ごく大ざっぱにいえば、理論哲学とかれが呼んだ分野での仕事のほぼ全部は、そのようなやり方で「もう古くなった」もしくは「のり越えられた」と指摘することができるだろう。だがたとえそうであるにしても、20世紀初頭から3,40年のあいだ、かれがつねにそれぞれの状況下で先頭を切って斬新なことをいい出しつづけた、という「精神」は忘れるべきではない。だがその種の「精神」だけならば、それは、要するに、理論的営みにおける independent original thinking ということであって、とくに日本ラッセル協会を持続しつづける趣旨には足りないと思う。