バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Ru
ssell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

 労働の習慣は人類の大部分に深く染みこんでおり,労働習慣のみならず,さらに悪いことには,労働の生産性を一層上げる方法を探求し続ける習慣も同様に人類の大部分に深く染みこんでいる。労働の成果を楽しんだらさぞ素晴らしいだろうと,一瞬でも考える人はいなかった。われわれ人類の道徳は’禁欲的な’ものであり,労働を美徳と見なしている。その結果,生産は善であり,消費は悪となる。この’禁欲主義的偏見’が,世界(人類)の半数は過剰生産のために貧しく,他の世界(人類)の半数は過少消費のために貧しくなっている,今の世界の制度(体制)を生み出した。


The habit of work has become ingrained in the greater part of the human species and not only the habit of work but, what is worse, the habit of looking for ways by which work can be made more productive. Nobody has thought for a moment that it might be a good thing if somebody could enjoy the produce of human labour. Our morality is ascetic, which makes us regard work as a virtue; it follows that production is good and consumption is bad. This ascetic twist has produced a world system in which half the world is poor because it produces too much and the other half because it consumes too little.
 Source: Mortals and Others; Bertrand Russell’s American Essays, v.1 (1975)
 More info.: https://russell-j.com/GO-MAD.HTM#r366-c158

<寸言>
 労働生産性を高めることは良いことには違いがありませんが、問題がないわけではありません。世界的規模で労働の生産性を高めることによって貧しい国も豊かになっていくのであればこんなによいことはありません。しかし、現実は、発展途上国や最貧国の労働者をできるだけ低賃金で働かせることによって(=擬似的に「生産性を高めることによって」)先進国の冨を増やそうという方向に働いており、弊害がとても大きなものになっています。
 日本人一人あたりの生産性が先進国の中でかなり低い方に位置しているとよく言われており、改善が必要です。しかし、安い労働力を増やしたいために非正規労働者をどんどん増やすようなやり方(=新自由主義)は、大企業の利益を増大させても、経済格差や貧富の格差を拡大させるばかりで、国全体から見れば、よいことは余りありません。
 大企業や中規模の先進企業さえ利益をあげれば、そのおこぼれが中小企業にも流れていく(あふれ出していく)、また裕福な人がさらに裕福になって消費すれば貧乏人にもおこぼれが届いて豊かになっていくという考え方(トリクルダウン理論)があります(ありました)。岸田政権は、トリクルダウン・セオリーはとらないと否定をしてはいますが、小泉政権から安倍政権までその考え方が支配的でした。岸田総理は新しい資本主義を唱えていますが具体的な中身がまだ明らかにされていません。
 物価があがっても賃金がそれ以上上昇すれば豊かさを実感できます。日本は30年前から物価はほとんどあがっていませんが、中間層以下に限れば、賃金は30年前よりも少し下がっている状態です。岸田総理の「1億総株主」(貯蓄から投資へ)構想は「この人は正気か?」と疑わざるを得ない提案です。日本の高度成長期ならうまくいく可能性はあります。しかし、低成長時代においては、株で利益をあげられるのは株主の10%以下であり、9割以上の少株主は機関投資家の「餌(イナゴ)」だと言われているのを岸田総理は知らないのでしょうか?

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