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バートランド・ラッセルのポータルサイト

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「(週刊)バートランド・ラッセル(1872.5.18-1970.2.2)に関するメール・マガジン」
  no.0826_2023/03/18 (2006/12/21 創刊/毎週土曜 or 日曜日 発行)

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    ■ 目 次 ■
          
 1.ラッセルの著書及び発言等からの引用
 2.ラッセルに関する記述や発言等
  編集後記

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 1.ラッセルの著書や発言等から
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■「ラッセルの英語」n.2387~2391  を発行しました。
  (1)「ラッセル英単語」は、n.2387,2389,2391
  (2)「ラッセルの英文」は、n.2388, 2390
 
 それぞれ1つづつ再掲します。

■ ラッセルの英語 (1) n2387 R英単語/英熟語  

★ care about 【~に関心がある、~について気にかける】

* care(自動詞)=「気にかける」→ I don't care.(構いません。)
 後ろに疑問符がつく場合は、「about]は通常、省略される。
 例: I don't care what she does.


1.ラッセルの用例

" ... I have there a manuscript of a book on which I have been working
 for the last ten years, but I do not care so much about that as about
 the underclothes.'
[「・・・私(注:哲学者のサンタヤーナ)が10年間執筆作業を行ってきた本
の原稿がそこに置いてあるんです。しかしそれは,下着のことほど大きな心配
はしていませんが・・・。」]
 出典:ラッセル『自伝』第2巻第1章「第一次世界大戦」
     https://russell-j.com/beginner/AB21-060.HTM

They do not have the interest in sport that average men have, they 
care nothing about politics, towards men their attitude is one of prim
 aloofness, towards women their attitude is one of veiled hostility
 based upon the conviction that other women are less respectable than
 they are themselves.
[彼女達(注:品行方正な女性)は,普通の男性が持っているようなスポーツ
ヘの関心を持っておらず,政治には全く無関心で,男性に対しては取りすました
無関心な態度をとり,(同性の)女性に対しては--ほかの女性は自分ほど品
行方正ではない(まともではない)という確信のもとに--,'隠された敵意'
のある態度をとる(敵意を持っているが表情には表さない)。]
 出典:ラッセル『幸福論』第11章「熱意」
     https://russell-j.com/beginner/HA22-080.HTM

He does not say that the philosopher should wholly abstain from 
ordinary pleasures, but only that he should not be a slave to them.
 The philosopher should not care about eating and drinking, but of 
course he should eat as much as is necessary, there is no suggestion 
of fasting.
[彼(ソクラテス)は、哲学者は通常の快楽からまったく遠ざかるべきだとは
言わずに、快楽の奴隷になってはいけないと言うのみである。哲学者は飲み食
いに意を用いてはならないが、いうまでもなく必要なだけは食べなければなら
ないのであり、断食をせよというような提案を彼は行わない。]
 出典:ラッセル『西洋哲学史』第16章「プラトンの不死説」
     https://russell-j.com/beginner/BR_MPD_13-040.HTM


2.参考例

I don't care a bit about the future.
[私は未来については関心がない。]
 出典:『解体英熟語 改訂第2版』p.72

The only thing he cares about is money.
 出典: Longman Dictionary of Contemporary English, new ed.

If you care about something, you feel that it is important and are 
concerned about it.
 出典: Collins COBUILD English Dictionary for Advanced Learner's, new
 ed.


■ ラッセルの英語(2) n2390 ラッセルの英文

 ( Unpopular Essays, 1950 から)
 「知的戯言の概要}n.20

 その結果(注:アダムとイブの楽園追放後に起こった天変地異)がどんなに
不愉快なものであったかもしれないとしても、アダムに(神が)一つの教訓を
教えるためにそのように巨大な天文学的現象がもたらされたことを、彼(アダ
ム)は光栄に思わないではいられなかった(feel flatered 光栄に思う、気分
を良くする)。神学全体は(神学は全体として)、天国に関して同様に地獄に
関しても、人間は創造されたこの宇宙において最重要なものであることを当然
のこととしている。 神学者は全て男であったので、この仮定はほとんど反対
に出会うことはなかった。(訳注:女性は男性であるアダムの肋骨から創られ
たという前提があることに注意)

 進化論が流行し始めて以降、人間の賛美(称賛)は新しい形態をとってきて
いる。(即ち)進化は一つの大いなる(神の)目的によって導かれていると我
々は告げられる。すなわち、泥や三葉虫しか存在しなかった何百万年を通じ、
また恐竜や巨大なシダ、蜜蜂や野生の花の時代を通して、神は大いなるクライ
マックスを準備しつつあった。最後に、時満ちて、神は人間を創造し、それら
の中にはネロやカリギュラのような面々、またヒトラーやムッソリーニのよう
な人物も含まれており、それらの人達の卓越した栄光は、(それまでの)長い
苦難の過程を正当化するものであった(注:ラッセルの皮肉)。(しかし)私
としては、全能者の至高の努力として賞讃することを求められるこの説得力が
なく(不十分で)無気力な結末よりも、永遠の天罰でさえ、より信じられない
ものではなく、また、確かにより馬鹿げたものでもないと思う。そして、もし
神が全能であるならば、神はなぜそのような、長い退屈なプロローグなしに光
栄ある結果を生みだすことができなかったのか?(疑問に思われる。)

Outline of Intellectual Rubbish (1943), n.20

However disagreeable the results may have been, Adam could hardly help
 feeling flattered that such vast astronomical phenomena should be 
brought about to teach him a lesson. The whole of theology, in regard 
to hell no less than to heaven, takes it for granted that Man is what 
is of most importance in the Universe of created beings. Since all 
theologians are men, this postulate has met with little opposition.

Since evolution became fashionable, the glorification of Man has taken
 a new form. We are told that evolution has been guided by one great 
Purpose: through the millions of years when there were only slime, or 
Trilobites, throughout the ages of dinosaurs and giant ferns, of bees
 and wild flowers, God was preparing the Great Climax. At last, in the
 fullness of time, He produced Man, including such specimens as Nero 
and Caligula, Hitler and Mussolini, whose transcendent glory justified
 the long painful process. For my part, I find even eternal damnation
 less incredible, and certainly less ridiculous, than this lame and
impotent conclusion which we are asked to admire as the supreme effort
of Omnipotence. And if God is indeed omnipotent, why could He not have
produced the glorious result without such a long and tedious prologue?
 Source: Bertrand Russell : An Outline of Intellectual Rubbish, 1943
    Reprinted in: Unpopular Essays, 1950, chapter 7:
   More info.: http://www.ditext.com/russell/rubbish.html


■「ラッセルの言葉366_画像版」
 日本語 version : n.2323-2329j を投稿
 英 語 version : n.2323-2329e を投稿

 1つだけ再録します。  n.2324j  ( Mar. 13, 2023)
         
 「広告・宣伝の心理学」

 政府の宣伝技術は、大人に適用されるものであり、広告主の実践に由来して
いる。商業的競争は、成功する広告の種類に関するデータを提供してきた。
(即ち)広告の心理学は、米国において著名な心理学者によって注意深く研究
されてきた。広告は、繰り返しと印象的な主張によって信念を生成する技術で
あり、完全に理性へのあらゆるアピールから切り離されている。経験上、平均
的な男性は、1日に100回Aの石鹸が最高で、50回Bの石鹸が最高だと言われれば
、-企業Aは自分の懐(利益)のために主張しているのであって、真実に対す
る公平無私な愛情から主張しているのではないことを彼は知っていても- Aの
石鹸を買うだろう。

The technique of Government propaganda, as applied to adults, is 
derived from the practice of advertisers. Commercial competition has
 provided data as to the kind of advertisements that are successful;
 in America, the psychology of advertising has been carefully studied
 by eminent psychologists. Advertising is the art of producing belief
by reiterated and striking assertions, wholly divorced from all appeal
 to reason. Experience shows that the average man, if he is told a 
hundred times a day that A's soap is the best, and fifty times a day 
that B's is the best, will buy A's, although he knows that A is making
the assertion for the sake of his own pocket, not from a disinterested
 love of truth.
Source: Government by Propaganda, 1924
In: In: These Eventful Years; the twentieth century in the making
(London, Encyclopaedia Britannica, 1924),pp.380-385.
More info.: Not available

<寸言>
 今はネット上でいろいろな情報や意見を知ることができますので、インター
ネットがなかった時代とは事情が少し異なります。しかし、繰り返しの言葉に
よって多くの人がけっこう影響を受けているという事情はあまり変わっていま
せん。
 その証拠に、日本においても、政府が「丁寧な説明に努める」と何度も言い
ながら、ほとんど同じ説明を繰り返すことによって、国民も飽きてきて、「人
の噂も七十五日」ということで、そのうち国民も大事な問題もあまり関心をも
たなくなり、「政府も一安心」ということを繰り返しています。

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(2) ラッセルに関する記述や発言等 
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バートランド・ラッセル落穂拾い_初級編 2023

「ヨーロッパ人とキリスト教的な道徳観 」(2023.03.17)

* 引用した本:落合陽一『忘れる読書』(PHP新書、2022年11月)

(p.38)「・・・。私は中学時代からニーチェを読み、「ツァラトゥストラはこ
う言った」は、少なくとも4回は読み返しています。
 ある時期は虚無主義に傾倒し、ニーチェと食い合わせの悪いバートランド・
ラッセルとの併読で精神的にすっかり参ってしまったこともあります。ニーチ
ェとラッセルの食い合わせは最悪で、内省と内省がかけ合わさって虚無の二乗
になる、というような状態でした。 ・・・。」

(p.92)「・・・。ヨーロッパ人にとっての世の中の常識は、さしあたりキリス
ト教的な道徳なのだと思っていますが、そういった価値観をニーチェがことご
とくひっくり返していきます。同時期に読んでいたバートランド・ラッセルも
、ある意味「合理的に」、ニーチェの思想を包括する形で一定の理解は示すの
ですが、「やっぱり、ニーチェが言っていることはグロいな」と感じたもので
す。前述したように、ニーチェをインストールした上でラッセルを読み始めた
私は、一時期、頭の中がぐちゃぐちゃになりました。
 とはいえ、この2人の「同時読み」のおかげで、ヨーロッパ人的な思考の仕
方が嫌という ほど身につきました。ヨーロッパ人的な思考から抜け出て、そ
れを批判できるレベルにまで到達したという意味では、貴重な思考の鍛錬にな
ったと思います。・・・。」
 落合陽一氏もそこそこラッセルを読んでいるようですが、それでもラッセル
の膨大な著作の中の一部しか読んでいないと言えそうです。ラッセルの考え方
ははげしく変わっていますので、どのように変化・発展していったかという視
点で読まないと、理解しそこねるだけでなく、誤解をしてしまいます。


 落合氏はラッセルの思想は虚無主義だと断定してはいませんが、上記を読め
ばそうとらえていたらしいことが伺えます。
 ラッセルは哲学の一つの方法論として(徹底した)懐疑主義のアプローチの
仕方をとったり、宗教、特にキリスト教に対して強い批判をしたり、神の存在
については不可知論の立場をとったりしましたが、決して虚無主義者ではあり
ませんでした。それは『ラッセル自伝』やラッセルの書簡などを読めばわかる
と思いますが、ラッセルの著書を数冊読んだだけである程度理解したとして、
ラッセルの思想を虚無主義だと決めつける人が時々います。
 日本の保守主義者に人気のある福田恆存(ふくだ・つねあり、1912- 1994)
もその一人で、今でも保守系の雑誌の『月刊Will』や『月刊HANADA』などで、
自分の主張の権威付けに使ったりする人がいます。

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 編集後記 ChatGPTなどの生成AIのネット検索への影響は?
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 3月15日に ChatGPTのversion 4がリリースされました。まだ有料ユーザー
の一部しか利用できないので詳細はわかりませんが、前バージョンでは司法
試験は合格しなかったが、v.4では受験者の上位10%に入ることができ、合格
できる性能をしめしているそうです。現在の性能でさえ驚きですが、1年後
にはさらにレベルアップすると予想され、今のうちに試用して、どのように
すれば活用できるか探っておく必要があります。

 こういった画期的なものが生まれると、手放しに称賛したり、間違った回
答や変な回答例をしめしたりと、冷静に分析する人よりも印象批評する人の
ほうがどうしても多くなります。しかし、たとえば、ChatGPT も、へたな質
問をすれば不十分な回答が返ってきますし、上手な質問の仕方をすればとて
もよい返事をもらうことができます。従って、使う人の能力しだいです。

 ChatGPT v.3 (or, v.3.5)では、2021年12月末までのデータに基づいて、
いろいろな質問に答えていたそうですが、v.4 では最近のデータも参照して
いるということで、期待がもてそうです。

 それにしても、注目されるのは Google 社の対応です。生成AIは元々、グ
ーグルが一番進んでいました。しかし、OpenAI社はグーグルのAI部門の元社
員を10名以上リクルートし、ChatGPT を開発したとのことです。

 Google は3月中に対抗するものを Google 検索に組み込んでサービス開始
するということでしたが、ChatGPT があまりにも性能がよいので、Google は
サービス公開を5月に延ばすかも知れないという情報もあり、今のところど
うなるか不明です。                  (松下彰良)

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■編集・発行:(松下彰良/まつした・あきよし)
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