の歴史を書かず,書こうと恣意的に選んだ(歴史上の)出来事に偏った説明を加えている,といって非難された。しかし私の考えでは,何らの先入観(偏見)をもっていない人間は -もしかりにほんとうにそのような人間が存在するとして- 興味深い歴史など書くことができないだろう。私は,先入観(偏見)がないふりすることは,単なる'ごまかし'にすぎないと考える。さらにいえば,本というものは,他のいかなる著作同様,そのよって立つ観点とともに,考えられるべきものである。これが,多数の著者による論文集が,一人の著者の本よりも,'1つの統一体'としてより面白みのないものになりがちな理由である。

 出典:The Autobiography of Bertrand Russell, v.2 chap. 6: America, 1968
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/AB26-080.HTM
10月6日(国際協力の日)

 私は,先入観(偏見)を持たない人間は存在しないと思っているので,大規模の歴史と取り組むにあたってなしうる最善のことは,まず人間の先入観(偏見)を認めた上で,不満な読者のためには反対の先入観(偏見)を表明している他の著者を探してやることである,と考える。どちらの先入観(偏見)がより真実に近いかは,後世にゆだねなければならない。歴史(書)執筆に関するこのような観点から,私は『西洋の知恵』よりも『西洋哲学史』(注:両方ともラッセルの著作)の方を好む。

 出典:The Autobiography of Bertrand Russell, v.2 chap. 6: America, 1968
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/AB26-080.HTM
10月7日(長崎おくんち/ミステリー記念日)

 貴族主義的な道徳律を満足させる(だけの)恐怖に対する単なる外面的な勝利は,意識下で働く(作用する)恐怖の衝動を残し,恐怖の申し子として認識されない(人がそうであると気づかない)'邪悪なねじれた反応'を生じさせる。

 出典:On Education, especially in early childhood, 1926, chap. 2 The Aims of Education
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/OE02-130.HTM
10月8日(国立公園法公布)

 カーライルは言った、「イギリスの人口は二千万人、その大部分は馬鹿者」 この発言を読んだ(当時の)読者は皆、自分はその例外者の中の一人だと考え、それゆえその発言を面白がった。

 出典:How to become a man of genius,Dec. 28th, 1932. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/GENIUS.HTM
10月9日(トルストイ誕生/世界郵便デー日)

 若いときには,学校で自由を束縛され,大人になってからは(成人生活においては),勤務時間中ずっと自由を制限される。これら全ては,熱意を保つことをますます困難にする。なぜなら,絶え間なく(感情や行動を)抑制すると,'疲労と退屈'が生じがちだからである。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.11:Zest
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA22-070.HTM
10月10日(この頃,体育の日/目の愛護デー)

 多くの人は,恋をすると,世間から逃れるためのささやかな'安息所'を捜し求めるが,そこでは,感心すべきでないのに感心し,賞賛される価値がないのに賞賛されることを確信していられる。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.12: Affection
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA23-040.HTM
10月11日(安全・安心なまちづくりの日)

 彼らは,以前賢明でない母親から得たものを妻に求める。そのくせ,妻が夫(彼ら)のことを'大きな子供'だとみなすと,驚く

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.12:Affection.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA23-040.HTM
10月12日(芭蕉忌/コロンブスの日=西インド諸島上陸)

 自己の優越性'の信念は、他者に対するあらゆる侮辱的見解同様、世界を実際あるがままの姿よりもずっと興味をひかないと思われるものにしてしまう。他人を理解することは容易でない。また、人間理解の困難さを理解しない人間によっては決してそれは達成されない。

 出典:On labelling people, Aug. 10, 1932. In: Mortals and Others, v.1, 1975.
 詳細情報:https://russell-j.com/LABEL.HTM
10月13日(引っ越しの日)

 ともかく民主主義国家において、自分たちが選んだ政治家を批判することは、我々自身を批判することであるということを肝に銘じよう。我々は我々にふさわしい政治家を選ぶ(選んでいる)のである。

 出典:On politician, Dec. 16, 1931. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/POLITICI.HTM
10月14日(鉄道の日)

 私たちは,猛暑のなか京都から横浜まで(東海道線で) 10時間の旅 をした。暗くなってすぐの頃,横浜に到着した。そうして,私たちはカメラマンたちが連続的にたくマグネシウムの爆発音で迎えられた。マグネシウムが一回爆発するごとにドーラはとび上がったので,流産するのではないかという心配が増した。私は'怒り'で我を失った。

 出典:The Autobiography of Bertrand Russell, v.2 chap. 3: China, 1968
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/AB23-150.HTM
10月15日(グレゴリオ暦制定記念日/15~21:新聞週間)

 我々は学校を卒業すると,我々の外国に関する知識は,お寒いことであるが,新聞(注:現代においては「マスコミ」)を通じてであり,新聞(注:TVなどのマスコミ)が我々の外国に関する偏見を満足させない限り(偏見に迎合しない限り),我々はその新聞を買おう(注:TVを見よう)としない。その結果,我々の外国についての知識は,我々の偏見と感情を強めるようなものに限定される。 これは,国際問題を正常に扱っていく上での最大の困難の一つである。

 出典:As others see us, Mar. 23, 1932. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/AS-O-SEE.HTM
10月16日(世界食料の日)

 他人に対する心配(気遣い)は,非常にしばしば,所有欲のカムフラージュになっている。(即ち)他人の不安をかき立てることによって,他人をもっと完璧に支配する力を得られると期待されるからである。これは、これまで男性が'臆病な女性'を好んできた理由のひとつであることは、言うまでもない。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.12:Affection.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA23-050.HTM
10月17日(貯蓄の日/貧困撲滅国際デー)

 二人の人間が相手に対して本物の'相互的(双方向の)関心'を持っているという意昧での愛情,即ち,相手を幸福のための手段として見るだけではなく,むしろ共通の利益(幸福)を持つ'結合体'だと感じる愛情は,真の幸福の最も重要な要素の一つであり,自我が鋼鉄の壁の中に閉じ込められていて,このように自我を拡大することが不可能な人は,たとえ仕事(キャリア)の面でどんなに成功していても,'人生が提供する最良のもの'をつかみ損なっていることになる

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.12:Affection.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA23-080.HTM
10月18日(統計の日/東條英機内閣発足/1941)

 あまりにも強烈な自我は一つの牢獄であり,もしも,人生をせいっぱい享受したいのであれば,人はその牢獄から逃げ出さなければならない。本物の愛情を持ちうる能力は,この'自我の牢獄'を抜け出した人間の特徴の一つである。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.12:Affection.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA23-080.HTM
10月19日(日ソ国交回復の日)

 農業を始めたとき,人類は,餓死する危険を減らすためには単調さも退屈も甘受しよう,と決意した。人間が狩猟によって食物を得ていた頃は,労働(仕事)は喜びであった。そのことは,裕福な人間がいまだにこの先祖伝来の仕事を娯楽として追求していることから明らかである。しかし,農業の導入とともに,人類は卑しさと不幸と狂気の長い時代にはいった。人類はいまはじめて,機械の恩恵をもたらす働きによって,それらのものから解放されつつある。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.10: Is happiness still possible?)  
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA21-050.HTM
10月20日(リサイクルの日)

 仕事がつまらないものになればなるほど,ますます機械にやらせることが可能になってくる。機械生産の究極(最終)目標は--確かに,いまだその目標からはほど遠いが--面白くないことはすべて機械にまかせ,人間には変化とイニシアティブ(創意)を要する仕事が取っておかれる,といったシステムである。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.10: Is happiness still possible?
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA21-050.HTM
10月21日(早稲田大学開校記念日/国際反戦デー)

 真理と事実とを混同する(区別しない)のは,危険な誤りである。私たちの人生は,事実によって支配されるだけではなく,希望によっても支配されている。(即ち)事実のほかは何も見ないような正直さは,人間の精神にとって牢獄である。夢が非難に値するのは,現実を変えようとする努力の怠惰な代用品となっている場合のみである。(即ち)夢が刺激剤になっている場合は,人間の理想を具体化する上で(夢は)極めて重要な効果(目的)を果たしているのである。幼年期における空想を殺すことは,現実への奴隷,すなわち,地上につながれ,そのために天国を創造することのできない人間を作ることである。

 出典:On Education, especially in early childhood, 1926, Pt. 2:Education of character, chap. 5: Play and fancy.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/OE05-060.HTM
10月22日(平安遷都の日)

 名誉にかなった行動とは、おおざっぱに言えば、同じ階級の間で尊敬されるような行動のことであった。彼は同じ階級の人間との約束を破るならば悪く言われるが、自分より社会的に劣った者との約束であれば、好きなだけ破ってもかまわないのである。

 出典:On honour, Feb. 15, 1933. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/HONOUR.HTM
10月23日(電信電話記念日)

 両親の子供に対する愛情および子供の両親に対する愛情は,幸福の最大の源の一つとなりうるが,実際は,今日においては,親子関係は90%までは(十中八九)両者にとって不幸の源になっており,99%は少なくとも一方にとって不幸の源になっている。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.13:The family.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA24-010.HTM
10月24日(1929年に世界大恐慌/国際連合デー

 この世で幸福になるためには,特に青年期が過ぎてからは,自分のことを,'まもなく一生を終える孤立した個人'として感じるだけでなく,最初の胚種から遠い未知の将来へととどまることなく流れていく生命の流れの一部だと感じることが必要である。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.13:The family.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA24-060.HTM
10月25日(島原の乱の日(1637))

 今の世の中には,時間のゆとりがほとんどないが,それは,昔よりも人々が忙しく働いているからではなく,楽しみを持つことが仕事同様に'努力を要する事柄'になってしまっているためである。その結果,人間は小利口にはなったが,知恵が少しずつ'蒸留'される'ゆったりと考える時間(余裕)'を持てないために,知恵は減少してしまった。

 出典: The decay of meditation, Nov. 7, 1931. In: Mortals and Others, v.1, 1975.]
 詳細情報:https://russell-j.com/MEDITATE.HTM
10月26日(原子力の日)

大ざっばにいえば,我々(人類)は,手段についての人間の(優れた)技能・技術と,目的についての人間的愚かさとの競争の真っ只中にいる。(仮に)目的に関する十分な愚かさが与えられているとすれば,その目的を達成するために必要ないかなる技能・技術の増大も,事態を悪化させる。人類はこれまで,無知と無能力の故に生き残ってきた。しかし愚かさと結びついた知識と能力とが与えられると,生き残る確実性はまったくなくなる。知識は力であ。しかし,それは善いことへ向かう力であるとともに悪しきことへ向かう力でもある。従って,人間が,知識におけると同様,知恵も増大しないかぎり,知識の増大は悲しみの増大となるであろう。

 出典:The Impact of Science on Society, 1952, chap.7: Can a scientific society be stable?
 詳細情報:https://russell-j.com/cool/43T-0701.HTM
10月27日(読書週間(10.27~11.9)/松蔭忌)

 揉め事(トラブル)の根本原因は,現代世界においては知的な(聡明な)人々が懐疑心でいっぱいである一方,愚かな人々が'確信過剰'である(cocksure)ということである。

 出典:The Triumph of Stupidity, May 10, 1933. In: Mortals and Others: Bertrand Russell's American Essays, 1931-1935, v.2.br>  詳細情報:なし
10月28日(速記記念日)

 競争的な精神の習憤は,本来競争のない領域にまで容易に侵入してくる。たとえば,読書の問題をとりあげてみよう。読書には2つの動機がある。ひとつは読書を楽しむこと,もうひとつは読書について自慢できることである。アメリカでは,成人女性が毎月何冊かの本を読むこと,あるいは,読んだふりをすることが流行している。それらの本を(すべて)読む人もいれば,第一章(だけ)を読む人もいるし,書評(だけ)を読む人もいるが,誰もそれらの本を机の上に置いている(ことでは共通している→いわゆる「積読」(つんどく))。しかしながら,彼女らは大作(古典的名作)はまったく読まない。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.3: Competition
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA13-050.HTM
10月29日(トルコ共和国独立記念日(1923))

 「知性」という言葉は,正確に言えば,すでに獲得された知識よりも,知識を獲得する知的能力をさしていることは,疑問の余地はない。しかし,この才能は,ピアニストや曲芸師の才能と同様,訓練なしに獲得されるとは考えられない。

 出典:On Education, especially in early childhood, 1926, chap. 2 The Aims of Education
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/OE02-180.HTM
10月30日(教育勅語発布の日)

 私は,知性の涵養を教育の主目的の一つと考える。これは,陳腐な言い方と思われるかもしれないが,実はそうではない。正しい信念だとみなされているものを教えこみたいという欲求のために,教育者は,知性の訓練に対してあまりにもしばしば無関心になった。

 出典:On Education, especially in early childhood, 1926, chap. 2 The Aims of Education
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/OE02-180.HTM
10月31日(ハローウィーン)

 子供にとって両親が最も頼りになるのは--まともな親であれば,(子供が)病気の時や,世間から非難されている時でさえも含め,不幸のときである。 

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.13:The family.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA24-070.HTM
[11月]
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【11月】

11月1日(寿司の日/計量記念日)

 私たちはみな,自分の長所ゆえにほめられれば喜びを感じるが,大部分の人は,心底ではそういう称賛は心もとないと感じるだけの謙虚さを持っている。親が子供である私たちを愛するのは,私たちが彼らの子供であるためである。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.13:The family.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA24-070.HTM
11月2日(博物館デー)

 人々が良い感情を持つことを保証することは大変望ましいことであるが,それは説教によっては達成できない。それどころか,'罪人'を後悔させたいという願いを口実にその'罪人'への悪意を正当化することは,罪(の存在)を信ずることの影響の一つである。我々が罪に関する信念を放棄すれば,道徳を楯にして罪人に対する冷酷な感情を偽装する(隠す)ことは,ずっと難しくなる。

 出典:On being edifying, June 11, 1932. In: Mortals and Others, v.1, 1975
 詳細情報:https://russell-j.com/EDIFY.HTM
11月3日(文化の日)

 現代の億万長者(←百万長者)は、年取った芸術家が創作力を失ってしまった後になって、彼らの上にお金を雨のように降らせることはあるかも知れないが、芸術家の仕事は自分の仕事に劣らず重要であるとは夢にも思わない。芸術家が概して科学者よりも幸福でないのは、たぶん、こうした事情と多少とも関係があるだろう。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.10: Is happiness still possible?
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA21-020.HTM
11月4日(ユネスコ憲章記念日)

 若い時(青年期)が遊びだけであるならば,その後の勉学は苦痛なものとなるだろう。そして,特に,現代世界は以前の時代よりも格段に複雑になっているゆえに,市民の知的訓練は一層必要である。従って,知的水準の低下は二重に不幸なことであり,疑いもなく,世界の悲惨な現状を招いた原因の1つである。

 出典:The decay of intellectual standards,Oct. 19, 1932. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/DECAY-IS.HTM
11月5日(イギリスで名誉革命)

 安定は,それが社会的不正を伴わぬ場合にのみ美徳となる。従って,単に恵まれた少数者のためではなく,万人のための安定がなければならない。これは実現可能であるが,現在の競争社会が存続する限りは不可能である。

 出典:On economic security, July 1, 1932. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/ESECRITY.HTM
11月6日(年金週間(11月12日まで)

 大部分の人は,自分の時間の全てを自由に好きなように使ってよいと言われると,やる価値がありかつ十分楽しいことを思いつくのに迷ってしまう。そして,どんなことをやろうと決めたとしても,何か別なことのほうがもっと楽しかったのではないか,といった思いに悩まされる。 余暇(時間)を'知的に'使うことができるということは,文明の最後の成果であり,現在,このレベルに達している人はほとんどいない。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.14:Work
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA25-010.HTM
11月7日(ロシア革命記念日)

 目的の持続性ということは,長い目で見れば,幸福の最も本質的な成分(要素)の1つであるが,大部分の人びとの場合,これは主に仕事を通して得られる。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.14:Work
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA25-020.HTM
11月8日(都市計画の日)

 人間は,死ぬくらいなら,むしろ,僅かなお金のために喜んで長時間あくせく働く。一方,動物は,たとえその報いが死であろうとも,快楽が手に入る場合は,進んでそれをひったくろうとする。このようにして,大部分の人間は,--そうでなければ(動物のように衝動に従っていれば),人生は短くなるという理由で--ほとんどまったくと言ってよいほど'喜びのない生活'に我慢するということになった。

 出典:On Education, especially in early childhood, 1926, chap. 1: Postulates of Modern Educational Theory
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/OE01-060.HTM
11月9日(太陽暦採用記念日)【明治5.12.3を明治6.1.1とする。】

 仕事が終われば仕事のことは忘れ,翌日再開するまで思い出さない人は,その間ずっと仕事のことを気にかけている人よりも,ずっとよい仕事をしそうである.

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap. 15: Impersonal Interests]
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA26-010.HTM
11月10日(技能の日)

 古代中国では,容疑者を拷問にかけるのは,習慣的なものになっていたが,それは人間性豊かなある皇帝が,いかなる者も,自白したのでなければ,有罪の判決を受けることはないと布告したからであった。警察の権力を飼いならす(おさえておだやかなものにさせる)ために必須のことは,いかなる状況においても,決して自白を証拠として採用してはならないということである。

 出典:Power, a new social analysis, 1938, chap. 18: The Taming Power
 詳細情報:なし
11月11日(第一次世界大戦休戦記念日=世界平和記念日)

もし毎日30分間黙想し,じっとしていれば,我々は,個人的,国家的,国際的なもろもろのものごとを現在よりももっと正常に取り扱っていけるだろう,と私は確信している。第一次世界大戦の休戦記念日に,毎年2分間の黙祷が捧げられるだけで,1年の残りの時間のほとんどはせわしげな活動に費やされる。この時間配分は間違いである。もしも静かにしている時間がもっと長ければ,そういった騒ぎも無益さがより減少するだろう。

 出典:The decay of meditation, Nov. 7, 1931. In: Mortals and Others, v.1, 1975.
 詳細情報:https://russell-j.com/MEDITATE.HTM
11月12日(皮膚の日)

 我が国の軍国主義者達は,兵士に投票権を与えることに反対し,成功しています。しかもあらゆる国々において,戦争で疲労しているのは敵側の兵士だけだと一般市民に思い込ませようとしています。殺害された若い人命の毎日の犠牲が,ほとんど耐え難いほどの恐怖となっています。しかし,あらゆるところで,平和を擁護することは兵士たちへの裏切り行為だとして,はげしく非難されます。あらゆる人々のなかで,兵士たちはとりわけ平和を望んでいるのにもかかわらずです。

 出典:The Autobiography of Bertrand Russell, v.2, 1968, chap. 1:The First War.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/AB21-220.HTM
11月13日(うるしの日)

 人間は少なからずその後に続くべき建設を何ら顧慮しないで破壊を目的とする活動に従事することがある。しばしば人は自分は新たに建設するために古いものを一掃しているだけだと信じこもうとすることによって,このこと(破壊だけが目的であること)を自分に隠そうとする。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.14:Work
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA25-040.HTM
11月14日(埼玉県民の日)

 最も満足できる目的とは,1つの成功から次の成功へと無限に導く,決して'終わりのない目的'である。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.14:Work
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA25-040.HTM
11月15日(七五三/保守合同により自由民主党成立)

 重要な建設的な仕事をする機会ほど,'憎しみの習慣'を治してくれそうなものは,ほとんどない。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.14: Work
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA25-040.HTM
11月16日(幼稚園開園の日)

 哲学者や読書人(読書家)は一般的に,言葉によって支配される生活を送る傾向があり,また,一般的に,非言語的であるところの事実と何らかの関係を有することは,言葉の本質的な機能である,ということを忘れる傾向さえある。

 出典:My Philosophical Development, 1959,chap..13: Language.
 詳細情報:https://russell-j.com/cool/54T-1301.HTM
11月17日(国際学生の日)

 数学は, 正しく見れば,真理を持っているばかりではなく、最高の美を持っている。それは彫刻の美のように冷たく厳しい美しさであり、我々人間の弱々しい天性に訴えるものも、絵画や音楽のもつ豪華な飾りもなく、しかもきわめて純粋であり、最高の芸術のみが示すことができる厳格な完璧さに満ちた美である。最高の優雅さのしるしであるところの、真の歓喜、精神の高揚、人間を超えた存在の一部であるという感じが,詩の中と同じくらい確かに,数学の中にも見出すことができる。

 出典:The Study of Mathematics, in Mysticism and Logic and Other Essays, 1918
 詳細情報:なし
11月18日(土木の日)

 何らかの偉大な科学的な発見や発明をしようと'実験に従事している人'は、家族に貧乏を耐えさせたとしても、その努力が最後の成功で報いられる(名誉を与えられる)ならば、後に非難されることはない。しかしながら、もしも彼が試みている発明や発見に成功しないと、世間は彼のことを'変わり者'だと言って(自分の家族を犠牲にしていることを)強く非難する。(しかし)それは、不公平であると思われる。なぜなら、そういう企てをする場合、だれも、前もって成功を確信することはできないからである(注:即ち、成功して誉められた人も、成功しない可能性だってあったはずであるため)。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.11: Zest
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA22-060.HTM
11月19日(世界トイレの日)

 もし自分自身の思い出(記憶)をもとに判断してよければ,幼少時代の重要で人格を形成する印象(感銘)は,子供らしく何かに夢中になっている最中のほんの一瞬だけ意識にのぼってくるにすぎないし,またそれは決して大人には話さないものである。どんなことでも外部から強いられてするということはない(漫然といろいろなものを観察する)幼少時代は,若い時代のうちでも重要な時期であると私は思う。なぜなら,その時期は,こうした見た目には一瞬であるが,しかし実は(生涯消えることのない)必要不可欠な印象を形成する時間を与えるからである。

 出典:The Autobiography of Bertrand Russell, v.1, 1967, chap. 1: Childhood
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/AB11-050.HTM
11月20日(帝国ホテル開業の日/世界子供の日)

 人生を一つの全体としてながめる習憤は,'知恵'と'真の道徳'のいずれにとっても必要不可欠な部分であり,教育において奨励されるべき事柄の1つである。'首尾一貫した目的'だけでは,人生を幸福にするのに十分ではない。しかし,それは,幸福な人生のほぼ必須の条件である。そして,'首尾一貫した目的'は,主に,仕事においてその具現化が行われる。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.14:Work
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA25-060.HTM
11月21日(世界テレビ・デー)

 しかし,私が激しい情動を好まないとか,情動以外の何かが行為の原因たり得ると考えている,とされているのならば,私はそういう告発を断固拒否する。私の期待する世界は,情動は強くても破壊的ではない世界,また,情動が情動として認められているので,それが自己をも他人をも欺くことにはならない世界である。そのような世界には,愛と友情があろうし,芸術や知識の追求が所を得るであろう。私には,より狂暴なものを望むひとびとを,満足させることはできそうにない。

 出典:Human Society in Ethics and Politics, 1954, Preface
 詳細情報:https://russell-j.com/cool/47T-PREF.HTM
11月22日(いい夫婦の日)

 仕事以外について興味をたくさん持っていれば,持っていない場合よりも,仕事を忘れるべきときに忘れることがずっと容易になる。ただし,こういう興味は,一日の仕事で使い果たしてしまったところの能力を使うものであってはならないというのは,最重要なことである。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap. 15:Impersonal interests
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA26-010.HTM
11月23日(勤労感謝の日)

 かなりの余暇時間がなければ,人間は(人生における)最良のものの多くから切り離される。国民(民衆)の大部分がこの最良のものを奪われて苦しまなければならない理由はもはやまったくない。愚かな禁欲主義のみが -それは通常'身代わり'のものであるが- 今日ではもはや必要のない'過度の労働'(の必要性)を強調し続けるのである。

 出典:In Praise of Idleness, 1935
 詳細情報: なし
11月24日(東京初空襲の日)

 最も親しい友人までが,自分(あなた)をからかって,機知をきかせて皮肉を言って楽しむ傾向があることを初めて知ると,そのような経験は非常に辛いものであり,本人も他人に対し同様のことをよくやっていることに気づいていても,ひどく立腹する。しかし,少し経験や反省をすれば,自分だけが例外でありまた自分の欠点を他人から笑われないことを期待することはできない(虫がよすぎる)と,誰もが確信するだろう。

 出典:On Jealousy, July 22, 1931. In: Mortals and Others, v.1, 1975.
 詳細情報:https://russell-j.com/JEALOUS.HTM
11月25日(女性に対する暴力廃絶のための国際デー)

 私は,全ての人が良い住居を与えられるべきだということと,にもかかわらず目ざわりだからという理由で新しい家屋は一軒も建ててはならないということとを一度に同時に要求することは論理が一貫していない,ということを祖母に理解させようと努めたことを記憶している。祖母にとっては,いずれの感情もそれぞれの権利をもっており,単なる論理のような非常に冷たい何らかの理由で,他の感情に席を譲るよう求められてはならなかった。

 出典:The Autobiography of Bertrand Russell, v.1,1967, chap. 1: Childhood
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/AB11-070.HTM
11月26日(ペンの日)

 祖母の恐れを知らない勇気,公共心,因襲の軽蔑,多数意見に対する無関心は,いつも私には善いことだと思われたし,模倣する価値のあることだと強く印象づけられた。祖母は,見返しの遊び紙(白紙)に祖母のお気に入りの文句をいくつか書いた聖書を私にくれた。その中に次の文句があった。
 「汝,群衆に従いて悪を為すなかれ」
 祖母がこの聖句を強調してくれたことは,後になって私がごく小さなマイノリティに属することを恐れさせないよう導いてくれた。


 出典:The Autobiography of Bertrand Russell, v.1,1967, chap. 1: Childhood
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/AB11-080.HTM
11月27日(ノーベル賞制定記念日)

 私たちは,自分たちの職業や,自分たちの仲間社会,自分たちの仕事の種類に非常にたやすく没頭するために,それらが人間活動全体の中のいかに小さな部分でしかないか,また,私たちの活動によって,世界中のいかに多くのものがまったく影響されないかということを,忘れてしまう。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap. 15:Impersonal interests
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA26-020.HTM
11月28日(太平洋記念日)

 私たちはみな,不当に興奮したり,不当に緊張したり,自分たちの住んでいる世界の片隅や,生と死の間のほんの一瞬の時間の重要性を不当に買いかぶる傾向がある。こうした興奮や私たち自身の重要性の過大評価には,望ましいものは何もない。実際,それは,私たちをもっと懸命に働かせるかもしれないが,もっと'良く'働かせはしないだろう。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap. 15:Impersonal interests
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA26-030.HTM
11月29日(議会開設記念日)

 良い目的に方向付けられた少しの仕事のほうが,悪い目的に方向付けられた大量の仕事よりも,より良い。ただし,'精力的な人生を信奉する人(使徒)たち'は,そのようには考えないであろうが。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap. 15:Impersonal interests
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA26-030.HTM
11月30日(死刑廃止運動の日)

 私は、大人になったら数学で何か重要なことをなそうという決意によって、精神的に支えられた。しかし、私は、(心から)親しくなれる相手、即ち、いかなる思想であれ、自由に私の考えを述べることができる相手、にめぐり会えるなどとは思わなかった。また、私の人生の一期間でも、大きな不幸からまぬがれることができるだろうとは期待してもいなかった。

 出典:The Autobiography of Bertrand Russell, v.1, 1967, chap. 2:Adolescence. 
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/AB12-150.HTM
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【12月】

12月1日(1-31:歳末助け合い運動/映画の日/世界エイズデー)

 道徳の名において、また世俗的な知恵の名において、用心(深くあること)を強いられる。その結果、愛情が関わるところでは、'寛大さ'も'冒険心'も、水を差される。これら全ては、人類に対する'臆病さ'と'憤り'を生じさせやすい。なぜなら、(それらの心理的・社会的障害によって)多くの人びとは、真に根本的に必要なものを生涯捕らえ損なうとともに、十中八九まで、幸福になるために不可欠な条件や世間に対する包容力のある態度を捕らえ損なう(逸してしまう)ことになるからである。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap. 12: Affection
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA23-090.HTM
12月2日(奴隷制度廃止国際デー)

 我々は今まで余りにも仕事に支配され続けており,肉体労働や頭脳労働の'とりこ'になっている状態からの解放手段として機械を十分に活用してこなかった。我々はその気になれば,もっと余暇が持てる。我々は皆,その気になれば子供を軍隊組織の便利な構成単位(歯車)にしてしまわないで,彼らの衝動に芸術的表現を与えることができる(?)。そうしないのは,我々は'美'よりも'力'(権力)を愛するからである。

 出典: In praise of artificiality, Nov. 9, 1931. In: Mortals and Others, v.1, 1975.
 詳細情報:https://russell-j.com/ARTIFICI.HTM
12月3日(国際障害者デー)

 しかし、真に価値ある唯一の性的な関係は、隠し立てが全然なく、お互いの全人格が融合して、一つの新しい集合的な人格になるような関係のみである、と私は言いたい。'用心'のあらゆる形のなかで、'愛における用心'は、多分、真の幸福にとって最も致命的なものであるかもしれない。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap. 12: Affection
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA23-090.HTM
12月4日(人権週間(12月10日まで))

 しかし歴史研究や友情や愛情において,最も価値のあるものは、自分とは異なる他の人格(個性)の理解へとしだいにまたためらいがちに接近することである。このことは、他人をカテゴリー別に分類する作業によっても、また多くの人が信じている直観力によっても、達成は不可能である。両者の結合は必須であり、単独では不十分である。何よりも必要なのは、根拠のない侮蔑から発する確信過剰(cocksureness)を放棄することである。

 出典:On labelling people, Aug. 10, 1932. In: Mortals and Others, v.1, 1975.
 詳細情報:https://russell-j.com/LABEL.HTM
12月5日(モーツアルト忌/国際ボランティア・デー)

 モーツァルトは、想像の世界に逃げ込むことによって、借金取りと借金を忘れるために、よく作曲した。もしもモーツァルトが、著名な精神分析家たちの助言に従っていたならば、作曲をするかわりに、収入と支出からなる貸借対照表を注意深く作成し、収支のバランスをとることによって、節約の工夫をする仕事にとりかかっただろう。モーツァルトがそうしたならば彼自身は収入を失ない、我々は彼の音楽を失なったであろう。

 出典:Flight from Reality, Mr. 2, 1932. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/FLIGHT-R.HTM
12月6日(音の日)

 狂信の本質は,望ましいことを1つか2つ覚えていて,それ以外のことは全て忘れてしまい,この1つか2つのことを追求するにあたっては,他の種類のいかなる付随的に起こる害も大したことではない,と考えることにある.

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap. 15:Impersonal interests
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA26-030.HTM
12月7日(神戸港開港記念日)

 現代の高等教育の欠点の一つは,ある種の技術・技能を獲得するための訓練があまりにも多すぎ,'世界の偏見のない探索(概観)'によって'知性'と'心'を広げることがあまりにも少なすぎる,という点である。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap. 15:Impersonal interests
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA26-030.HTM
12月8日(日米開戦=真珠湾攻撃/ジョン・レノンの日)

 もしも,これまでの生活がごく少数の興味・関心に集中されていて,しかも,これらの少数の興味・関心が悲しみで覆われてしまっているとしたら,'思考の切り替え'は困難である。不幸に遭遇したときによく耐えるためには,幸福な時期に,ある程度幅広い興味・関心を養っておくことが賢明である。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap. 15:Impersonal interests
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA26-050.HTM
12月9日(障害者の日/漱石忌)

 危険を感知することのできない人にとっては,勇敢な行為は容易であるが,そういった勇気は愚かである場合が多い。

 出典:On Education, especially in early childhood, 1926, chap. 2 The Aims of Education
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/OE02-160.HTM
12月10日(世界人権デー/ノーベル賞受賞式)

 種(たね)が有用なのは穀物を生み出すからであり,穀物が有用なのはパンを作り出すからであり,パンが有用なのは'生命'を維持するからである。しかし,'生命'は,何らかの'本質的な価値'を持ちうるものでなければならない。もしも,生命がほかの生命のための'手段'としてのみ有用だとすれば,'生命'はまったく有用ではなくなるだろう(例:黒人は白人のため,一般人民は一部のエリートのため,ユダヤ人はドイツ人のため,特攻隊員は天皇のため・・・,アメリカ人の生命と自由を守るため他国民が犠牲になっても,とか)。

 出典:On Education, especially in early childhood, 1926, chap. 1: Postulates of Modern Educational Theory
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/OE01-030.HTM
12月11日(国際山岳デー/ユニセフ創立記念日)

 私は最初に理性に訴える方法を試みた。即ち,核兵器の危険をペスト(黒死病)に比較した。誰しもが「まったくそのとおりだ!」と言った。しかし誰も何もしなかった。特定の集団に注意喚起をしてみた。その成果は限定的ではあれあったが,社会一般や各国政府に対してはほとんど効果はなかった。次に私は,大規模なデモ行進による大衆アピールを試みた。皆がこう言った。「このようなデモ行進は迷惑千万だ!」。

 出典:The Autobiography of Bertrand Russell, v.3:1944-1969, chap.4: The Foundation
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/AB34-010.HTM
12月12日(児童福祉法公布記念日)

 熱意の欠如の主な原因の1つは,自分は愛されていないという感情である。一方,反対に,愛されているという感情は,他のいかなるものにもまして熱意を促進する。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap. 12: Affection.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA23-010.HTM
12月13日(マックス・プランク,量子論を発表)

 本物の科学者に対しては,私は最高度の尊敬を抱いている。本物の科学者は,現代世界において,真に建設的であると同時に,心底から革命的な一つの力である。科学者は,一般の人たちと同様に持っている偏見に関係ない専門的な問題を扱っている場合は,他の誰よりもずっと正しい判断を下す傾向にある。だが,残念ながら,個人的に強い感情を抱いている問題に取り組む場合に,公平無私な立場を維持できる科学者がほとんどいない。

 出典:Are men of science scientific? , Feb. 24, 1932. In: Mortals and Others, v.1, 1975.
 詳細情報:https://russell-j.com/KAGAKSHA.HTM
12月14日(赤穂浪士討ち入りの日)

 人間は2歳を超えれば何歳であっても、自分よりはるかに年上やずっと年下の人間よりも、同年代の人間と付き合いたがるものである。20代の人間が70歳の老人と交際しても面白くない。60歳の女性は、19歳の娘にいつもそばにいてもらいたいとは思わない。他のいかなる場合においてもこのことは真理であるが、親と子の場合はこの真理が無視される。

 出典:Children, Dec. 11, 1931. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/CHILDREN.HTM
12月15日(権利章典の日/年賀郵便取扱開始日)

 しかし,真理はいつも面白いわけでないけれども,多くの事柄が--実際には,面白いという以外に有利な証拠はほとんどないが--面白いという理由(だけ)で信じられている。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap. 16: Effort and Resignation.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA27-010.HTM
12月16日(電話創業の日(1890))

 賢い人間は--防げる不幸を座視することはしないが--'避けられない不幸'に時間と感情を浪費することもしないだろう。また,それ自体'避けられる不幸'でさえ,もしそれを避けるために必要な時間と労力が,何らかのより重要な目的の追求の妨げになるようであれば,進んでその'不幸を甘受'するだろう。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap. 16:Effort and resignation
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA27-040.HTM
12月17日(飛行機の日)

 私生活に荒廃をもたらす'情熱'は、公的生活にも同様の荒廃をもたらす。'ねたみ'のような悪しきものからよい結果が生まれるとは考えられない。それゆえ、理想主義的な理由から、社会組織を根本的に変革し、社会正義を大幅に増やしたいと思う人は、ねたみ以外の力が改革の助け(手段)になることを、望まなければならない。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap. 6: Envy.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA16-070.HTM
12月18日(東京駅開業(1914)/国連加盟記念日)

 賢明な人間だと思ってもらう一つの方法は、その時代に流布している偏見を熱烈な雄弁で擁護し、その修辞で自分の推論能力の不足や同情的理解ができなかった事実を覆いかくすことである。偉大な著作家や偉大な雄弁家は、このようなやり方でこれまで量り知れぬ害を世の中に及ぼしてきた。

 出典:On reverence,Nov. 9, 1932. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/REVERENS.HTM
12月19日(文部省,東大に学位授与権を与える/1878)

 世の中の大多数の人々に比べて,恒常的により快適な境遇のもとに生きる人々は,通常,自分よりも不幸な人々への同情を感じない。彼らは,時折あからさまに'無感覚'であり,時折,人間の幸福は魂のみにかかわり,物質的福祉とは無関係であるから(正当な)取り分以上の財貨を自分たちが得たとしても貧乏人に実害を及ぼすことにはならないといった'嫌悪感を抱かせる見解'を採用する。

 出典:On economic security, July 1, 1932. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/ESECRITY.HTM
12月20日(人間の連帯国際デー)

 例外的特権に依存する安心・安全は'不正'であり,それゆえ,自分に都合のよい社会的不正のための口実を見いだそうとする人間は,必ず,'ゆがんだ道義的感覚'を身につけることになる。他方,自由競争の勝者である現代世界の支配者たちは,競争での成功を実現する冷酷さや様々な行為の価値を過大評価する。

 出典:On economic security, July 1, 1932. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/ESECRITY.HTM
12月21日(クロスワードの日)

 (マルクス同様)正統派経済学者たちも,経済的な自利追求を社会科学における根本的原動力だとした点で,間違っている。ものに対する欲望も,権力と栄光とから隔てられている場合には,限りがあるものであり,それ相当な資産さえあれば,十分に充たすことができる。・・・。本書で私が証明しようとするのは,ちょうどエネルギーが物理学の根本概念であるのと同じ意味で,社会科学の根本概念は権力(広義)にあるということである。

 出典:The Impulse to Power. In: Power, a new social analysis, 1938
 詳細情報:なし
12月22日(労働組合法制定記念日)

 実際的な仕事における能率は、私たちがその仕事に注ぎこむ感情(の多少)に比例しない。それどころか、感情は時々'能率の妨げ'となる。必要なのは、'人事を尽くして天命を待つ'、という態度である。諦め'には、二つの種類がある。一つは'絶望'に根ざしており、もう一つは'不屈の希望'に根ざすものである。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap. 16:Effort and resignation
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA27-040.HTM
12月23日(天皇誕生日)

 幸福な人とは,(できるだけ先入観を持たずに)客観的に生き,自由な愛情と幅広い興味を持ち,またそういう興味と愛情を通して,今度は逆に,他の多くの人びとの興味と愛情の対象になるという事実を通して,自らの幸福を確保する人である。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap. 17:The happy man
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA28-010.HTM
12月24日(クリスマス・イブ)

 愛情の受け手になることは,幸福になるための有力な原因である。しかし,'愛情を要求する人'は,'愛情が与えられる人'ではない。愛情を受ける人は,大まかに言えば,愛情を与える人である。しかし,利子付きで金を貸すようなやり方で,愛情を打算で(計算づくで)与えようとすることは無益である。なぜなら,計算づくの愛情は本物ではないし,受け手からも本物とは思われないからである。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap. 17:The happy man
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA28-010.HTM
12月25日(クリスマス/「昭和」改元の日)

 「もし我々が選ぶならば,我々の前途には,幸福,知識,知恵における絶えざる進歩が横たわっている。我々は,喧嘩が忘れられないからといって,それらの代りに死を選ぶだろうか。私は,人類(同胞である全ての人間)に対し,一人の人間として訴える。「あなたがたの人間性を思い出し,それ以外のことを忘れよう。それができれば,新しい天国への道は開かれている。しかしそれができなければ,未来には全体的破滅(人類の絶滅)以外ないだろう。」

 出典:The Autobiography of Bertrand Russell, v.3, 1969, chap. 2: At home and abroad.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/AB32-150.HTM
12月26日(ボクシング・デー(クリスマス・ボックスをあげる日) )

 今から100年前の,現在では消滅した社会における(人々の)自立よりも(貧しい人々への)慈善を優先する考え方は,今日の我々にはグロテスクに映る。しかしそれは 新しい形態では依然として現在でも残っており,いまだ政治的に有力である。失業者たちは公的権威による支援を求める法的権利を持つよりも,私的慈善によって生 存を保たれた方がより良い,と多数の人たちに考えさせるのは,まさにこの種の物の見方である。(正義が行き渡った)正しい世界では,「慈善」の可能性はなくなるだろう。 

 出典:Bertrand Russell: On charity,Nov. 2, 1932. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/CHARITY.HTM
12月27日(ピーターパンの日)

 知的な人間の道徳感情において、いわゆる「慈善」に関してほど変化したものは他にない。乞食の窮乏状態が偽りないものであれば、乞食にお金をめぐむこと(喜捨)を拒否することは困難であるが、喜捨の行為は心地よいものではなく、また赤面を引き起こしがちである。つまり、そこには不可避的に、誰もが物乞いをする必要がないように社会は作られていなければならない、といった反省がある。(従って、)喜捨をすることによって自己満足を感ずるどころか、自分たちは他人をこのような窮乏と屈辱的な状態にしてしまう体制で利益を得ていると感じて、社会的良心が痛むのを感じる。

 出典:Bertrand Russell: On charity,Nov. 2, 1932. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/CHARITY.HTM
12月28日(御用納め/仕事納)

 自分に興味のあることを追求するための暇(時間)をつくる目的で,自発的に素朴な生活を送ることは大いに推奨すべきことであるが,裕福な人間の大部分は,疑いもなく,もし彼等が幸福を賢明に追求するならば費やすであろう時間以上の時間を,物質的な財貨の獲得のために費やす。

 出典:On vicarious asceticism, Aug. 3, 1932. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
 詳細情報:https://russell-j.com/KINYOKU.HTM
12月29日(歳の市)

 私たちは,愛する人びとの幸福を願うべきであるが,私たち自身の幸福と'引き換え'であってはならない。


 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap. 17: Th Happy Man.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA28-030.HTM
12月30日 (地下鉄記念日)

 全ての不幸は,ある種の'分裂'あるいは'統合の欠如'にその原因がある。'意識的な精神'と'無意識的な精神'とをうまく調整できないと,自我の中に分裂が生じる。自我と社会とが客観的な関心や愛情によって結合されていないと,両者間に'統合の欠如'が生じる。幸福な人とは,これらの統一のいずれにおいてもうまくいかないということで苦しんでおらず,自分の人格が内部で分裂していなくて,世界と対立してもいない人のことである。

 出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap. 17: Th Happy Man.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA28-030.HTM
12月31日(大晦日)

 死の恐怖に打ち勝つ最良の方法は -少くとも私にはそう思われるが- 自分(あなた)の関心(の対象)を次第に広くかつ非個人的なものにしていき,ついには自我の壁が少しずつ退いていき,自分の生命がしだいに宇宙の生命に溶け込んでいくようにすることである。

 出典:Portraits from Memory and Other Essays, 1956.
 詳細情報:https://russell-j.com/cool/48T_HOW_TO_GROW_OLD.HTM
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