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バートランド・ラッセル「善人が為す害悪」n.11 (松下彰良・訳) - Bertrand Russell: The Harm That Good Men Do,1926

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 善人が役に立つことのできる今一つの道は,善人が殺害されることによるものである。ドイツは,中国の山東省で幸運にも宣教師が二人殺害されたため,同省を手に入れた。サラエボで殺害されたオーストリアの大公(注:第一次世界大戦のきっかけになった有名な事件)は善人であった、と私は信じる。即ち、そうして、我々はどんなに(善人の)彼に感謝しなくてはならないことか! 大公があのように死んでくれなかったならば,我々は戦争をしなかったかも知れず,そうしてその時には、世界は民主主義にとって安全なものにされなかったであろうし(注:戦争にならなければドイツ軍国主義を打倒できなかっただろう,という皮肉/みすず書房版の東宮訳では「大公が死んでくれなかったならば、我々は戦争をしないで済んだかも知れないし、そうすれば世界は民主主義にとって危険のないものとはならなかったであろうし・・・」と訳出されている。これでは、大公が死んでくれたことに感謝するという皮肉の意味がまったく理解できない。),軍国主義も打倒されなかったであろうし,我々は今日のように(今日楽しんでいるように)、スペインやイタリアやハンガリーやブルガリアやロシアの軍国主義的専制政治を享受することはなかったであろう(注:皮肉ですよ/なお,despotisms と複数形になっている場合は、「独裁政治」ではなく、「独裁国家」)



Another way in which good men can be useful is by getting themselves murdered. Germany acquired the province of Shantung in China by having the good fortune to have two missionaries murdered there. The Archduke who was murdered at Sarajevo was, I believe, a good man; and how grateful we ought to be to him! If he had not died as he did, we might not have had the war, and then the world would not have been made safe for democracy, nor would militarism have been overthrown, nor should we be now enjoying military despotisms in Spain, Italy, Hungary, Bulgaria, and Russia.
(掲載日:2015.12.4/更新日:)